君と手を繋ぐ未来4
「ううん、パーティー楽しかったね」
「そうだな、ちょっとビックリしたけど、嬉しかった、プレゼント沢山貰えたし」
朗の手には沢山のプレゼントがある。
「よ、良かったじゃん」
華は後に紙袋を隠したまま、渡すタイミングを計っている。
「そーいえば、華からは貰ってない」
華はドキッとした。
「何よ図々しい、い、いっぱい貰ったくせに」
しまったぁ…!いつものように意地悪を言ってしまい、渡すタイミングを益々逃してしまう。
「華からはないんだ…つまんねぇ」
朗はフィと横を向く。
嘘よ、あるわよ…とニッコリと笑って渡せたら。
あー、もう、こんな性格嫌い。
「じゃぁ、華…一人で帰れるか?送って行こうか?」
朗はすでに華を帰そうとしている。
ヤバイ…華は息を飲んで、「じゃぁ、チュウしてくれたらあげる」と緊張のせいか訳の分からない事を言ってしまった。
朗は目を丸くして華を見ている。
また…やってしまった。
俯く華の顔近くに朗の顔があるの気付く。
本当にキス…する気?
嘘…華は思わず目を閉じた。ドキドキして体が硬直している。
唇が触れるのかと期待していたが。
「色気づきやがって」
と鼻を摘まれた。
「もう!」
手で朗の手を跳ね退ける。
「本当ガキだな華は、自分からチュウしろと言いながら、硬直してるし…無防備にベッドに入ってヨダレ垂らして寝てるし」
「ヨダレ、嘘」
華は顔を赤らめあからさまに動揺している。
「ヨダレ垂らして寝てたぞ」
そうだった…朝起きたら朗のベッドの中だった。
もちろん、朗は居なかったけれど。
ヨダレ垂らして寝てたって事は寝顔…見られた?
益々、顔が赤くなる。
「お前さ、無防備に男のベッドに入るなよ、襲われたらどうするんだよ」
「何かしたの!」
華はこれ以上赤くはなれないだろう…ってくらいに赤い。
「するか!寝顔見てただけ」
朗は笑いながら頭をコツンと叩いた。
「寝顔みたんだ…」
恥ずかしかった。
「だから、寝顔より無防備にベッドに入る方を気にしろ!」
「ヨダレたらしてたんだ」
華は朗の言葉は頭に入っていないようだった。
「嘘だよ、ヨダレは垂らしてないよ」
「でも寝顔見られたもん」
「あー、もう、寝顔寝顔うるさい、可愛かったんだから別に気にする事ねぇだろ!」
華は心臓が飛び出るかと思った。
「可愛い…」
マジでそう言ったよね?
「子供みたいで可愛かったって意味」
と朗は華の頭を撫でた。
「子供、子供って、朗はすぐアタシを子供扱いして!アタシと朗は3つしか違わないんだからね!アタシだってオトナの女なんだからね、バカ朗!」
と華はプレゼントの袋を力いっぱい朗の顔にぶつけ、怒って帰ってしまった。
「痛っ…バカはどっちだよ」
と顔を押さえる。
「バカはお前だ朗、華ちゃんをからかってかわいそうに」
竜太朗が投げ付けられて落ちたプレゼントを拾いあげる。
「だって、からかうと面白いから」
「年頃の女の子をからかうな、ところで朗…華ちゃんとベッドで寝たんだろ?何かした?抱きごこちは?」
と朗をつつく。
「またそれ?アイツが勝手にもぐり込んで来ただけ」
呆れながら、家に入る。
「またまたぁ~意識しちゃったんじゃないの?」
「するか!」
即答すると二階に上がった。
「朗君、誕生日おめでとう」
冴子が退院して来ていた。
「冴子さん、退院したんですか?」
朗は冴子の元へ駆け寄る。
「うん。今まで竜之介やお父さん達の面倒見てくれてありがとうね」
「ハニー面倒見てたのはこっちだぜ」
「お母さんの事聞いた、大変だったね」
竜太朗を無視して話は進む。
「うん…もう、大丈夫、でも…冴子さん帰って来たなら俺もアパート帰ろうかな?」
「ヤダ!ダメ!」
話を聞いていた竜之介が慌てて飛んで来る。
「竜之介は朗君大好きだから」
冴子は微笑む。
「俺も好きだぁ」
竜太朗も便乗して朗に抱き着く。
「うっとーしい」
竜太朗だけを突き飛ばす。
「どうした?騒いで?」
蓮が二階へと上がって来た。
「おじいちゃん、朗が帰るって言うんだよ、止めてよ」
竜之介が泣き付いて来た。
「帰るのか?」
蓮は何か言いたそうだった。
「うん、十分に世話になったし」
「十分じゃない…だろ?十分じゃないからもっと居ろ…一緒に暮らそう」
蓮は改まってそう言った。
「でも…」
朗は躊躇している。
「冴子にも話した…だから」
朗は目を見開いて、驚いた表情をした。
「冴子さんに話したの?」