第十話 スキル
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「さあ、DPをゲットしたところでここからが本題だよ君達!」
「あ、そうだ。これだけじゃ苦手分野鍛える話どこ行ったって話だもんな」
「話の流れからして、このDPで僕らのステータスを強化できるって話ですか?」
「話が速くて結構。でもそれだけではないんだな。では、ダンジョンウォッチを起動させ、画面左下にある【DPショップ】をタッチして開いてくれ給え」
もはや何の違和感もなく指示に従う。
半透明の浮かぶディスプレイの下には、【ホーム】、【ライブラリ】、【ダンジョン検索】、【DPショップ】の4項目ある。ステータスが表示されているのはホーム画面の様だ。
DPショップの項目を選ぶと、ずらりと項目が出てきた。
大きな項目は、【ステータス上昇】、【スキル習得】、【その他】の3項目の様だ。
「なるほどな。苦手な分野はここでDPを消費して上昇させてもいいと。しかし……ステータス上昇は分かるが……スキル習得ってなんだよ」
「ああ、それは簡単。魔法を使わない、特技を覚えることができる。例えば君なんてこれなんてどうだい?」
ライゾンは秋彦のディスプレイをささっと動かし、スキル習得から、一つのスキルを見せてきた。
【槍術Lv1】……100DP
「えっと……これで槍の扱いがちょっとはましになるってことか?」
「そう言う事だ。槍を教える道場なんて今どきないだろう? これからも槍を使うつもりなら、まずはとっかかりだけ覚えてしまって、それを元に鍛錬していけばいい。どう?」
「まあ探せばあるんだろうけどな道場、でも通える場所にあるとは限らねーし……そうだな、うん。それに本当にそんなことできるのか。ちょっと試しに使ってみるってのもいいかもな。よし、購入」
大して迷いもせずに【槍術Lv1】をディスプレイ上にて購入する。
購入した直後、体が緑色の光に包まれ、すぐに消えた。
「……これでスキルを覚えたのか?」
「そうだね。スキル自体はホーム画面に戦闘力とかのちょっと下に一緒に表示されているから後で確認するといい。では早速、ちょっと振るってみるといい」
確かにちょっと気になるので、試しに少し槍を振ってみる。
振り降ろし、なぎ払い、突き、回す。
……なるほどかなり扱いやすくなっている。どう体を動かせばいいか。どう槍を振るえばいいのか、そして何より槍を持つ手がしっくりくる。あくまで先ほどと比べればだが。
「ほっほぅ。こりゃ中々、いい感じじゃねーの。要は自力でも覚えられる技をDP消費すれば楽に時間かけずに覚えられますよってことか」
「その通りだ。後、【解体術Lv1】や【魔物学Lv1】も取っておくといい。魔物の素材はとても役に立つし、食べられるものもいるんだ」
「素材は分かるとして……食うのか、魔物を……」
二人ともあからさまに嫌そうな顔をする。しかしライゾンは朗らかに続ける。
「ちょっと抵抗あるかな? でもね、食べられるものはみんなとっても美味しいし、食べる事でもレベルを上げることができる。だから、戦闘ができない人に食べさせれば、それだけで強くもなるよ。もちろん、実戦無しでは限界はあるけどね。アンチエイジングにもなるからお父さんお母さんも喜ぶと思うよ?」
「そっか……じゃあそれも取っておくか。親友も取っておきなよ」
「そうだね。じゃあ僕も取ろうかな」
「優太君はそれに加えて、【高速詠唱Lv1】も取るといい。【魔法効率化Lv1】とかもある。魔法使いは極めようとすると覚えることがいっぱいあるからね。ステータス強化で知力の項目の【学術的知力】を強化するのもいいだろう」
「それはむしろ俺がとっておきたいところだな。あればちょっとは勉学楽になんのかね? てーか俺だって魔法使えるんだから、もっと魔法使わねーと……そのためにも知力全般は強化しとかんと……」
「……僕は【筋力】と【体力】ちょっと上げよう。今のままじゃ魔法が使えなくなったらどうにもできなくなるし。後、【戦闘的精神力】や【戦術的知力】も上げないと……」
「なんか上げなきゃならんもん一杯だな……」
