ココロのドア2
お腹の虫に竜之介が笑おうとした時にドアがノックされた。
二人に緊張が走る。
朗は竜之介から離れるとゆっくりと立ち上がりドアへと近付き 恐る恐る、覗き穴から外を確認するとマキコが立っていた。
朗は途端に笑顔になりドアを開ける。
「あら、オハヨウ、朗大丈夫なの?」
マキコは微笑むと差し入れが入った袋を朗に渡す。
「ありがとう!さすがマキコさん、腹減ってたんだ」
朗は嬉しそうに中を確認する。
「頭打ったんでしょ?大丈夫?」
マキコは手を伸ばすと朗の後頭部に触れる。
「うん、大丈夫、ごめん…マキコさんにまで心配かけて」
「朗が大丈夫ならいいのよ、華がね、昨日泣きそうな声で電話して来たから」
「華にも謝らなきゃ…、華はまだ寝てるよ、中入ってよ」
マキコを中へ入れるとドアを閉めた。
「まだ、竜太朗も崇君も寝てるのね」
部屋の中へ進むとソファーで気持ち良さそうに眠る竜太朗と崇が目に入る。
「おはようございます」
竜之介がお辞儀をしながら挨拶をする。
「オハヨウ竜ちゃん、お腹空いたでしょ?差し入れ持って来たの、食べよう」
「うん」
「ココア飲むでしょ?お湯は?」
後ろを付いて来た朗に聞く。
「ポットはあっち、マキコさん袋2つあるけど、たくさん持って来たんだね」
マキコの手にも一つ袋があった。
「これは華の着替えよ」
と微笑む。
◆◆◆
華は夢を見ていた。
小さい頃の懐かしい夢だ、華は佐世保に住んでいたがマキコの実家へ毎日のように通った。
もちろんそれは朗が居るから…。
当たり前に側にいたただの幼なじみがいつから愛しい存在になったのだろう?
いや、きっと始めから…朗が好きだった。
手を繋いで海で遊んだり、山へ冒険したり。…
とても懐かしい夢だった。
ふと、…目を開ける。
天井が目線の先にある。
何で?そう思った瞬間には自分がベッドに寝てるんだと理解した。
「嘘、朗は?」
慌てて起き上がり周りを見たが朗の姿がない。
「華、起きたの、おはよう」
ナイスタイミングでマキコがドアを開けた。
「お母さん、朗は?」
おはようよりも先に朗の名前が出る。
「竜ちゃんとハンバーガー食べてるわよ」
華はベッドから下りると、猛スピードで朗の側に行く。
「華、お…」
「朗、大丈夫?!頭痛くない?ふらつかない?気分悪くない?」
朗はおはようと言うつもりだったが華が掴みかかる勢いでそう聞いてきた。
「う、うん、大丈夫」
迫力に負けながら返事を返す。
「本当に?嘘ついてない?」
華は詰め寄り、
「うん!大丈夫!本当に」
朗は迫力にのまれ後ずさる。
「良かったぁ」
華は笑顔になる。が、次の瞬間
「大丈夫ならいいわ、アタシ、シャワー浴びようかな」
と立ち上がる。
「着替えあるわよ」
マキコは袋を渡す。
「さすがお母さん」
笑顔で受け取ると機嫌よくシャワー室へと入って行った。
「マキコさん…華ってマイペースだよね」
朗がポツリと呟く。
「エディに似たのよ」
マキコは笑顔で言う。
「あれ、マキコちゃん」
寝ぼけ顔の竜太朗がいつの間にか起きていた。
「おはよう、竜太朗、ハンバーガー食べる?」
「お父さんおはよう、ハンバーガー貰ったの」
竜之介は食べかけのハンバーガーを竜太朗に見せている。
「食べる!」
あくびをしながらマキコ達の元へと来た。
「朗、大丈夫か?」
ハンバーガーをモグモグ食べている朗に笑顔で声をかける。
「うん、ごめんね心配かけてさ、昨日は飲み明かしたみたいだね」
「うん、タダ酒は美味かったぜ」
と竜太朗は袋の中を物色する。
周りが一気にうるさくなったので崇も目を覚まし、寝ぼけた顔で起き上がる。
「崇君おはよう。崇君って寝顔可愛いのね、目の保養になったわ」
マキコはニッコリと微笑む。
「マキコちゃん、俺の寝顔は目の保養になった?」
竜太朗がワクワクした表情で聞いている 。
「ごめん、なるのは崇君と朗みたいな美少年限定だから無理!」
マキコは即答した。
崇は少し照れてしまって顔を洗いに洗面所へ向かう。
「あ、待って今、華が……」
と朗が声をかけた時には崇と華の悲鳴。
その後に顔を赤くして謝りながら崇が出て来た。
崇の悲鳴の方が大きかったのは気のせいか?と残りの3人は思った 。
朗達の方へ慌てて戻って来た崇は耳まで赤くなっていた。
「いいなぁ…崇君は目の保養が出来て」
真剣な顔で呟く竜太朗をマキコはグーで殴る。
しばらくすると華がシャワーを浴び戻って来た。




