お金がないんです。
華はこの街ではさほど珍しくもないハーフで、父親がアメリカ人で母親が日本人。
ハーフというだけで虐められた事はないが…華のルックスは目立つ。
その目立つルックスのせいか必ず、
「ハーフだから綺麗なんだね」
「ハーフだからスタイル良いんだ」
「ハーフだから」と言う言葉は先につき、唯一華が嫌だと思う瞬間だった。
確かに彼女は目立つ。
顔立ちも整っていて、瞳は髪の色と同じ明るいブラウンに少し金目がかっているし、身長も170近い。
スタイルも洋服では隠せない程のボリュームと曲線が誰が見ても羨ましくなる程。
「何…この残高」
華はカウンターを出、朗の通帳を覗き込む。
「おまっ、勝手に見んな!」
朗は慌てて通帳を閉じた。
「そ、それに何で俺が店手伝わないといけないんだよ、客だぞ!」
通帳をテーブルにバン!と力強く叩きつけ、立ち上がると華を睨みつける。
結構身長が高い彼女を見下ろせる朗も背が高い方で180は越えている、顔立ちも華に負けてはいない…。
まあ、朗は純日本人なのだけれど。
女性受けしそうな大きな黒目がちの瞳に少しウェーブがかかった黒髪は彼に凄く似合っていた。
「アンタが客?いつもタダでハンバーガー食べてるくせに、お母さんも甘やかすから」