「うんうん、足りないものが見えてくるのは重要だ。さて、そろそろまたダンジョンウォッチの説明に戻ろう。【ライブラリ】を見てくれ給え」
DP使用の相談をいったん中止して画面下の【ライブラリ】をタッチするとまた項目がいくつか出てきた。今度の項目は、【モンスター】、【武器】、【防具】、【アイテム】、【レアアイテム】の5項目だ。
「するまでもないだろうが説明だ。これは君たちが手に入れたアイテムや、倒した敵のデータを参照することができるのだ。見てみ給え。君たちが拾った道具の詳細がすべて記されているだろう?」
言われてみてみると、説明を受けたアイテムだけでなく、説明されていない道具、主に武器と防具だが、詳細が乗っている。秋彦が使っていた武器は【ショートスピア】というらしい。
優太が武器にしている杖は【魔導士の杖】という魔法使いの初心者が使う魔法補助がかかっている杖らしい。
そしてモンスターの正式名称も並んでいる。どうやら自分たちが勝手にマリモンと呼んでいたあのモンスター。正しくは【コケダマ】というらしい。ネーミングにひねりがない。
「おー、こりゃ便利だ。でもよ、こんなん分かるなら、もっと早くこのダンジョンウォッチもらった方がよかったんじゃねーの?」
「いやいや、残念ながらそうもいかないのさ。なにせライブラリは制覇したダンジョンで拾えるものしか登録されないからね。あの時点では無意味なのさ」
「え、じゃあダンジョン制覇するまでは新しい物を手に入れてもそれを調べるすべはないってことか?」
「ダンジョンを制覇していない状態でライブラリに物を登録するなら【アナライズ】と呼ばれる魔法を使うか、【アナライズカメラ】という道具を使って写真撮影するしかない。君らの頭が詳細を認識すれば、すぐにライブラリに情報として登録されるからね」
へぇーと秋彦が声を漏らす。秋彦はここで納得するが、優太はもう一歩踏み込んだ。
「ちなみに、【アナライズ】はどの系統の魔法ですか?」
「それはね、無属性以外の全属性を、第五魔法まで使えるようになるか、無属性第三魔法で使えるようになる」
「……無属性使えないと結構遠くね? ダンジョン潜るのに必須っぽいけど?」
「うむ、遠い」
「秋彦、頑張って無属性鍛えようね!」
「うへぇ、了解……」
「ではライブラリの機能をもう一つ紹介しよう。いったんホーム画面に戻ってみてくれ。一番下に【チェック】というボタン上のアイコンがあるのがわかるかな?」
ホーム画面に戻ると確かにあった。チェックというボタンのアイコンが。
「こりゃ何なんだ?」
「まずはそれを押してみ給え」
タッチしてみると、ダンジョンウォッチの半透明のディスプレイの方ではない、ダンジョンウォッチの本体のディスプレイが光り、一直線に照射された。
「なんだ? ライトか?」
「にもなるがちょっと違うんだな。では、このアイテムを照らしてみるんだ」
そういってライゾンは近くにマジックポーションを置いた。
なんとなく予想はできたが、そのままライトをマジックポーションに当てる。
すると、予想通りというべきか、半透明のディスプレイの方が切り替わり、ライブラリのマジックポーションの項目が出てきた。
「やっぱりか。つまり、一旦ライブラリに登録されたもんなら、いずれ使えるようになるアナライズとかしなくても、これが何なのか教えてくれると」
「そう言う事だ」
「わぁ便利。すでに登録されてても判別つかないってこともあるだろうしね。特にポーションみたいなのは特に」
「そうだね。では次だ。【ダンジョン検索】を選んでくれ」
今度は【ダンジョン検索】をタッチ。するとこのあたり一帯の地図が表示され、ところどころに黄色の点が散らばっているのがわかる。自分たちのいる所も表示されていて、そこにも点があったがここの点は水色になっている。
「聞くまでもねーとは思うが、これはなんだ?」
「もちろん、ダンジョンが今現在どこにあるかを示すマップだね。黄色の点をタッチしてご覧?」
タッチしてみるとダンジョンの詳細が現れた。
中谷町廃墟のダンジョン
難易度:入門級
目標攻略レベル:10
目標攻略時間:2日
氾濫発生日数:4日
「うむ、ダンジョンの詳細が見ることができる。入門編はみんな大体こんな感じ。本当によくレベル5で、しかもたった二人でここまで来れたねぇ」
