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ロジック  作者: なかじまこはな
79/135

君の涙の理由5

「何よ!さっきまで泣いてた癖に、ほら薬飲んで」


と朗の手の平に薬を乗せる。朗が口の中へ薬を入れると今度は水を渡す。


「飲んだら寝なさい!」


と次は無理矢理にベッドへと朗を寝かせる。


「だから優しくしろってば!」


「ウルサイ!自業自得でしょ?」


「まぁ…そうだけど」


「アタシは凛ちゃんみたいに優しくないもん」


何を思ったか華は勢いが薄れ、小さい声でそう言った。


「何比べてんの?」


「別に比べてなんか…比べ物になんてならないとか言いたいの?」


「違う、凛と華は元から違うだろ?それぞれ育った環境も性格も違うんだから比べる事なんて俺はしないよ、乱暴で説教好きな所も華の良い所だし…あと、泣き虫?」


「何よそれ!アタシいい所ないじゃない?それに朗の方が泣き虫だよ。」


華は嬉しかったが照れくさくて素直になれない。


「華、ごめんな心配させて…ちゃんと謝りたいけど…今、眠い…だから明日謝る…」


薬が効いたのか朗は眠りにつく。


寝息が聞こえてくる。


「何がごめんよ…何が明日謝る…よ、本当にバカなんだから」


華は流れてくる涙を手で拭う。


もう絶対に誰かをこんな風に愛せる事なんてない…きっとアメリカに逃げても、どこに居ても…朗を忘れる事なんて出来ない。


「朗のバカ…本当はアメリカに行くなって言って欲しかったんだよ。…なんで好きって言わなかったのかな?そしたら…何か変わったかも知れないのに…」


華は朗の手を強く握った。



◆◆◆



「竜之介、これからはちゃんと大人の言う事を聞く事!危ない事はしない!約束だぞ。」


竜太朗は竜之介と視線を合わせて真っ直ぐに彼の目を見ている。


竜之介も逸らす事もせずに真っ直ぐに見つめ返すと


「はい。約束します!」


と誓った。


「よし!来年はお兄ちゃんだからな、しっかり頼むよ」


と竜太朗は頭を撫でる。


「来年お兄ちゃんって事はお子さん生まれるんですか?」


と側でビールを飲んでいた崇が聞く。


「そうなんだよハニーがね~2人目を」


と一気にデレっとした顔になる。


「どちらかは判ってるんですか?」


「楽しみに取ってるんだよ、竜之介の時も聞かなかったし」


竜之介を膝に乗せ缶ビールを開ける。


エディが竜之介にジュースを持ってくると、膝から下り、エディの横に座る。


「竜之介、懐柔されたな」


「怪獣?ゴジラ?」


竜之介はキョトンとする。


「違うよ、懐柔、物で相手に釣られちゃう事だよ」


崇が優しく説明をする。


「だって、おじちゃん優しいもん」


「何だ?お父さんは優しくないのか?」


竜太朗は拗ねた真似をする。


「だって、お父さん…赤ちゃんの事ばかり言うもん…、お兄ちゃんになるのは嬉しいけど、お父さん取られちゃう」


と俯き、寂しい顔をする。


「竜之介!」


竜太朗はエディごと竜之介を抱きしめる。


「お父さんは竜之介が大好きだ!赤ちゃんが生まれても大好きだからな」


そんな二人の会話を聞いていた崇が、


「竜之介、愛情は半分に減らないんだよ、むしろ増えちゃうんだ、来年家族が増えるのは良い事だろ?嬉しい事は皆で喜ぼう。お父さんもお母さんも竜之介と喜びたいんだよ、お兄ちゃんになれて良かったね」


そう言う。


「うん!一緒に喜ぶ」


竜之介は素直に返事を返した。


「崇君って、大人だよな…、隣の部屋で寝てるガキんちょに爪の垢煎じて飲ませよう」


竜太朗は真顔で言う。


『乾杯しようか?』


カーターが缶ビールを上にあげる。


「乾杯しようって」


崇が日本語に訳すと竜之介もジュースを上にあげた。


5人で乾杯を交わす。


「あ、凛姉ちゃんは?」


竜之介が思い出したように竜太朗を見る。


「凛?」


崇は反応をする。






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