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ロジック  作者: なかじまこはな
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事件の始まり13

「えっ?何で知ってるの?」


「ウォンのお兄ちゃんと公園でまた会ってね、話をしてたらあの人達が来たの…」


朗の問い掛けに竜之介はそう答えた。


コタツがある部屋に場所を変え、朗は今までの事を連達に話した。


「お前なぁ、そんな大事な話はもっと早くしろよ」


竜太朗はカステラを食べながらに言う。


「そんな事言ったってさ、今日思い出したんだもん…あれ?砂糖足りない」


朗はホットミルクを飲んでいたが、甘さが足りないと思ったのか離れた場所にある砂糖に手を伸ばすが届かない。



「蓮さん、砂糖取って~」


と砂糖の近くに座る蓮に助けを求めが、


「お前、糖尿病になるから控えろ!」


と、更に遠くに置かれる。


「ケチ!」


「しかし、この携帯が殺された韓国人から渡されたとはね…」


テーブルの上には携帯が置いてある。


「携帯を渡された時に何か言われ無かったのか?」


蓮が聞く。


「早口の韓国訛りの英語だったしさ…、それにアドレスにTAKASHIってあるんだ」


「TAKASHI?…って崇君?」


と竜太朗。


「わかんないけど…崇のアパートの前で渡されたしさ…」


朗は考え込む。


そうかな?


違うかも…?


「だったらかけてみろよ、TAKASHIにハッキリするだろ?」


「それは無理、充電切れてる。」


「お前、こんな大事な時に…」


竜太朗は何故かガッカリしている。


「大丈夫、俺と同じ機種だから充電器取りに行くよ」


と朗は立ち上がる。


「ダメだ!許さん」


蓮が珍しくキツイ口調で朗を止める。


「ちょっと、取りに行くだけだよ…」


少し、ビビりながら言うが


「ダメと言ったらダメだ!座れ!」



蓮に怒鳴られ、朗は大人しく座った。



◆◆◆


『ウォンから電話が?』


『はい。着信が入ってて、かけ直したんですけど繋がらなくて』


『そうか…』


崇はウォンの上司に逢いに来ていた。もちろん、着信があった事を教えに来たのだ。


『あの、何か分かりましたか?』


『今、それどころじゃなくてね。韓国人が殺された事件は知ってるよね?彼はウォンの友人だったんだ。もしかしたらウォンも何か事件に巻き込まれてる可能性がかなり高くなってね…』


上司の言葉は小さな希望さえも砕くようなもので…。


もし、そうなら?


だったらウォンは?


違う、大丈夫!だって連絡があった…きっとどこかに隠れてて…崇は悪い方向へ考えてないように必死だった。


黙り込む崇に上司は


『心配はいらないとは思うよ、連絡があったのなら…少しでも希望を持とう!分かったら必ず君にも教えるから』


と元気づける言葉をかけてくれた。


『俺も何か出来る事があれば手伝います。』


絶対に大丈夫!そう信じよう。ウォンは俺が助ける…だって、大事な…親友だから。


崇は何度も自分にそう言い聞かせた。


『君は口は堅い方かな?』


『はい。』


崇を信用してくれてるのか、それとも友達を心配する崇に同情をしてくれたのか…上司は軍で起きている事件を話始めた。



崇が基地を出る頃には月が辺りを照らしていた。

ポプラ並木を真っ直ぐ歩いているとロジックの看板が目に入った。


持ち帰りの小窓から華の姿が見える。 崇が窓を叩くと華が振り向き、笑顔を見せた。


「崇君、本当に来てくれたんだね」


華は窓から顔を出す。


「うん。社交辞令嫌いだから。でも、もう閉まるみたいだね。もっと早く来れば良かったなぁ」


「大丈夫よ、すぐに出来るから。何にする?」


「お任せするよ」


そう言って、崇は寒いのかくしゃみをする。


「あ、寒いよね。中入って待ってて」


「いいよ、掃除の邪魔になるし」


崇は両手をダウンジャケットのポケットに突っ込み、外にあるベンチに座る。


ロジックのドアが開き、マキコが出て来た。


「寒いでしょ?これ、サービス」


と崇にホットコーヒーを渡す。


「えっ?いいんですか?ありがとうございます。」


笑顔を見せ、素直に受け取った。


「本当、彼の言う通り、素直でハンサムね」




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