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ロジック  作者: なかじまこはな
17/135

凛と崇4

崇が出て行った後、


「何で、あいつと一緒に居たわけ?」


彼の態度にご立腹の朗は崇をアイツ呼ばわりしている。


「何でって…なぁ」


竜太朗は竜之介を見た。


「お父さんがお兄ちゃんのチームに入ってバスケットしたからだよ、お兄ちゃん優しかったよ。もう一人のお兄ちゃんも優しかった」


もう一人のお兄ちゃんとはもちろんウォンの事だ。


「はぁ?何やってんだよ、俺らはアイツを調べてんのに!仲良くなったら調べにくいだろーが!」


「イヤ、待て!仲良くなった方が調べやすいだろ?」


竜太朗は白々しくそう言う。


「…あのぉ?こちらの2人は?ロジックで逢ってますよね?男の子には会ってないけど…」


凛は竜太朗と竜之介を交互に見る。


「あっ、失礼しました。わたくし、竜太朗と申します。カステラ屋を営んでおります。で、この子は息子の竜之介で小学3年生です。竜之介、お姉さんに挨拶して」


と竜太朗は作ったような笑顔で自己紹介をした。


「こんにちは」


竜之介は笑顔で挨拶をする。


竜之介の可愛い笑顔につられ凛も笑顔だ。


「こんにちは。お父さんと遊んでたの?」


「僕とお父さんはね、朗の助手してるの」


「助手?」


凛は思わず朗を見た。


「うん。まぁ~助手なんだよ2人…」


朗はどう説明をしていいかわからず愛想笑いをする。


「それより、君達こそ…恋人とか言ってるし、いつの間にか仲良くなってるし…」


竜太朗は面白くないという顔だ。


「あっ、さっきはごめんなさい。恋人とか言っちゃって、他に思いつかなくて、嫌な思いさせちゃった」


凛は頭を下げる。


「何言ってんの。俺こそ余計な事言ってアイツ怒らせたし、…ごめん」


朗も凛に頭を下げ、互いに謝り合い、笑ってしまった。


「おやおやおや、俺と竜之介は邪魔かな?」


竜太朗はニヤニヤしている。


「いえ、そんな事は…。それより兄は仕事には行ってるんですか?」


凛は慌てて話を変えた。


「仕事はキチンとしてるみたいだよ、評判いいし」


竜太朗は調べて来た内容を話す。


「良かった。仕事はしてるんですね、ちゃんと食事も取ってるのかな?」


凛は心底心配しているようだ。


「ウォン君と一緒みたいだから食べてるんじゃないかな?二人とも真面目だし、ついでに言うなら二人共、恋人居ないみたいだよ」



「そうですか…」


凛は笑いはするものの、元気は無い。


「お姉ちゃんどうしたの?具合悪いの?」


竜之介が心配そうに凛の顔を覗き込む。


「大丈夫よ。ありがとう竜之介君」


凛は元気そうな声に変え、笑ってみせるが、彼女が何を考えていたか朗には痛いほど分かった。


「あのさ、凛。日曜日は暇?」


朗は唐突に話を振る。


「えっ?…うん、予定は無いけど、どうして?」


凛はキョトン。


「土曜日の夜から夜釣りに行かない?竜之介と竜太朗さんと、あと一人来るけどさ」


「夜釣り?」


話が唐突すぎるせいか凛は困惑しているように見える。


「嫌かな?」


嫌だよね?唐突だし、知り合ったばっかりだし、野郎ばかりだしな(竜之介は子供だけど)…等と彼女が断る覚悟で朗は夜釣りの話をしたのだ…。

ただ、彼女の寂しそうな顔を少しでも笑顔にしたい…ただ、それだけ。


凛は迷っているようで、少し黙り込んでいたが


「行きたい!どこに行くの?」


朗の気持ちが伝わったのかは分からないが笑顔でそう言ってくれた。


「横瀬!」


3人の声が揃う。


「今日はありがとう」


朗達はあの後、軽い食事をして解散になった。朗は夜道を心配し、凛を家まで送る為に彼女のアパートへ続く道を二人仲良く歩いている。


「お礼なんて…、食事代は竜太朗さんが出したのに」


「ううん、違う。このありがとうは依頼を引き受けてくれた事と依頼料を安くしてくれた事と、私を元気づけてくれる為に夜釣りに誘ってくれた事…」


「ありがとうにそんなに沢山の事が含まれてたのか」


朗は笑った。


「うん。沢山含まれているのにありがとうって一言で済ませちゃうの狡いよね」


凛も笑う。


「狡くないよ、ありがとうって言葉以外に感謝を表す言葉ないじゃん」


「そうだね。じゃぁ、もう一回言うね。ありがとう、気を使ってくれて。私が落ち込んでるから…」


朗の横で歩幅を合わせて歩いていた凛が朗の前に立つ。


「朗は優しいね。私、朗にロジックで初めて会った時に凄く懐かしい気持ちになったの、懐かしいって言うより知ってるって感じた。…だから、朗なら変な依頼でも聞いてくれるって思ったの」


凛は朗を見つめる。


月が朗の後ろにあり、月明かりが彼女を照らしている。


朗は彼女を綺麗だなぁ…と思った。



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