一章
~目覚め、そして始まり~
冷たい感触が伝わって来る。
「んん…あれ?ここ…どこ?」
目が覚めたら何処なのか一切分からない部屋に居た。一面白一色で継ぎ目のようなものは一切無い。天井には、青白く発光するパネルが数枚、多分照明なんだろうなぁ…。そして近未来な丸いドアと大きな窓ガラス、ガラス越しには得体の知れない計器類が並んでいる…あ、これ、完全に閉じ込められてますわ。所謂監禁状態って奴?…ひとまず落ち着こう、そうしよう。まず、どうしてこんな部屋に閉じ込められてるんだっけか…えーと、確か…友人と都市伝説の調査に訪れて、はぐれて、さ迷ってるうちに意識が遠のいていって…つまり、何者かにドナドナされたと。そう言えば自分の姿を確認していなかったな…違和感だらけでイヤな予感しかしないけど…「はい?もしかして、これ、私?姿変わりすぎなのでは?」
大きな窓に映っていたのは白髪の少女だった。オマケに猫耳と猫尻尾まで付いてる。尻尾が動揺したように揺れてる。うん、本物の尻尾だね。触ったら変な感覚したし。背丈は140前後、髪は腰まで伸びるストレートロング、手足は非常に細く、弱々しい様な印象を与える。後地味に重い。何処が、とは言わないけど。体格の割りに育ちすぎなのでは?「違和感の正体はこれだったのね…まさか猫耳と尻尾があるなんて思ってもいなかった…オマケに、連れ拐われる前より幼児化してるとは思わなかったよ…。そんな事より、これからどうするべきかな…と言うかどうしよ?」考えが纏まらない。考えても見て欲しい、いきなりドナドナされた挙げ句、目が覚めたら猫耳美幼女化していていた上にSFチックなお部屋に閉じ込められていたんだよ?冷静に考えることなんて出来るわけがなくない?
「ん~、なんにも思い付かないや!暫く寝てよ。」開き直って寝ることにする。寝ていればきっと、恐らく、多分何かしら打開策が思い付くでしょ。
―――――――――――――――――――――――
「ん~、お手上げかも。」一時間程ゴロゴロしていてら、多少落ち着きを取り戻したので再びどうしようか考えたわけだけど…まず、ここから出られない。どこかに抜け穴がないか…とか、天井のパネル外れないかな…とか、ドアの鍵開いてないかな…とか、『開けゴマ』で、開かないかな…とか、まぁ、色々考えて試してみた訳なんだけど全て不発に終わった。「…そう言えば、アイツ…今何処に居るんだろ…無事なのかな?それとも同じように連れてこられちやったかな?まあ、アイツの心配をしている場合じゃないんだけどね…。」ついついうっかり、ここに連れ去られる前に同じ場所に居たであろう友人の事を考える。アイツなら多分大丈夫だろ。逃げ足早いし。見つかったとしても謎ラックと知識と機転を生かして逃げ延びてそうだけどなぁ…「ふわぁ…」おもわずあくびが出る。この体になれるのに、相当時間がかかりそうだなぁ…なんて考えていたら眠く…なって…来ちゃった…
―――――――――――――――――――――――
「んん…ん~、はぁ、良く寝た…」どれくらいの時間が経ったのだろうかうっかり眠りこけてた。うん、景色は相変わらず白一色…かと思いきや赤く染まっていた。
外から聞こえてくるのはくぐもってはいるけど…アラートっぽい?非常事態な訳?もしかして、ドア、開くんじゃ…あっ、開いた。開きやがったよこのドア。「えぇ…開いちゃったよ。こんなセキュリティで大丈夫なの…?」
…この建物の警備システムどうなってるんだろ?まあ、こっちからしてみればザル警備の方がありがたいんだけどね、脱走する上では。
部屋を出て直ぐのフロアにある姿見を見てふと気が付く。首に何か着けてある。ナニコレ?拘束具か何か?取り敢えず外すための鍵とか無いかな…「あ、あれっぽい。…本当、管理雑すぎない?」正にご都合主義万歳ってレベルの呆気なさ。逆に罠なんじゃないか…って警戒したくなるレベルだよ、ホント。
「ん…?何か体が軽くなったような気がしてきた…!」実は、ついさっきまで首に付けられていた拘束具、あれには対象の身体能力を抑制し、特殊能力を封印する能力が付いていたのだが、その事を知るのは大分後のお話。
―――――――――――――――――――――――
その頃、施設地上エリア、第三区画にて、小規模な戦闘が起こっていた。攻め込んでいるのは人間、エルフ、半狼族、小人族等の連合部隊、対して迎え撃つは人型から多脚型、はたまた無限軌道型まで様々なレパートリーを持つ機甲兵の一団だった。機甲兵団は連合部隊と比べ練度も兵器の質も圧倒的に高く、おまけに頭数も多かった。連合部隊は徐々に制圧されていく。隊長とおぼしき人族が指示を飛ばす「総員、撤退だ。今回の我々の目的は達成された様だ。これより計画は第二段階に移るぞ!」
その声に連合部隊から歓声が上がる。そして彼らは撤退して行く。ある置き土産を残して…。
初投稿作品です。中の人が、深夜テンション状態で執筆しているので至らない点が多々あると思いますが、よんで頂けると幸いです。