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ロジック  作者: なかじまこはな
23/135

星に願いを6

「でも、こんな雰囲気久しぶりです。家族で食事するの楽しいですね」


凛は嬉しそうに言う。


「お嬢ちゃんは一人暮らし?」


と母ちゃん。


「凛で良いです。私は兄と住んでます」


「両親は寂しかろうね、ちゃんと顔見せに帰りよるね?」


「いえ…、両親はもう居ないんです。小学生の時に母が…、その後に父も亡くなったから…」


凛は寂しそうな表情をする。


「そうね…。知らん事とは言え、辛い事聞いたね」


母ちゃんの声は優しい。


「兄が居ますから辛くはないです。」


「偉かね…、凛ちゃんもお兄さんも…よう頑張って生きて来たね、偉かよ」


母ちゃんはそう言って、凛の頭を撫でた。


その手は優しく…温かい。


「偉く…ないで…」


最後まで言い切れない内に涙が零れた。


母ちゃんの言葉は凛の寂しい部分にスッポリと入ってしまい、泣くなんて思っていなかった凛は自分でも驚いたように、


「ごめんなさい。泣くなんて迷惑ですね」


と慌てて笑おうとする。


「何で我慢する必要あるとね?涙が出るって事は何かを我慢しとるけんよ、我慢せんで良かとよ、誰も泣いてる人ばバカにしたり迷惑がったりするもんね!ちゃんと泣きなさい」


母ちゃんの優しい言葉に凛は、今まで我慢してきた分の涙が溢れてくるのを感じた。


朗が凛の手をギュッと握ってくれた…、その手も温かく優しい。


余計に涙が溢れてくる。


「凛、星を見に行こう!」


朗は凛の手を握ったまま立ち上がり、強引に外へ連れ出した。


外は夜の闇に包まれていたが月の優しい光が二人を照らしている。


二人で空を見上げた。


冬の星座が見える。


凛は手で涙を拭いている。


「母ちゃんの言う通りだ、我慢しないでちゃんと泣け!我慢するな!」


朗は凛をギュッと抱きしめた。


彼のいきなりな行動に驚くが…嫌ではなかった。


「ごめんね。」


そう言うと凛は朗の胸に顔を埋めると泣き出す。

ずっと、ずっと我慢してきた…崇が自分のせいで笑わなくなったかも知れない…


両親が居ない事で辛い事にも合った。


忘れてしまおうと思い隠して来た感情が今…全て溢れて来た。


体中の水分が一気に出るよな…そんな感覚に襲われながら凛は泣き続ける。


そんな凛を朗は黙って抱きしめてくれた…


それが凄く嬉しかった。


朗が突然唄いだし、凛は少し笑ってしまった。


「今、笑ったな」


凛を抱きしめたままに朗は拗ねたように言う。


「音、外れてたんだもん」


「悪かったな、音楽2だったんだよ!」


朗は更にむくれる。


「ありがとう。」


凛は顔を上げ、朗を見上げた。


「何が?」


「連れ出してくれた事。皆の前で泣き出したから…どうしていいか自分でも分からなくって…、それに抱っこしてくれたし」


「バカ!母ちゃんが迷惑じゃないって言ってたろ?ただ、外の方が声に出して泣けるから…」


凛は泣く声を我慢していた。涙をただ…零すだけ。


それがどんなに辛いか…朗にも分かるから。


泣き止んだ凛から朗が離れようとする。


「まだ…抱っこしてて」


今度は凛の方から朗に抱き着いた。


「母ちゃんって朗も呼んでるんだね」


もちろんそれは竜太朗の母親の事だ。


「うん。そう呼べって…強制的に」


「いいなぁ…私も呼びたいな」


「いいんじゃない?喜ぶよ」


「ねぇ…朗。また、泣いたら抱っこしてくれる?」


凛は微笑む。


「えっ?それは構わないけど…」


「それと…、さっきの下手くそな歌も」


凛はかわかうように言う。


「お前ね~」


朗が怒り出すと凛は微笑み


「下手くそって嘘よ。優しい歌だった」


そう言って朗の頬に軽くキスをした。


朗は一瞬、キョトンとなり…そして照れてしまったが、お返しのように凛のおでこに軽くキスをした。






その光景を竜太朗が影から見ていた。


「ありゃぁ…絶対にあれは凛ちゃんに惚れてるな…」


竜太朗は独り言を呟く。


華ちゃん…泣くかな?


ふと、華の顔も浮かんだ。


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