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ロジック  作者: なかじまこはな
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重なる思い6

「いや、大丈夫だよ、多分、手を切ったくらいだと思う」


凛と朗は少しホッとした。



◆◆◆

崇は江口の言葉に息を飲んだ。


話し声が聞こえ、気になり盗み聞きをしていたのだ。フラフラとした足取りでベッドに戻るとシーツを頭からかぶり体の震えをおさえるように丸くなる。


嘘だ…信じない…微量の血なら大丈夫…けれど、監禁されているのは確実になってきた。


大丈夫だと何度も言い聞かせても頭の中は悪い方へと考えが行ってしまう。


違う…違う…と呪文のように唱える。


父親を刺して暫くの間もこんな感じだった。


洗っても…


洗っても…


手についた血が消えてくれないあの感触。



◆◆◆

江口はある程度説明をして帰って行った。


「麻薬の密売人か…」


エディが呟く。


「お兄さんは逃げて来たのかな?」


朗はエディに視線を向ける。


「それもあるだろう…けど、目的は日本国内での販売だろう…日本は金持ちだと思われているからな、アメリカみたいに麻薬国じゃないから法もあまり決まりがないし、怖さを知らない若い子は興味本意で買うだろうね…武器売買もな」


「電話をかけて来たのは誰なんだろう?殺した犯人?それにウォンはどこに?」


朗は考えれば考える程に分からなくなる。


自分に携帯を拾ってくれた、あの殺された韓国人も何か関係あるのかな?


「さて、謎解きは明日だよ、もう寝なさい、凛はもう一つの部屋のベッドを使っていいよ、私と朗はソファーに寝るから」


エディは数人で泊まれる部屋に移っていた。


「おじさんは金持ちだよね、昨日まではスィートだったし」


「経費で落とす」


エディはニヤッと笑う。


「仕事何してるの?前は軍に居なかったよね?」


「秘密だ!早く寝なさい」


エディは朗に毛布を渡す。


暫くは事件の事を考えていたが…朗は段々と眠気がしてきた。


携帯…そうだ…携帯を手にしてから変な事ばかり起こる、あの韓国人は俺に何か言った。


韓国語訛りだった…。


『お前、崇だろ?ウォンに頼まれた』


頭にそう過ぎった。


崇…!!


そうだ、アイツは崇と言ったんだ。


朗がソファーから勢いよく起き上がる。


崇…アイツ何に巻き込まれてるんだよ。


そう考えた時に微かに水の音が聞こえて来た。


誰かトイレかな?


そう思ったが水音はずっと続いている。


朗は気になり、シャワールームのドアを開けると崇が洗面所に立ち手を洗っていた。


「何だ、崇か…お前起きて大丈夫なのか?」


後ろから声をかけるが崇は反応しない。


「シカトかよ」


ムカつく、そう感じたがおかしいとも感じた。崇は勢いよく出した水で手をずっと洗い続けている。


声をかける前から手を洗っていたのなら、もう洗い終えてもいいはず。


崇の手に目をやると冷たい水で洗い続けているせいか赤く腫れていた。


「崇、何やってんだよ」


朗は崇のその異様な行動に蛇口を閉め、水を止めた。


水が止まっている事に気付いた崇はまた蛇口をひねり水を出し洗い始める。


「やめろよ、手腫れてんだろ!」


崇の両手を掴み洗面台から引きはがす。必死にもがき、また手を洗おうとする崇を後ろから羽交い締めにする。


「崇、どうしたんだよ!」


と彼の耳元で叫ぶ。


「血がついてる…」


崇は自分の両手を見つめる。


「血?血なんてついてないよ」


朗が怪訝な顔で答える。


崇はじっと自分の両手を見つめてい。その両手には血がベットリとついていた。もちろん実際にはついていないのだが彼にはべっとりと鮮血が両手についているように見えるのだ。


崇は怯えるように悲鳴をあげると朗を振り払い、必死に蛇口をひねる。


「崇、崇、やめろってば!血なんてついてない!」


朗は必死で崇を洗面台から引き離そうとする。水は勢いを増し、その跳ね上がる水しぶきで辺りは水浸しになる。


朗はどうしていいか分からず怖くなった。


崇が明らかにおかしい…自分ではどうする事も出来ない。


「どうした?」


騒ぎで目を覚ましたエディがシャワールームへ来た。


「崇が血がついてるって、ずっと手を洗うんだ…血なんてついてないのに」


暴れる崇を押さえながら朗は泣きそうになりながらに訴える。


エディは必死で洗おうとする崇の両手を掴むと洗面台から引き離すがエディさえも気付かないように洗面台に行こうとする崇の頬を軽く叩いた、その衝撃で崇はようやくエディをみた。


「崇、血なんてついてないよ」


優しい口調で言う。


「大丈夫だよ、夢を見たんだ」


そうエディに言われ崇は、エディを見つめ返すと、そのまま彼の腕の中に倒れ込んだ。


凛も騒ぎで目を覚まし、崇の異常な行動に既に泣いていたが倒れた崇の側に慌てて凛は駆け寄った。





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