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15(8)

なんかほんとに書くネタがありません。

助けてゴーストライター〜!


あ、明日も更新します。




真紅の絨毯がフカフカで、靴を履かずにこの感触を味わってみたいところだが、和水の家は洋式だそうで、また回りの目を気にするのならば節操なくソレを実行する事は叶わないようだ。

絨毯が敷かれる理由はいくつかあると思うが、足音を消すという防音効果も一つにあげられるのはたしかだと思う。和式かなんかじゃウグイス張りの廊下とか玉砂利しいた庭園なんかで常に敵の侵入を警戒しているというのに全く正反対な文化を西洋と東洋では歩んでるんだな。と、一人思考を脱線してみせたり。

まあ、つまり俺が言いたい事は音を発てずに廊下の端にいる俺達に近付くのは容易い、という事。


「お前達は何をやってるんだ?」


一階から二階に上って来た部長が珍走団の集会の如く会合を見て、少しだけ眉ねにシワを寄せて聞いてきた。

ここまで近付かれ声をかけられるまで全く気がつかなかった。


「こんなとこに集まって…」


当然の疑問だろう。廊下の一角での人口密度が辺りの閑散さに比べて著し過ぎるからな。


「これからフルフルに会いに行くところ、ですかね」


よくわからないうろ覚えの知識で答えてみる。だって俺の中の最新携帯ゲーム機はワンダース○ンで終わってるもん。


「なんの話をしてるのか理解出来んが…」


「一狩行こうぜ!」


取りあえず言ってみた。


「うるさい。二次元世界ではアクティブに行動してても現実ではただの引きこもりという事を理解しろ!」


「…ゲームなんてどれもそんなもんでしょ」


というかなんの話してるのか理解してるじゃないですか。とてつもなく流行っているあのゲームですよ。よく知らないけど。


「それで、一体どういう意味だ?」


「だから、一狩行こうぜ!」


「うるさい!外で友達と一瞬にいるのにやる事がベンチに座って『おいしくやけましたー』って、じゃ、なんの為に太陽の下に出たの?って話だ!『僕ら○太陽』以外で外でプレイする事を私は認めない。太陽の光のせいでお外に出られない究極生命体の気持ち考えた事あるのか!?」


さすがにカチンときたのか、要点をえない俺の返答に部長は苛立ちを隠すことなく、一気に捲し立てた。

そういう問題じゃない気がするが、一応共感できるところはある。


「あー、分かります。俺も部長の気持ち。RPGは一人でやるもんですもんね」


「おお同士よ。分かってくれるか。あと電車の中でタッチペン使うのはやめろ、と言いたいね!タンタン音がするから」


リズ○天国とか太鼓○達人の話をなさってるのだろうか。それは確かに。イヤホンして本人は音漏れ防いでる気になっていても、根元ではなんの解決もしてませんもんね。

ま、彼女の言いたい事を推理すれば…


「ええ、分かります、分かりますとも。つまり羨ましいんですね。最新の携帯ゲーム機が…」


「グッ…」


俺もぶっちゃけそうだから分かります。

最後にプレイしたのがゲーム○ォッチの柿沢部長。いや、ゲーム○ーイだっけ?カラーやポケットになる前の。

部長は取りあえず自分の口先が不利なったと分かると、用件を手短に話そうと、した。


「いや、それはそうと、ちょっと用事があって上に来…」


「…おまたせ致しました。冒険の準備が整いました」


がちゃ、先ほど山本が頭をぶつけた扉が開いて、何やら大装備のイロハさんが敷居を跨いで廊下まで出て来た。


「あ…」


部長はイロハさんの格好を見てあんぐりと口を開けたまま言葉を失っている。


「皆さんにも装備を用意しました。注意して下さい、武器や防具はちゃんと装備しないと意味がありませんから」


背中に機関銃-もちろん本物ではないだろう-を背負ってTメイド服と機関銃状態のイロハさんが一番始めの町の武器屋の横にいる人みたく喋ってから、肩に引っ掛けていた鞄をドシンと床に降ろした。


「まずは勇者様にはこれです」


「っは!?これは!?」


鞄のジッパーをジジジと開けて無骨にイロハさんは一本のすり棒を取り出し芳生に差し出した。


「ひのきの棒、です」


ええ、ええ、まごうことなくひのきの棒ですよ!

