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ロジック  作者: なかじまこはな
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センチメンタル 4

「絶対に幸せにするって言ってたのに、…あんな風に辛い思いさせるくらいなら…産まなきゃ良かったとさえ考えてしまうよ。…だから産むなって反対したのに」


竜太朗は泣いているように見えた。




◆◆◆



『おっとイケない、電話入れるのを忘れてた』


エディは腕時計をチラリと見る。


『電話?』


マキコが聞く。


『明日の仕事の予定を通訳の子に言う約束をしてたんだ。』


と携帯をポケットから出す。


『子?通訳してるのは子って呼ぶ年齢なの?』


『25、6って聞いてるんだけど幼くて女の子みたいに可愛い顔してるからつい、そうだ華、彼は恋人居ないと言ってたから紹介しようか?』


エディが華に笑いかけるが、彼女の心はどこか遠くを見ているように上の空だった。


『電話してくるからゆっくりしてて、…あっ、もしもし崇?』


と耳に携帯をあて、足早に店の外へと出る。


「華?おーい。戻って来い?」


ぼんやりしている華の顔の前でマキコは手を上下にヒラヒラと動かす。


「お、お母さん何?あれ?お父さんは?」


エディが居ない事にようやく気付く。


「全く、ぼんやりしてるんだから、あまり食べてないし、美味しくない?」


「美味しいよ」


華は慌てて料理を口にする、本当は味なんてしなかった。


「華、そんなに考え込む事ないのよ。行かないなら行かない、行きたいなら行くの2つでしょ?」

そんなに簡単に言わないで…と華は言いたかったが、確かにその通りだ。


「お母さんはどうしてほしい?私に行って欲しい?」


華の目は迷っていて、答を欲しがっていた。


「それが華の為ならね、私はエディに華は渡さないとは言えないわ。彼にとっても大事な娘だし、お母さんと暮らすより贅沢出来る。それに本当は大学も行きたかったんじゃないの?お金かかるからって遠慮したんでしょ?」


「違うよ!違うもん、お母さんは私が居なくなったら寂しい?」


華は必死に否定をする。


「そりゃ、寂しいわよ。でも、寂しいって理由だけで華を縛りつけたりしないわよ。貴方の自由にしなさい。これは突き放してるんじゃないわよ、華は一人で考えて行動が出来る大人でしょ?」


そう言われ、華は頷く。マキコが言う事も間違ってはいない。


華はただ違う事を考えていた。


「朗に相談したそうな顔ね」


朗と言う名前にドキッとしる。


「図星」


マキコは微笑む。


アメリカに来ないかとエディに言われた時から、朗の顔が頭から離れなかった。


もし、行ったら朗と会えなくなる。…そう考えたら胸がいっぱいになって、美味しい筈の料理も再会を喜ばなきゃいけない父親との会話も全て、朗で消えてしまった。


今…どうしてココに朗は居ないのだろう?







◆◆◆



『崇、誰から?』


ウォンはテレビゲームから目を離さずに聞く。


『通訳している人から明日の仕事の連絡だよ』


と崇は携帯を閉じる。


『ふ~ん。でも日曜日は休みじゃ無かった?』


『休みは月曜日に変わったよ、ウォンいい加減にコントローラー返せよ、俺の番だろ?』


『ちょっと待って、もちちょっとでクリア出来るからさ、でも何か断って無かった?』


ウォンは相変わらずにゲームから目を離さない。


『あぁ、なんか娘に会わないかって…こっちに住んで居てかなり美人らしい。夕食を一緒にどうかって…』


『へぇ~、美人なんだ。断るなんて勿体ない』


『バカ~、早く返せって!』


とウォンからコントローラーを奪おうとする。


『もうちょっとだから!崇は何で恋人作らないの?』


とウォンはコントローラーを守りぬく。


『いいだろ!それより、お前こそボヤボヤしてるから凛に彼氏が出来るんだぞ』


『えっ?嘘…。』


ウォンはショックでコントローラーを落とす。崇はそれを素早く拾うと


『マジで!一週間前に紹介された』


崇はクリアボタンを押す、ウォンの記録が消えてしまう。


『凛…、恋人出来たんだ…』


ウォンは記録が消えた事さえ気付かずガッカリと肩を落とす。


『だから早く告白すれば良かったんだ』


『…だって、崇が…』


ウォンは拗ねたように崇をチラリと見る。


『何で俺?自分で言えよ』


『崇は平気なの?凛に恋人が出来て』


『そりゃぁ…嬉しいさ、兄としてはね。やっと兄離れしてくれるってセイセイするよ』


崇はゲームを始める。


『嘘つき』


『何が?』


『好きだろ…凛の事。』


崇はピクリと反応した。


『はぁ?何で妹を』


『血は繋がってないだろ?』


『でも、妹だよ。』


崇は真っ直ぐに画面を見つめている。


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