死後の世界
書いてて展開はやいなって思った。
たぶん途中読むの面倒。
目が覚めた。
そこに感じた違和感。
私は死んだはずだ。
学校の屋上から飛び降りて。
でも私は目を覚ました。
あれか、ここは死後の世界とかいうやつか。
周りを見渡すと、そこはまるで病院の待合室。
死後の世界っていうと、果てしなく広くて白い、みたいなイメージだったけど、そうでもないのかな。
「えー、十七歳、生鷺郁さーん。三番の部屋へどうぞー。」
おっとここまで病院仕様とは。
三番の部屋に入った。
そこにいたのは、二十代くらいの男性と女性が一人ずつ。
男性は、その整った顔に満面の笑みを浮かべて言った。
「おーめでとうございまーす!!あなたは『幸福賠償システム』が適用されることになりましたー!」
いえーい、ぱちぱちぱちー、と手を叩く男性。
溜め息をつく女性。
訳がわからず目をぱちくりさせる私。
「いやぁ、死んでいきなりそんなこと言われても訳わかんないよねーw」
ほんとだわ。「訳わかんないよねーw」じゃないわ何草生やしてんだあんた。
「さて、自己紹介しよう。僕は神。死後の世界、つまりは天界を司る神だね。天界っていうのは、天国と地獄と、あと改世の三つで出来てるんだ。んで、僕は死んだあとの魂が三つのうちどこに行くかも決めてる。まぁ、昔は神が決めてたけど、今は死んだ時点でほぼ機械的に決まっちゃうから、表面的にだけだけどね。 だから僕、現世―――あ、君が生きてた世界ね―――では、閻魔なんて言われてるみたいだねぇ。」
あ、この人、閻魔なんだ。
それにしても早口だなこの人…いや、神か。
「はい、で、えーと…なんだっけ、何話すんだっけ」
「落ち着いてください、神。『幸福賠償システム』の話です」
女性が初めて口を開いた。
なんか秘書っぽい。
「んーと、『幸福賠償システム』についてだね。ちょっと説明が面倒なんだよなぁ…。長くなるけど、ちゃんと聞いててね?まず、人間ってさ、寿命までの幸福の量と不幸の量がだいたい決まってて、それらはほぼ同じくらいの量になるんだ。もちろん個人差はあるけど。ほら、良い事あった後に悪い事あった、なんて覚えない?あんな風にバランスを保って、幸福、もしくは不幸のどちらかが多いなんてことにならないようになってるんだ。ただ、不幸をたくさん得て、その分の幸福を得られないまま亡くなってしまう人がいるんだ。そんな人の為の『幸福賠償システム』だ。病気や交通事故以外の死因で、他者の強引な干渉により得るはずだった幸福を得られず、不幸を多く得たまま亡くなった、っていうのが『幸福賠償システム』の適用条件だね。」
あ、じゃあ私の人生は不幸だらけだったのか。まさか幸せな人生とは思ってはいなかったけど。
「『幸福賠償システム』っていうのは、天界のうちの一つ、『改世』で得られなかった幸福を与えられるんだ。ただ、幸福だけだとちょっとありがたみがないでしょー?だから、寿命までの幸福と不幸を得られるんだ。『改世』で幸福と不幸のそれぞれ全てを得るまでの早さには個人差があるけど、幸福をたくさん得たならあとから不幸が、不幸を得たならあとから幸福が得られるよ。まぁ『幸福賠償システム』が適用される人のほとんどは、『得られなかった不幸』の量は『得られなかった幸福』の量の半分以下の状態で『改世』に行くんだけどね。」
一通り説明が終わったらしい。神は、説明してる間ずっと、手元の紙(おそらく説明が書いてある)から目を離さなかった。
「あ、ちなみに『幸福賠償システム』が始まったのは十年前で、毎年四百人を選んで『改世』に行ってもらってるよ。はい、『幸福賠償システム』と『改世』の説明終わりー。あと何か質問あるかな?『改世』に行けばだいたいわかると思うけど。」
じゃあ質問聞く気ないだろ。
「…質問は特にありません。説明ありがとうございます。」
神は満足げにうなずいた。
「それでは、『改世』に行きましょうか。こちら、『改世』の地図です。あと、お金ですね。改世ではお金を稼ぐ必要はありません、働きたければ働くこともできますが。それでは、お元気で。」
女性から地図とお金が入った封筒を受け取る。
「お元気で」も何も、もう死んでるじゃん…というツッコミは野暮だろうか。
女性は部屋の奥の扉を開けた。
「こちらから先が『改世』となります。」
「ありがとうございました。」
満足げな笑みを浮かべる神と微笑む女性に礼をして、扉の向こうへ向かった。
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改世は、意外と普通の街並みだった。
普通にビルとか店とかあるし人もたくさん歩いている。地図を見る限り住宅街もあるらしい。
現世と違うのは、人の髪の色がカラフルなことくらいか。まるで二次元キャラのように。
これからどうするかなぁ…。
考えてみれば、私って今、見たことない場所に着の身着のまま放り出されたってことだよね。
…とりあえず歩いてみるか…。
でもやっぱり眼帯してるから人の目が気になる。
なんとなく、大通りを抜けて路地に入った。
路地を歩いて二分ほど。
ただ行くあてもなくふらふら歩き回りながら、まず衣食住をどうすべきか考えていた。
そんな時、少女とぶつかった。
路地だからすれ違う人も少なく、人とぶつからないように、などという意識がまったくなかった。
ただ、私が少女とぶつかったのは、私の不注意ではない。
少女が上から落ちてきた。
路地歩いているときに上から落ちてきた少女とぶつかるなんて想像もしなかった。たぶん普通ならしなくていい心配だろう。少女が落ちてくる事自体普通ではないのだから。
「…ごめんなさい、大丈夫…?」
恐る恐る、声をかける。
「うぅ~っ、痛いのです…。ごめんなさいなのです…。」
少女は顔を上げた。
白髪の美少女。
少女を見た瞬間、その言葉がぴったりだと思った。
少女は私を見て言った。
「わぁ…!美少女なのです~!」
出すの楽しみだった白髪ちゃん。
書いてる途中で幸っていう字がゲシュタルト崩壊した