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ロジック  作者: なかじまこはな
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お金がないんです。4

「はいはい、泣かないで、ハンバーガーあげるから」


華が慰めるように竜太朗の前にハンバーガーセットを出し、朗と竜之介にもセットを出した。


「華、砂糖は?」


朗はココアが入ったカップを手に回りをキョロキョロしながら砂糖を探す。


「そのココア、砂糖入ってるけど?」


不思議そうな顔をしながら華は朗にスティックシュガーが入った袋を渡した。


「知ってる」


そう言いながら朗はスティックシュガーを3本取り出し、ココアに入れ掻き混ぜだす。


もちろん全員がウッと顔をしかめる。


「朗…甘くないの?」


竜之介さえも少し嫌そうな顔をしているが朗は平気そうな顔で飲む。


彼は大の甘党だった。


「そう言えば朗って、いつもイチゴ牛乳だの、バナナ牛乳だの…甘い物ばかり飲んでるもんね」


華は露骨に嫌そうな顔をして朗を見ている。


「露骨に嫌そうな顔すんなよ、何飲もうと俺の勝手だ!」


朗はまた勝ち目がない口喧嘩を買う。


「見てるこっちの身にもなりなさいよ、それにそんな甘ったるい物飲みながらウチのハンバーガー食べないでもらいたいわね!」


「はいはい、喧嘩はしない、仲良くハンバーガー食べような」


竜太朗が彼らの喧嘩の間に入る。


「あれ?このハンバーガーメニューに無いよね?」


竜太朗が手にして食いつこうとしていたハンバーガーは初めて見る物だった。


「うん、新しくメニューに入れようかな?って、初めに竜太朗さん達に食べて貰って感想聞こうかな?って…どうかな?」


華は緊張した面持ちで竜太朗を見る。


「美味しいよ、うん!マジで美味い」


ガブリと食べた感想はそれだった。


本当に美味しいのか竜太朗は勢いよく食べている。


「華姉ちゃん、美味しいよ」


竜之介も新メニューを気に入った様子で、ニコニコしながら食べている。


「本当?よかった~ぁ、ありがとう竜太朗さんに竜ちゃんも」


華はホッとした顔になる。


「本当、美味しいよお姉ちゃん」


「あ~、朗には期待してないから、それから竜之介君の真似しないで殴りたくなるから!」


華は拳を握る。


「へぇ~新メニューかぁ、華ちゃん俺にも」


晴彦も興味津々な顔でハンバーガーを見ている。


「もちろん!それと、史郎さんにも勝手に作っちゃてるわ」


「それはありがとう華ちゃん、味わって食べますね」


史郎は優しい笑顔で礼を言う。


「最近またハンバーガー屋が増えたからなぁ、華ちゃん大変だろ?」


と竜太朗が話を振る。


「ロジックの近くに建ててる店ってハンバーガー屋なんでしょ?」


晴彦の言う通り、通を挟んだ向こう側に店が出来ている。


「うん…」


華は心配そうに外に目をやる、…視線の先はもちろん通りの向こう。


売上が下がらないか、心配なのだ。


「新しく出来てもロジックには関係ないだろ?こんだけハンバーガー屋あるのにわざわざココに来てるんだ、すぐに移るような客はこの店の常連にはいねーよ」


朗が甘いココアを飲みながらそう言う。


「そうだよ、朗君の言う通りだよ、…それより朗君はどうしてジャージなの?マラソンか何かの帰りかい?」


史郎の突っ込み通り、朗は上下ジャージ姿だった。


本当はここに居る全員が突っ込みを入れたかったのだが、普段から彼のファッションセンスは頭を抱えるものがあり、まあ…要するに不思議ではない…、それを知っている史郎以外全員は突っ込みを敢えて入れなかったのだ。


「あぁ、これ?着る服が無かったから」


「洗濯してないのかい?」


「したいんだけど出来ない、電気止まってるから」


「はぁ?またなの朗!電気代払ってないのね、だったら手で洗いなさい」


華は呆れた顔でそう言う。


「あ~…、それも無理、水道止まってるから…ついでに言うならガスも」


「えぇっー」


この「えぇっー」はもちろん全員の声だ。


「水道って滅多に止まらないだろ?俺もたまに携帯とか止まったりするけど、水道は…止めた事無いよ」


晴彦は本当に驚いた顔をしていて、…華は呆れて物が言えない。


「そうだよな、水はライフラインだから余程じゃないと止めないんだけど」


竜太朗は呆れるのを通り越し関心している。


「半年払わなかったら自然に止まった」


朗は平然と答える。


「待って…家賃は?家賃はどうしてるのよ」


華は頭を抱えながら聞く。


「そんなの払える訳ないじゃん、残高見ただろ?今日中に払わないと体で払えと大家に言われてる」


「あははは」


「笑うな華!」


華は深呼吸をし、


「もう笑うしかないでしょ!このバカ男!ハンバーガー食べてる暇ないでしょ!何とかしなさい!」


と力いっぱい怒鳴った。

「華ちゃん落ち着こう!山本君、水!」


竜太朗が華を落ち着かそうと必死だ。


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