大人しくソレを受け取る芳生。攻撃力が雀の涙ほどの上昇を見せるソレを右手に握り締め、勇者芳生の冒険が今スタート!…したらしい。


「それからコレ」


「え?」


イロハさんが握り拳を空中に持ってきたので芳生は促されるように手のひらを上にして彼女の手の下に差し出す。



ぱっ、と彼女の五指が開かれ、ポトリと茶色い何かが、彼の手に落下した。


「…10円?」


「10ゴールドです。王様からのはなむけす」


…。イロハさんは芳生の手のひらの10円玉をかたくなに10ゴールドと言い張ってから彼女はまたしゃかんでバックをいじりだした。

というか今理解したぞ…


この人ゲームオタクだっ!!


「そして魔法使いの楓さんにはこれです」


楓の手をとって、イロハさんは10ゴールドと同じように楓に何かを握らせた。


「えーと、これ…は?」


楓はためらいがちに受け取った物を目の前に持ってきてジッとみている。

黄色の星型のバッチのようだ。

…なんだ、あれ?


「シェリフスターです。能力値が大幅に上昇します。戦闘要因のものですが後方支援のキャラに装備させるのもよいかと。そして」


ごそごそとポケットから、何やら取り出して、また楓に渡した。

バッチも十二分に意味不明だが、次に渡されたソレはそんな次元の話では無かった。


「これは…」


楓の手には…、

鼠色のキラリと光る憎い奴…拳銃が…


「…」


それを見つめて静止する楓。当たり前だろう、いきなり出会って間もない人に渡されたのがバッチと銃ってなんだそれ。


「えと、…」


言葉を繋げようにも何も思い浮かばない、という様子で冷や汗をダラダラ垂らしている。

見兼ねた部長が楓の肩に手をおいて拳銃に一瞥くれると、小さく呟いた。


「安心しろ、モデルガンだ」


それだけいうと、彼女は摺り足で後退し、もといた位置に落ち着いた。

楓はどうやらその一言で平静を取り戻したらしい。部長に言い返すように手に握られる銃に向って言葉を落とす。


「…そんなの分かってるんだよ…」


もしここで本物なんて持ってきたりしたらイロハさんは逮捕されるだろう。よってアレは贋作。そんなの誰でも理解している事だ。部長の発言はなんのフォローにもなっていない。


「いえ、弾はでます」


イロハさんがようやく楓の手の中にある物の説明を始めてくれた。

って、弾がでるっ!?


「どうやらエアーガンみたいだな…」


楓がマジマジとそれを見つめて付け加えた。


エアーガン…


あまり俺にはいい思い出がない品物だな。

夏休みは部長にそれでボコボコにされるし…


あと、これは小学生の時の思い出だけど…、

幼心に何故かBB弾の代わりに団子虫を詰めようとして、それで、えっーと、

装填させるとこに丸くなった団子虫を入れようとして、…潰しちゃったんだよね、こう、ブチュっと…。

…ゴメンなさい、団子虫くん。あの時の感覚がいまだに忘れられないよ…。うう…。



「ワルサー?ねぇ?ワルサー?」


芳生がピョコピョコと飛び跳ねながら、楓とイロハさんに尋ねる。

…お前、銃の種類それしか知らないんだろ…、俺も人の事言えたもんじゃないが…。


「黄金銃かっ!?」


山本(先生)もピョコピョコと飛び跳ねながら楓とイロハさんに尋ねる。

…お前銃の種類それしか知らないんだろ…、って、関係ねぇだろ!っおい!!


