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未来の野球マンガ

栄治はある日、いつものように投球練習をしていた。

その日もいつものように投球練習を済ませて、普通に終わるものと思っていた。




ところがその日、不思議な光があたりを照らしていた。


「な、なんだこの光は!?」


次の瞬間、その不思議な光の中から、1人の男と、1冊のマンガ本が現れた。


「マ、マンガ本!?」


そしてなぜかその男は、野球のユニフォームを着ていた。


しかし、そのユニフォームは栄治が着ているようなユニフォームではなく、かなり派手なデザインのユニフォームだ。


まるで未来の時代の、プロ選手が着ているようなユニフォームだ。


そしてそのユニフォームには、ある高校の名前が書いてあった。


「ここはいったい…。」


その男は自分に何が起きたかということを、まだ充分に理解してはいない様子だった。


もしかして、別の世界、いや別の時代から、ここに飛ばされてきたというのか…。


さっそく2人は話をする。


「君はもしかして、未来の時代からやってきたのか?」


「えっ?もしかしてこの時代は、昭和の戦争前の時代ですか?

僕は平成という時代からやってきた者です。」


「もしかして君は、中学野球大会の…。」


「いえ、僕らの時代は、高等学校、つまり高校の大会になっていて、間もなく100回を迎えるんですよ。

終戦後の間もない頃に復活して、それから学校の制度が改まって、旧制中学から高等学校、つまり高校の野球大会に改まったんですよ。

ああ、申し遅れました。自分の名前は、神埼球児(かんざき・きゅうじ)という者です。」


「それで、神埼球児(かんざき・きゅうじ)とやら。

君の時代には軍隊とかあるのか?あるとするなら、どこの何部隊の所属だ?」


「いえ、実は僕らの時代は、憲法9条で戦争放棄を掲げているため、陸海空軍というのは無いんですよ。

ただ、専守防衛という意味合いで、自衛隊というのはありますが、一般国民は基本、軍隊に所属することもなければ、徴兵されることもない。」


「何だって!?」


「ですから、日本はアメリカと戦争になって、そのアメリカとの戦争に負けて、焼け野原になってしまった。

野球も、敵国アメリカのスポーツだからということで、衰えてしまった。

戦後になってから復活して、僕らの時代には、アメリカ大リーグに挑戦する日本の選手たちが数多く出てきているということです。」


「日本とアメリカが、これから戦争になる!?

そして絶対に負けるはずのない、天皇陛下の治める神の国日本が、アメリカとの戦争で、負けるだと!?

何を言っているんだ!そんなことがあるはずがない、日本が、戦争で負けるなど…!?」


栄治は信じられない気持ちとなった。いや、栄治だけでなく、当時の日本男児の考えは、おおかたこのようなものだったろう。


栄治はその未来の、平成という時代から来たという男、神埼球児(かんざき・きゅうじ)の話を聞いて、釈然としないものを感じていた。


「このマンガのタイトルは、『野球ハイスクール騒動日記』というのか。」


栄治はそのマンガ本を拾って、さっそく読破してみることにした。


「何!?ストレートの球速が160kmだと!?」


それに、聞いたことのないような名称の変化球を投げていた。


たとえば、ツーシームとか…。



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