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りあダン! 現実世界にダンジョンが?!  作者: 大道寺 禅
地方都市奪還作戦 準備編
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第百四話 初めての加工

累計PV数147万突破、総合評価8200pt突破しました!

これも皆さまからのご愛顧の賜物です。

これからもりあダンをよろしくお願いいたします!

「ふう、ようやくこんなもんか。手伝ってくれてありがとう」

「どういたしまして。でもまだこれからが本題よね?」

「ああ、やっと制作に入れる……」


 エリザベスの進化を見届けた秋彦とジュディは秋彦の家の地下室にいる。勿論体長調整で家に入れる大きさになった龍之介とエリザベスも一緒だ。

 高校入学当初は最低限の物しか置かれていなかった地下室は、すっかりダンジョンで手に入れたものだらけの探索者部屋と化していた。そしてそこに新たに、骨加工の作業室、工房としての一面も追加されたのだ。

 秋彦とジュディは骨加工キットを広げ、中身の確認を行い、机に広げていた。

キットの説明書に書いてあった物がすべてそろっていることを確認し、材料も広げ、やっと作業に取り掛かれる。


「さて、やってみるか。実はもう骨加工のスキルLv1はDPで獲得してあるんだ」

「あら、そうなの。思い切ったわねー」

「そうでもねーさ。龍ちゃんがいるなら長く世話になるだろうしな。さて、じゃあまずはレシピ本読んでみるか」


 そういいながら秋彦は、早速購入したレシピ本の一つである基礎骨細工師を手に取り開く。

 すると本から魔法力が放出されていくのが感じ取れた。ここら辺は魔力感知を持っているからだろうか。

 そして改めて内容を最初から見ていく。

 レシピ本にはレシピ本に書かれている道具を作る補助の魔法がかかっているので、レシピ本なしで道具を作ろうとすると、対応する加工スキルがそれなりに高くないと、作成に失敗する。

 逆にレシピ本があれば、簡単な物ならばスキルが無くても不格好ながら一応目当ての効果を持つ道具が作れる上に、何度も繰り返して上手に作れるようになれば加工スキルを習得も出来る。

 店員の説明に合った通り、ここは目次よりも前の、初めにの部分に書いてあった。

 その後に、手先や加工道具に魔法力を集中させ、ただの素材であっても魔法力を付与し、魔法のこもったアイテムを作りやすくする方法が書いてあった。ここら辺は生産スキルを習得していれば、出来る様になっているところなので秋彦にはあまり関係のない所だが、ジュディにとっては大助かりの部分だ。


「こういうのがあるからレシピ本は持っておいた方がいいのね」

「それだけじゃねぇだろ。魔法力が感じ取れる。たぶんこれが本が持ってる、道具作成を補助する魔法だ。レシピ本を持っている意味の本命としちゃこっちだろ」

「そうね。で、どれを作ってみる?」

「やっぱり難易度が低めの貝殻系かな最初は。これも骨っていう分類だってのには驚いたけど」


 そういってページを進めていき、貝殻で作る魔法の装飾品を見てみる。


【シェルネックレスLv1】

≪貝殻で作られた首飾り。貝殻の素材を生かした見た目をしており、自作しても難しくない。加工が簡単なだけあって、魔法の装飾品にしては上昇する力は軽微と言える。肉体力+20。備考:要求加工スキル なし~骨加工Lv1≫

【シェルイヤリングLv1】

≪貝殻で作られた耳飾り。貝殻の素材を生かした見た目をしており、自作しても難しくない。加工が簡単なだけあって、魔法の装飾品にしては上昇する力は軽微と言える。肉体力+30。備考:要求加工スキル なし~骨加工Lv1≫

【シェルリングLv1】

≪貝殻で作られた指輪。貝殻の素材を生かした見た目をしており、自作しても難しくない。加工が簡単なだけあって、魔法の装飾品にしては上昇する力は軽微と言える。肉体力+10。備考:要求加工スキル なし~骨加工Lv1≫


 等々、色々な貝殻を作った小さな装飾品がある。

 どれも魔法の装飾品としては性能的に良くはないが、初心者向けで初めての人でも作れるものと考えればこんなものかという気がする。

 作り方自体は貝殻に穴をあけ、貝殻を飾り付け、貝殻にそれぞれに対応した金具を取り付けるという単純な物が多い。

 備考欄にある要求加工スキルというのは制作にあたって最低限必要な加工スキルであり、今回のシェル系は最低でもなしでも作れ、骨加工Lv1があればレシピ本なしでも作れるという事らしい。