「いえ…」


イロハさんは口の接着剤を剥して答えた。


「これは、ARM(アーム)です」


…なんの話してるんだよ、この人。


「楓さん」


「はい?」


「使い方を間違い無いように」


使い方…って、…まぁ、少なくとも団子虫を詰めようとするなという意味だよな、うん。

イロハさんはそれだけいうとすぐに、しゃがみ込んで鞄から別の物を取り出した。

どうやら楓の装備は終わったらしい。


「雨音さん」


スクッと、糸で持ち上げたマリオネットみたく立ち上がったイロハさんが、今度は俺のところによってきた。

順番から考えて次は俺の番らしい。


「あなたには、これです」


さく


「?」


耳元でそんな音がした。

勘違いしないでほしい、決して俺の心臓が刺されたとかじゃないから、ただ…、…刺されたのはたしかだ。


「あの…、どういう事ですか?」


どうやらカチューシャらしい。俺の頭に刺されたのは。

しかも、ただのカチューシャではない。

頭を動かす度に微妙な違和感が生じる、それ。どうやらコレは…っ


「ウサミミバンドです」


「だっ〜〜!?やっぱり!?」


なんでここでバニーガールやんなきゃなんないんだよっ!


「遊び人の職業で思い付くのがそれしか無かったので悪しからず。ああ、あとコチラもどうぞ」


俺が文句をいう暇を与えずにイロハさんはまたなにか新しいアイテムを俺に手渡した。

ピンク色のもふもふした、綿毛みたいなやつだ。

なんだこれ?


「うさぎのしっぽ、です。ぴちぴちギャルへの転職に使うかもしれません」


「使いません!そんな職業ありません!」


い、いかんこのままじゃ素で遊び人になってしまうっ!?誰か不思議の飴を20個持って来てくれ!そしたらすぐに転職するから!


「そして、山本さんには…」


「お、俺か?なんでも貰いますよ!ええ」


「では…」


今度は鞄まで戻る事なく、イロハさんは無造作にポケットに手を突っ込むとすぐに取り出して、それを山本(先生)に手渡した。


「あの…、これ…」


受け取った物を見てクエスチョンマークを飛ばす山本(先生)。彼の手にはボトルキャップ…のような物が握られていた。


「それは私がさっき買ったペットボトルについてきたいらないおまけです」


「は?」


「…失礼。正しくは…」


どうやら山本(先生)に渡したのはペットボトルの口つける部分にネックレスのようにかけられたおまけらしい。

いらないのについてくるんだよなぁ、アレ。


「………」


「どうしちゃった?」


「師匠という職業のパロメーターをあげる、…えー、彫像です」


「マジで!?」


どうやらイロハさんも買ったはいいが興味ないボトルキャップを処分するのも忍びないので、山本(先生)に渡そうという計画らしい。

なんてテキトーな理由だ。


「お、おお…」


「…」


「あ、有り難く貰っておくよ」


そして受け取っちゃう山本(先生)。

絶対騙されてます。


山本先生は少しだけ嫌な顔をしたあと「むう」と唸りながらポケットにそれをしまった。


「あー、うむ。お前達が何をやってるのか理解出来ないが…」


今までの一部始終を見ていた部長が小さく呟く。


「取りあえず今は置いておこう、用があってお握り作りを中断して上がってきたんだ」


部長が上に来た理由を説明しだした。

ああ、そういえばなんでなのだろう。


「楓の家族から電話があって呼びにきたんだ。折り返し電話するように、と言ってたぞ。それから山本先生、これからの経路について少しお話したいのでお時間よろしいですか?」


「電話?」


「うむ、電話だ。下の電話を使ってもいい、と和水が言ってたぞ」


「そうか…」


楓は小さくコクンと頷くと、シェリフバッチと銃をイロハさんに返すと、すぐに部長のと横をスッと抜けていった。

イロハさんはそこはかとなく残念な顔をすると、しゅん、と鞄にそれを戻す。

まぁ、良かったじゃないですか、ボトルキャップじゃなくて。


「それじゃ、ほら。先生、いいですか」


「おっ!これはアレか!教師と生徒の秘め事かっ!?」


「…」


虫けらでもみるような目で先生を見たあと部長は何も言わずに楓の後に続くような形で歩きだした。


「…」


その場には俺と芳生とイロハさんが残される。


はっ!


「パーティが大量脱退しちゃったねぇ」


「ええ、ですが我々の目的は終わりません」


「「魔王を絶対にたおす!!」」


「…」


ゲームフリークの中に一人取り残されてしまった一般人の俺に居場所はあるのか!?


次回に続く!



…もう、なんだよ…




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