第21話
前書きのネタ切れとはいっても何か書かないと自分的に納得できないので、何かないか何かないかと、パニック時のドラちゃんなみに頭を絞ってここの欄を埋める事にします。
と言うわけで久しぶりに真面目な前書きをしたいと思います。……そう!真面目な前書き!
例えば、この作品の題名『ノンストップ!!』ですが、……特に何か考えがあってつけた題名じゃないので語れません。
……
ま、まぁ、強いて何かを語るというなら、いつか言ったと思いますけど、私はタイトルをつけるのが物凄く苦手だったりするわけです。そんなこんなで必要不可欠のタイトルを決める際に当たり障りの無いものを選んだ結果がこれだったりするわけです。
私のハンドルネームの『上葵』も『あいうえお』並び変えただけですし……。各話にタイトルをつけなかったのも面倒くさいから、というのもあればネーミングセンスがないからというのに起因するわけです。
おおっ!タイトルだけでこれだけ語れれば上々ですね!
なんだ前書きって思ったほど難しくないじゃないですか!
おぅし、そうと決まれば、お次は……
……
そう、ですね…
…トンネルのライトがオレンジ色なのは、橙は光の波長が長く、遠くまで照らしやすいからです。一番遠くまで届く色は赤なのですが、ドライバーが興奮してしまうので次に波長が長いオレンジが採用されたそうです。
…
非常にタメになるトリビア、ですね…
暖冬なんてものは年を明けるまでの話で、一月の今の気温は連続冬日、厳冬、恐怖の気温。
だけどそれは外の話だ。
部屋の中は全く持って関係ない、人間の叡智の結晶、我らがエアーコンプレッサー様が部屋を暖かく保って下さっているからな。
内と外の気温差で曇りきった窓の向こう側の世界に帰宅が憂鬱になって来たが、今暫くは部室でぬくぬくさせてもらおう。
「そうだ!」
声がしたので、窓から視線を声の主に移す。
「野球をしよう!」
「…」
また世迷い言を…。
「部長、何を言ってるんですか?」
放課後の部室の過ごしやすい気温のなか、ノンビリムードを打ち破るが如く発せられた部長に突っ掛かるように語調を強めて尋ねる。
「この間の金曜にさ、甲子園の発表をやってたんだよ」
まるで子供のように瞳をきらめかせ嬉しいそうに部長は言う。
「なんの発表ですか?」
しかしその質問に部長はゆっくりと考えこむように組んだ。
「さあ」
「…」
あきれて物も言えない。
注目もしてないじゃないか。ただ単になんかの発表があっただけで話題の切りだしに利用するには無理があるだろ。せめてもうちょっと番組を見てくれ…。
「ともかく私はそれを見て思ったんだ」
いつもより部長はなんだか興奮しているように思える。
冬だし熱でもあるんじゃないかな。
「弾ける汗、響く怒声、輝く涙、砂に塗れる両かいな!ああ!これぞ青春だねぇ」
「…負けてんじゃん」
俺そんな青春いやだよ。
勝負だったらやっぱり勝ちたいよ。
「野球したいな…と」
今までの話でそうなるのがおかしい。
「青春=野球って思考回路が単純にもほどがあるでしょ」
「ははは、何を言うか雨音。野球のルールは単純じゃないぞ?知ってるか?野球のルールは複雑怪奇、それはもうあらゆるパターンに備えてルールブックは激厚なのだ」
「ルールの話じゃ無いですって!」
「野球のルールはまだ公式じゃない頃、状況に合わせ合わせで付け足していったからあんなにルールが多くなったんだそうだ。テレビでそんな事言ってた気がするぞ。それに知ってるか?野球のルールブックじゃ空中でボールがバラバラになってもミットで全部の破片をキャッチ出来ればフライと見なされてランナーはアウトになるんだぞ」
「知ってますよ…、漫画仕込みのトリビアをここぞとばかりにアピールしないで下さい…」
「…」
やれやれだわ。
部長は残念そうに首を下げたが、またすぐに復活して不敵な笑い声をあげ始めた。
「ふははは、じゃあ、これは知ってるか?野球っていうのは政岡子規がつけた造語で彼の本名のノボルからノボール、野ボール、野球…」
「知ってます」
部長は俺の一言にぐっと息を飲み込むと、すぐに反省の色なしに話を進めようとした。立ち直りは凄いな。その打たれ強さ、ボクシングの世界の方が向いてるんじゃないか?
