表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ロジック  作者: なかじまこはな
8/135

変わった依頼

史郎が出て行った後、「アンタ、まさか借りる気じゃないでしょうね?」と華が低い声で言う。


「断るよ!…でも、明日中に何とかしないとマズいんだよね」


「ねぇ、いつも何に使ってんの?」


「外人バーの金髪姉ちゃんに貢いでんじゃないの?」


と晴彦が華と朗の話に勝手に加わる。


「貢ぐかアホ!お前こそ早くお金出さなくてもエッチさせてくれる彼女見つけろよ」


朗は嫌味を言い返す。


「…それはどう言う意味?」


華が怪訝そうな顔で晴彦を見た。


「何言ってんだよ!華ちゃん違うからね、変な事言うなよ山田!」


晴彦はかなりテンパっている。


「名字を呼ぶなバカ晴」


「バカ言うなよ、山田」


「だから山田言うなって!」


と始まったバカみたいな喧嘩にウンザリした華が止めに入ろうとした時に、


「タロウちゃんみっけ!」


と声がした。


朗が嫌がる本名は山田太朗。


「げっ、大家さん」


朗は一歩後ろに下がる。


語尾にハートがついた呼び方をする大家はれっきとした男性だ。


でも、心は乙女な大家さんはお姉言葉を話す度に体もリズムを取るかのようにクネクネと、動く。


動いてないと喋れないのだと朗は思っている。


「あ…お金は、まだ…なんだよね」


近づいて来る大家からゆっくりと後ずさるように逃げる。


「う~ん。私としては払えない方がいいんだけどねぇ~あら晴彦君、仕事は?」


カウンターの晴彦に気付き微笑む。


「今からでーす、じゃぁまたあ」


と晴彦は逃げるようにハンバーガーの袋を片手に歩き出す。


「今度、髪切りに行くからね~もちろん晴彦君指名しちゃうね」


とウインクする。


「あはは~嬉しいなぁ」


と心にも無い事を言いながらドアを開けようとするがドア付近に居た女性とぶつかりそうになり慌てて、


「すみません」


と謝る。


「いえ、こちらこそ」


と晴彦に微笑んだ女性はサラサラの黒髪のストレートで、瞳が大きく、キラキラと輝いていて、まるでペルシャ猫のように愛らしかった。


晴彦は照れ笑いをして見とれている。


「そうそう、タロウちゃんきお客なのよ、凛ちゃんいらっしゃい」


と大家はその美少女に手招きをする。


「あの…私、依頼をお願いしたくて」


美少女はその姿に合う、可愛いらしい声でそう言った。


「い、依頼?」


美少女を目の前にして緊張してるのか朗は声が裏返る。


「そうよ、彼女は凛ちゃんって言うの、可愛いでしょ?私の次にだけど…、ウチのママンと彼女のお母さんが友達でね~昔はよく遊んであげてたのよ、でね」


「大家さん、ちょっと黙って!」


大家がお喋りだと承知している朗は彼…いや、彼女のお喋りを止め、


「あの、座って下さい。えっと、座布団は?あ、華!お茶」


と続け、凛を奥のテーブルへ招いた。


「お茶?座布団?あるわけないでしょ!アンタの家じゃないんだから」


華はおもいっきり不機嫌そうに言う。


「お前、感じ悪いぞ!あの、何か飲みます?」


華に怒り、凛に気を使う朗に華は益々、不機嫌になる。


「いえ、大丈夫です。それに…ここではちょっと…」


凛は言いにくそうにチラリと周りを見た。


仕事に行くと言っていた晴彦や、身を乗り出し興味津々の竜太朗、山本に要が周りを囲んでおり…ただ、華だけはムッとした顔で野菜をザクザクと切り刻んでいた。




仕方なく朗は凛を自分のアパートへと招き入れたが、電気も点かない、お茶も出せないと慌てたが大家がコーヒーを煎れて来てくれた。


「依頼って言うのは?」


早速、仕事の話を切り出す。


「はい。兄の事で…」


「お兄さん?」


凛は頷くと、バッグから写真を出した。


「家出?…って年齢じゃないよね…あっ、お兄さんの彼女の素行調査?お兄さんカッコイイね、アイドル系」


写真は男性が二人写っており、二人ともカッコイイ部類に入り、特に凛が兄だと指差した男性は朗が見てもカッコイイと感じれる程、顔立ちが整っている。


「家出にも近いですね、…最近、帰って来ないし…」


「えっ?お兄さんは成人してるんだから帰って来なくてもおかしくないんじゃ?彼女と居るのかも…」


「居る場所は知ってます…この隣に写ってる…、ウォン君って言うんです、彼のアパートだと…」


ウォンと言う名前に朗が反応すると、韓国籍だと凛は付け加えた。


「えっ?何?二人付き合ってるの?」


深刻そうな依頼に感じていた朗ははやとちりにも似た発言をする。


「違います!」


凛は即答した。


「そうだよね~」


朗は笑ってごまかす。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