センチメンタル2
「入れ込み過ぎてないだろ!プライベートとは別けてるよ!」
「夜釣りには誘っただろ?これはプライベート?」
「何だよ!反対しなかったっただろ?」
朗の声はかなり大きい、興奮しているのだと分かる。
「そうだな、けどキスはプライベートだろ?」
「おでこに…って見てたな!」
朗は勢いよく立ち上がる。
「座れ、海に落ちるぞ」
竜太朗は冷静に朗を静止した。
「もう帰る!竜太朗さんとは口を聞きたくない」
朗は子供のような文句を言うと竿を片付け始めた。
「図星だから?」
「違うね!俺は本気で誰も好きになんてならないし、惚れてなんかもいない」
いつもの朗ではなく、激しく動揺しているように見える。
「本気にもならないのにキスはするんだ?」
「おでこだろ!」
「惚れてもいない相手にキス出来るなら誰にでも出来るんじゃねーの?」
その言葉で完璧に頭に来たのか、朗は竜太朗を睨むとサッサと片付けてその場から立ち去る。
竜太朗はため息をつく。
「バカ朗。傷つくのはお前なんだよ」
◆◆◆
ロジックは7時閉店だ。
バイトの2人もすでに帰り、華とマキコの二人で店じまいをしている。
「華、今日は外食にしよう」
マキコがレジ精算をしながら言う。
「いいけど…珍しいね」
「たまにはね。じゃぁ、サッサと店閉めましょう」
と二人で手早く店を閉めた。
マキコが運転する車で来たレストランは結構、値段がはりそうな店だった。
「お金、大丈夫?」
華は心配そうに聞くが
「大丈夫よ。」
マキコは平気な顔でレストランへと入って行く。華も慌てて後ろに着いて、窓際の席まで来た。
席に座りメニューを見ると想像通り結構な値段の料理がメニュー欄に記載されている。
「本気に大丈夫なの?結構…高いよ」
「大丈夫だって、後から来る奴が払うから」
マキコはそう言って平然な顔でメニューを選んでいる。
「誰か来るの?…まさか、再婚したいとか言って誰か紹介する気じゃないでしょうね?」
「まさか~。エディよ」
エディは華の父親の名前だ。
本気で誰かを紹介されたらどうしょうかと心配した華はホッと胸を撫でおろす。
「なんだ~お父さんか、佐世保に戻ってるの?」
「少し前にね、だから高いやつをジャンジャン頼みなさい」
マキコはニヤリと笑う。華は頷くと料理を選ぶ。
「それより華、月曜日映画行くの?」
「行くよ、約束したし。」
「そうか…、朗に見られてもいいんだ」
マキコはボソッと言う。
「何で朗なの!」
華は目を丸くして驚く
「華、声大きいわよ」
華は思わず回りを気にする。
「別に意味はないわよ。ただ、男の子と二人で映画見て食事したら、誰がどう見てもデートじゃない?鈍感な朗だってそう思うわよ」
その言葉で華は一瞬考えた…、確かにデートだと思うかも…
でも、
「デートじゃないもん!それに朗に見られても関係ないもん!」
何故か華は必死に言い訳をする。
「あら。そう?お母さんはてっきり華は朗が好きなんだって思ってたから」
「だから何でよ!」
華はムキになり声を張り上げる。
「華。ウルサイ」
マキコに静かに注意され、慌てて口を押さえる。
「ほら、お父さん来たわよ」
マキコは入り口を指差す。
エディが華とマキコを見つけ、笑顔で手を振ってこちら側へ歩いて来た。
短い金髪の髪に青い瞳に不精ヒゲがよく似合っている。物腰が柔らかそうな紳士が華の父親のエディだ。