「ま、まぁ、ともかく野球をやろう!チーム名は…」
「ちょっと待ってくれ」
今まで黙っていた楓がスッと手をあげた。
そのまま部長を流し目でみる。
「どう考えたってメンバーが足りないじゃないか」
あきれるように冷淡な口調で楓は部長にそう告げた。
「む、むぅ…そうだな…6人か…」
「俺はやらん。勝手にメンバーに加えるな」
「6人じゃ後5人も必要じゃないか…」
「それはサッカーの人数だ」
やっぱりこの人根本的にルールが分かって無いよ…。
「私がルールを理解していないだと?」
「ええ」
他のみんなはもうこの話題に飽きたのか各々暇潰しを開始していた。
その様、利用した事ないけど噂に聞く児童館のようだ。
芳生と楓なんて家からトレーディングカードゲーム持ってきてやってるし…。
後で俺も仲間に加えてもらおう。
「聞き捨てならないぞ」
偉そうに目の前の女性は俺の発言に食ってかかってきた。仕方が無いから部長の相手を俺がしてあげているのだ。
だって元野球少年だし(小学生の時の話だけど)。
「私ほど野球のルールを熟知している人はいない」
「その自信がどこから来るのか知りたいです」
「ははっ、いいだろう!ならば雨音私に野球のルールを聞いてみろ!なんでも答えてやるぞ」
「そうですね、じゃ…」
そんな急に尋ねられても困る。野球のルールね…なんかいいのあったかしら。
…この人別に野球知らないんだからテキトーな事でも訊きゃいいか。
「オフサイドってなんですか?」
「オフサイドというのは、まずピッチャーがボールをキャッチしてから一塁を踏み、それからランナーが…うんぬんかんぬん…」
「…」
見事な知ったかぶりである。
オフサイドはサッカーのルールだ。
やはりこの人サッカーと野球の違いがよく分かってないみたいだな。
「無知の知って知ってますか?」
「ソクラテスが唱えた言葉だな。知らないという事を知れ、つまり無知を自覚せよ、という意味だ。…ところでそれがどうかしたのか?
部長の知識の枠はスポーツには該当しないらしい。
「それで部長。野球って何人でやるんでしたっけ?」
「貴様、私を馬鹿にしているのか?…9人だ、それ以上も以下もない」
あ、それは覚えたんだ。
「自分チームはそれでいいかも知れませんが相手チームをいれて18人ですよ。仮に娯楽ラ部の全員が参加してもあと12人、どうするですか?」
「相手チーム?そんなの野球部でいいだろ」
「は?」
相手が野球部?
何を言ってんだ、このアマ…。
「試合は彼らの練習にもなるだろう。そして油断してるところを勝利!私達が下克上してやるのだ!」
この発言で唯一認めるのは俺達の方が立場が下という意味の下克上という言葉のみである。
「…部長。遊びの野球なら6人いれば十分です。他の部を巻き込むのはやめましょう」
「ぬ?…常に遊びに真剣であれ、私は一切手を抜く気はない。それに私ほどの才能があれば分裂魔球なんて三分で覚えられるね」
無謀ッ!
そう、バットすら握った事がない茶道部が甲子園球児に挑むくらい無謀じゃ!
「大リーグボール3号は二日くらいかかるかな…」
野球盤でも再現が難しそいそんな技を彼女は出来るというのかっ、だったら野球界の新星になれよ。
「…」
「なぜ黙る?」
「キャッチボールくらいならいつでも相手するから言って下さい」
ストレス発散になら付き合うから、我が部の恥を他部にまで拡げないでいただきたい。
「なんで私がお前とキャッチボールしなきゃなんないんだ?」
部長はヒヤリとナイフのように言い放った。
「…地味に悲しいです」
部長と俺はキャッチボールをする砕けた仲にはまだなっていなかったというのか…。
ショックだ。
「ああ、すまんすまん、そういう意味じゃないぞ。練習ならみんなでやった方が効率が良いだろ、まずは千本ノックからだぁ〜」
「練習って、…6人でですか?」
俺が言ったキャッチボールは練習じゃなくてストレス発散の意味なんだけど…、まあ、今は置いとくかな。
「…そうだな…娯楽ラブ6人じゃあと3人足りないな…う〜む」
「マジでチームを作る気ですか…?」
「ま、いざとなったら私が3人分になるから問題はないけど、…ああ、元の分をいれて4人分か、…余裕だな」
「だから、そういう問題じゃないですって」
「じゃ、どういう問題だ?」
「チームを組むという以前に…」
「はっ!わかったぞチームを組む前にすべき事があったな!」
…最後まで聞いて下さい。
だって、彼女絶対俺の言いたい事分かってくれてないんだもん。
「チーム名を決めないとな!」
…ほらね。
「さっき言いかけたんだけど、つけるんだったらコレがいいなって、前々から考えてた候補があるんだ」
「候補?」
あ、部長ネーミングセンス、は…
「秤サンダース、ってどうかな?」
最悪なんだった。
「どうも、こうも…」
はっきり言おう。
「弱小少年野球チームみたいです」
和水と同じだし。




