凛と崇3
「朗嫌がってるでしょ!」
凛が必死に止めに入る。
「誤解?」
そう聞き返すが崇は力を緩めない。
「朗、どうしたの?」
竜之介が側に来た。
「知り合い?」
崇は竜之介に聞く。
◆◆◆
「悪かったな。」
崇は謝るが腕を前で組そっぽを向いている、それは本当に悪いと思っている態度では無い。
凛と竜之介、竜太朗が誤解だと言ってくれて、ようやく朗は解放され、喫茶店に入る事が出来た。
「肩とかまだ痛いんですけど」
崇の態度にムッとしながら痛む肩を摩っている。
「お兄ちゃん、ちゃんと謝ってよ」
凛は朗の横に座り、彼を気遣かっている。
「フンッ、あんな所で揉めてんのが悪いんだろ?」
崇は視線を向けもせずにそう言い放つ。
「揉めてないって言っただろ!」
朗はムッとして言い返す。
「はいはい。仲良くね~、何か頼もうよ」
竜太朗が中に入ってくれた。
「じゃぁ、何してたんだよ」
崇に聞かれ、2人は困った。まさか本当の事を言う訳にはいかない。
「お兄ちゃんこそ、何してたのよ。ずっと帰って来ないし、心配してたんだよ」
凛は膨れっ面だ。
「別に俺が何をしようと関係ないだろ?」
崇は凛にも素っ気なくて、彼女が崇をどんなに心配してたかを知っている朗はかなりカチンと来た。
「お前!そんな言い方ないだろ?凛は本当に心配してるんだぞ!」
つい、怒ってしまった。
凛と気軽に呼び捨てした事に崇はピクリと反応した。
「お前さぁ、妹の何?」
崇はようやく朗を見た。
「何って…」
朗は焦ってしまう。
「恋人よ」
凛が朗の腕に自分の腕を絡ませ、そう言った。
「恋…」
朗はさらに焦り、凛を見る。
崇はジッっと二人を見て
「ふ~ん」
と鼻で笑い立ち上がる。
「どこ行くの?」
凛は急に不安そうな顔になる。
「仕事に戻るんだよ」
崇はぶっきらぼうに返す。
「今日は帰って来る?」
凛は寂しそうな表情でそう言った。その表情を崇も感じ取っているはずなのに、
「帰らない!」
と冷たく言い放つと歩き出す。
「じゃぁ!俺、凛の部屋に泊まりに行っていい?」
朗はわざと崇に聞こえるように言った。
案の定、崇は振り返り、
「勝手にしろ!」
怒ったように言うとまた歩きだした。