「……ちょっと待て、なんかすげぇ不吉な項目があんだが」
「あの……【氾濫発生日数】って何ですか……?」
「それかい? その日数を過ぎてだれもダンジョンに入らず、モンスターを倒さないでいた場合、モンスターが外に出てきて人を襲う」
「……は?」
一瞬頭が真っ白になるが、ライゾンは続ける。
「あるだけじゃダンジョンなんて意味はないからね。潜ってもらわないといけないのに誰も来ないというなら自己主張する必要がある。まあ入門編のダンジョンなら溢れても大丈夫だよ。現に君らだって普通に倒せたじゃないか、何も問題はないさ」
「大ありだろ、子供どうすんだよ!」
「子供でもなんとかなるさ。あるいは逃げられるさ。怪我はするだろうけど死にはしない」
「……あの……それって入門編のダンジョンで出てくるモンスターが前提ですよね……? 初級編とかは……?」
「初級は入門と違って氾濫するのが遅いから大丈夫だ。それまでに君らや、君らみたいな人達が強くなって、モンスターを駆除すればいい」
「もし……そういうやつらが間に合わなかったら……?」
「その時はその時さ。おそらく軍隊、この国では自衛隊とか言ったかな? そういう戦いに長けた人が来るさ」
「で、でもそれだって大半がダンジョン未経験者だろ! やばいじゃねーか! 何とか、何とかなんねーのかよ?!」
「……ダンジョンを攻略するしかないね。まあダンジョン未経験者では、入門はともかくとしても、初級は酷だろうから、氾濫する前にダンジョンに行くしかないね」
その場にへたり込む秋彦。しばらく重い沈黙が流れるが、その空気の中、優太が声を出す。
「というより、ライゾンさんは本当に一体何者なんですか? 初めてのこの世界に生まれたっていうダンジョンのことを僕たちより知っているし、この時計についても使い方を知っているし、言葉の端々から人に強くなって欲しいということを言ってますが、その理由もわからないし……」
真剣な優太表情にライゾンはため息一つつく。
「ふむ……では一つだけ。我々は人類の敵ではない。だが人類には強くなってもらわないといけない。そういう使命を帯びている。そのためにダンジョンについての説明役を買って出ているんだ。このダンジョンを利用して強くなってもらうために、ね」
「……その理由は、どこまで強くなれば教えてくれますか?」
「中級ダンジョンを制覇し給え。そうしたらすべて教えてあげよう」
「二言はねーな?」
「その頃になっていれば教えても大丈夫だろうしね……いいだろう、魔術師としての名をかけよう。これは魔術師にとってとても重いことだ。もはやこの約束は破れないものとなったのだ」
釈然とはしないし、胡散臭い話ではあるが、ここでは引き下がるしかないだろう。ライゾンと戦ってどうにかなる話でもなさそうだし。
「しかし、これ氾濫し出したらどこもかしこも大騒ぎになるぞ……」
「……せめて、商店街に被害が出ないように、周辺のダンジョン攻略しよう」
「そうすればいい。さて、このダンジョン検索は既に一度突破されているものは水色になる。が、放置していたら氾濫し出すので、定期的に回った方がいいだろう。といったところでダンジョンウォッチの説明は以上だ」
「……初級突破したらまたなんかアンタ……いやアンタ達の事について話してくれるのか? 仲間がいるとは聞いたが」
「いいだろう。それがダンジョン攻略及びレベルアップのモチベーションとなるなら」
「……分かった。とりあえず周辺のダンジョンとかいろいろ考えなきゃなんねーことできたし、今日はここまででいいや」
「うむ。ではまた会おう。次は初級ダンジョン突破後に、ね」
そういってライゾンは再び青い光を纏って消えていった。
「親友、ぐずぐずしてらんねーぞ。すぐにダンジョンの場所と数を把握してダンジョン潜らねーと」
「その前にステータスの補強云々やらなきゃ、このまま行ってもやられちゃうよ」
「そっちもか。時間ねーが、今日は一旦終わりだ。ステの補強とスキルとか。そこら辺何とかすんぞ!」
「うん!」
皆様のご愛顧を受け、もう少し今のペースを維持するよう努めていく事にいたします。これからもどうぞよろしくお願い致します!