ココロのドア4
苛立ちに開放されたようにスピードも少しづつ落ちてくる。
「華はお母さん似ね…本当、そっくり」
マキコはようやく、苛々顔から笑顔に戻る。
「殴るとこ?」
「それもあるけど、素直じゃなくてあまのじゃくなトコよ、朗をイジメてるもんね」
「な、何よそれ!」
「華は私みたいになっちゃダメよ。」
そう言うと片手を伸ばし、華の頭を撫でた。
素直じゃないのは自分でも分かっていた。
どうしても素直になれない…。
華のように好きな相手にはとことん、意地悪をしてしまう…。自分でもバカだと思った。
◆◆◆
「で、どうだった?」
竜太朗がニヤニヤしながら崇をつつく。
「どう…って、何がですか?」
崇はキョトンとする。
「またまた、惚けて~華ちゃん服着てた?どこまで見た?」
そう聞かれて、思い出したのか一気に耳まで赤くなる。
「おっ、可愛いねぇ~その反応~お兄さん意外にも純情?見直した。」
と竜太朗はバンバンと崇の背中を叩く。
「竜太朗さん、意味わかんね~崇を見損なってたのかよ。」
朗が鋭い突っ込みを入れる。
「見かけ判断だよ、カッコイイ男は嫌いなんだよ、ナルシストっぽいだろ?女は必ず自分に惚れると言う自信持ってんのがイヤ」
竜太朗は、偏見をサラッと流すように口ばしる。
「でも、実際 崇はモテるだろ?」
「いやいや、聞かれただけで赤くなるんだから遊んでないと見た」
今度は、根拠の無い自信を口にする。
「そうなの?」
朗を始めとする3人から見つめられ崇は困ったように俯く。
「で、どこまで見た?ん?薄情しろ」
竜太朗から執拗に迫られ、崇は思わず後ずさる。
「あ、…あんな一瞬だし…後ろ向いてたから、わか…分かんない」
慌てたように答える。
「なんだ~つまらんなぁ…華ちゃん華奢だけど絶対に着痩せするタイプだと思うんだよな…胸もデカイと見た」
竜太朗は、腕を組んで何に頷いてるのか朗達には分からないが、しっかりと頷きながらにそう言う。
「え!ないだろ?」
朗が疑わしげに返す。
「あるって確実にCはある」
と竜太朗は予測する。
「Dだと思う」
崇がボソッと呟く。
「なんだよ!やっぱり見てんじゃん!」
3人同時に突っ込まれ崇は耳と言わず首までも赤くなった。
「崇兄ちゃん正解!華姉ちゃんはDカップだよ、後…凛姉ちゃんもDだよ、ねっ!朗」
竜之介がニコッと笑って朗に確認する。
「凛まで…何で知ってんだよ…」
大人3人は、天使の笑顔で大人顔負けの発言をする竜之介に釘づけとなる。
「だって、凛姉ちゃんも華姉ちゃんとも一緒にお風呂入った事あるもん、その時に聞いたら教えてくれたよ」
「さすが!我が息子!シッカリ巨乳チェックか!ブラボー」
竜太朗は、竜之介を褒めたたえながら抱きしめる。
「竜太朗さんが言わせたんじゃないだろうね?」
朗は冷たい視線を竜太朗に送る。
「バカ者!男は皆、巨乳大好きなのだ!DNAに組み込まれてるんだよ、竜之介も大きい方がいいよな?」
「うん!」
大きく頷く竜之介に竜太朗もそうだろう!と頷いている。
「竜之介はまだ子供だからいかがわしい感情は入ってないんだよ、エロオヤジめ!竜之介こっちに来い、エロオヤジが感染するぞ」
と朗は竜之介の腕を取り、自分の方へ引っ張る。
「おう!エロオヤジで結構!そう言う自分だって元カノは巨乳ばかりだろ?凛ちゃんだってDなんだろ?この巨乳好きめ!」
「た…たまたまだよ」
朗はうろたえながらに答える、まぁ…結局は朗も巨乳好きだと言うわけである。
「崇はどっち?」
竜太朗は崇にも話しを振る。
「えっ?」
「えっ?じゃない、大きいか小さいかどっちか聞いてるんだよ」
「えっ…、俺はその…」
崇は、どう答えていいか分からず、挙動不信だった。
「何だよ、カッコつけてんじゃないよ」
竜太朗は、執拗に崇に答を求める。
困った崇はその場から逃げたいくらいだった。
『楽しそうだな』
後ろからエディの声がした。
『エディ』
崇は、笑顔になると立ち上がり、エディに助けを求めに走る。
「こら、俺はジャイアンか!後ろに隠れやがって」
竜太朗は、崇を問い詰めるのを諦める。
『崇、どうした?顔が赤いけど、熱あるのか?』
『いえ、ないですよ』
崇は笑って誤魔化す。
『おじさんはさ、胸…大きいのと小さいのどっちが好き?崇は答てくれなかった』
朗は、ニヤリと笑うと英語を話す。
『朗…お前、英語』
崇は、流暢に英語を話す朗を意外そうな顔で見た。
『少しなら分かるんだよ』
『ふーん、バカだと思ってた』