 ともあれいくつか試しに作ってみる。そうでなければ制作の感覚もわからない。


………………………………


 そうして、ジュディといくつか装飾品を作ってみた。

 拙いが、素人にしては上々といった貝殻で作られたオーダーメイドの装飾品の数々。それを並べてみて感想を述べる。


「これ、たった一個魔法のこもったアイテム作るだけでも結構疲れるぞ……自分の魔法力をごそっと持ってかれる……」

「い……一個一個集中して作るっていう程多くの工程がある物じゃないはずなのに、すごく疲れたわ……」


 見た目はどれも普通の店でも売っていそうで、魔力感知が無ければこれが魔法のこもったアイテムとは思えないだろう。

 だが作成に魔法力がやたら必要になるところや、魔力感知を持っていればわかる秘められた魔力が、これがただのアクセサリーでないことを示している。


「とりあえず、これが俺の作品の第一歩だ……だがまだまだ始まったばっかで練習がいるな」

「うーん、私はプロを志そうという人に任せることにするわ……」


 とりあえず秋彦はさらに鍛え、ジュディは人に丸投げする方針の様だ。そこは人それぞれなのでいい悪いの話ではないのだが。


「あ、そうだジュディ」

「ん? 何?」

「これやるよ」


 そういって秋彦はジュディにシェルイヤリングを渡す。


「俺の初めの一歩だ。記念ってわけじゃないけどさ。全く無駄にはならないだろうし」

「え!? い、いいの? もらっちゃって……?」

「おうさ。生産スキルが上がったら、また新しく何か作ってやるよ。今はまだこんなもんだが、もっといい物を作れるようになったり、いい効果を付けられるようになったらつけてやるよ」

「う、嬉しい……ありがとう」


 手に取ったシェルイヤリングを抱きしめる様に、大事そうに受け取った。

 そんなにありがたがるものでもないのだが、と秋彦は思う。実際には金などでは決して推し量れない価値があるのだが。

 秋彦は自分のマジックバッグの中にあるウィザードポーションを一つ飲んで、改めて気合を入れる。


「おっしゃ! 明日までに出来るだけ鍛え上げとかなきゃいけねぇからな。今日は休んでらんねーぜ!」

「あら? 明日何かあるの?」

「おう、予定では明日オークションで落札したレシピ本が届くんだ」

「あ、もしかしてドラゴンズライフ?」


 すぐさま図星を言い当てられる。思わず固まる秋彦。


「よ、よくわかったな……俺が探してたの知ってたのか?」

「いいえ? でも、昨日、百万もするレシピ本がすぐに売れたって、ツブヤイッターとかで話題になってたわよ?」

「そ、そうだったのか……」

「そんなの買う人なんてそうはいないから、可能性はあるけどまさかね、って思ってたの」

「あ、あはは……ま、まあそういうわけだ!」


 笑ってごまかす秋彦。ジュディは呆れたような表情だ。


「ずいぶん羽振り良くなったのね?」

「いや、結構悩んだよ? 悩んだけどさ……やっぱり自分の従魔にして息子みたいな龍ちゃんの素材は自分で加工したいなーって思ってさ……結構量もあるし」


 恥ずかしそうに頬を掻く秋彦。


「……問題ないとは思うし、大丈夫だと思うけど一応聞くわ。お金大丈夫?」

「それは全く問題ない。俺の通帳今とんでもねーことになってるから」


 実際、初めての高額商品の購入ではあるものの秋彦は今、金はかなり持っている。

 奪還作戦発表後から何度かダンジョンへもぐり、魔物素材や素材アイテムを売ったりした売り上げの中から、聖域チョークと海洋の守護像の売り上げを抜いても、約数千万というとんでもない額になっているし、聖域チョークと海洋の守護像の売上入れたら個人資産は億に届く。

 正直今、秋彦が一番怖いのは自分の通帳を見ることでもあるくらいにはお金を持っているのだ。


「まあそういうわけだ。だからとりあえず心配はいらねーよ」

「成程ね」


 そういってしばらく考え込んでいたジュディだったが、秋彦に向き直る。


「ねぇ、明日もお邪魔していい? ドラゴンズライフ、興味があるわ。どんなものが作れるかとか」

「お、おう。わかった。明日は届くまでは掃除とか洗濯とかしようと思ってたんだけど」

「そう、なら手伝ってあげるわよ?」

「わ、分かった。待ってる」


 思いがけず二日連続で家に招待することになったわけだが……


『グー……グー……』

『龍ちゃんは暢気だなぁ。そこがかわいいんだけど。しかしわが主は絶対好意を持ってらっしゃるな。次はお邪魔になるかもわからないな……早くくっつけばいいのに』


 という目で従魔に見られているのは気づかないのだった。


皆様からのご愛顧、誠に痛み入ります。

これからも評価、ブックマーク、感想など、皆様の応援を糧に頑張って書いていきます。

次の投稿は11月6日午前0時予定です。

よろしくお願いします!

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