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ロジック  作者: なかじまこはな
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重なる思い2

「凛ちゃんはまだ仕事中だろ?余計な事言って心配させたな…ごめん、江口さんに電話いれておけばいい」


竜太朗は二人を宥める。


「江口?」


崇が名前に反応した。


「崇君も知ってる江口さんだよ」


そうだった…朗は江口を知ってる、俺の過去を聞いたかな?一瞬、考えた…でも、どう取り繕っても消せない過去だし…そう考えた。


凛が、崇の過去を話している事を彼は知らない。


「崇、朗、座りなさい!話は終わってない、食事も途中だよ、…崇と朗を間違ってるのなら凛の存在は知らないよ、顔もろくに覚えてないんだから」


エディにも窘めるられ二人はイスに座り直す。


「でも、危険なのは変わらない…、犯人は少なくとも2つの班に別れてる」


「どうして?」


朗の言葉にエディは、聞き返す。


「崇の部屋を荒らした犯人はどうして俺の部屋を荒らす必要があるわけ?俺を崇だと思ってるなら俺の部屋の存在を知らないだろ?俺の後をつけてきて襲って荒らすんじゃなく、俺が来る前に部屋は荒らされていた…俺を誘拐しようとした奴は俺は崇と呼んだ…変だろ?」


その言葉にエディ達は頷いた。


「それと、もう一つ…、銃を撃って俺が誘拐されそうになったのを阻止したヤツ」


「はっ?」


先に声を出したのは竜太朗だった。


「竜之介が言ったんだ、俺が殴られて車に乗せられそうになった時に車の窓ガラスが割れて、相手が怯んだ隙に竜之介は助けを求めに走れたって、後を追って来たヤツも撃たれたって…」


「本当か竜之介!」


竜太朗は驚くというより真っ青になり、小さな自分の息子の身の案じを改めて心配になった。


「うん」


竜之介は怖がる様子もなく返事をした。


「それで、今日…詳しく調べてきた、蓮さんに内緒でね…車が止まってた位置から周りを見たら、ちょうど車の窓ガラスを隠れて撃ち抜ける場所があった、…パチンコ店の5階の窓が開いてた、多分そこからライフルか何かで撃ったんだと思う、パチンコ店は一ヶ月前に閉店してて、鍵もすぐに外せるんだ」


パチンコ店は朗の部屋への近道で使った建物だった。


エディ、崇、竜太朗の3人は無言だった。


まるで映画かテレビの中の出来事かのように思える。


だが…現実だ。


「銃って…本物だよな?」


竜太朗がようやく口を開いた。


「当たり前だろ?窓ガラスを撃ち抜くんだぜ?後、足を撃たれた犯人なんだけど、外国人だから日本の病院行ったら目立つけど…」


朗はちらっと、エディを見た。


「逆に軍の病院なら目立たない…銃が暴発したとか誤魔化しも出来る、そう言いたいんだろ?」


朗は頷く。


「分かった、調べてみよう…それから、本当は小さい子供にあまり聞きたくないんだけど」


エディが今度は竜之介を見た。


「僕、平気だよ!何を話せばいいの?」


「怖くなったら話を止めてもいいからね…竜之介は誘拐犯の顔覚えてる?」


竜之介はうんと頷く。


犯人は、崇にも話したウォンと話していた外国人だと話した。


「なるほど、じゃぁ、間違いなく軍関係者だな」


「けどさ、何で朗や崇君の部屋を荒らしたり誘拐しようとしたんだ?」


竜太朗は首をひねる。


「そうだよな、けど…俺は崇に間違えられたんだから、崇が恨みかうような事したんだろ?」


朗は、まだ根に持っているのか嫌みっぽく言う。


「俺は人に恨みかうような生き方はしてない、お前と一緒にするな」


崇も嫌みで返す。


「俺だって無いつーの!」


「ハイハイ、どうせ負けるんだから喧嘩は買わない!」


竜太朗が宥める。


「きっと、犯人が欲しがる物を朗と崇兄ちゃんが持ってるんだよ」


竜之介が話に入る。


「あ~、一理あるな、お前 名探偵コナンみたいだぞ、事件の謎解いちゃえよ、じっちゃんの名にかけて」


「じっちゃんの名にかけては金田一少年だよ」


竜太朗は可愛い息子に冷たい突っ込みを受ける。


「欲しがる物?」


崇は首を傾げる。


確かに自分は恨みをかうような生き方はしていない、むしろ…人との関わりを避けて生きてきたのだから。


「何か思い当たる事ないのかよ、誰かに何か預かってたとか…返してない物があるとか…でも、ウォンと顔見知りなら本人に聞いた方が早いかな?」


朗の言葉に崇は悲しそうな顔をした。


「ウォンは今…行方不明なんだ」


崇の代わりに、エディが答えた。


「いつから?」


朗は驚くと、身を乗り出した。


「凛とお前が映画に行った日だよ」


「何で行方不明なんだよ」


「分からない…人と逢うからって別れたから」


そう答、崇は俯く。


「人と逢う?誰に?」


朗の問い掛けに崇は首を振る。






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