君と手を繋ぐ未来3
首にマフラーをグルグル巻き付ける。
「やだぁ~タロウちゃん似合うわ~私の愛をいっぱい綴ったのよ」
大家は体をクネクネさせて喜んでいて朗はドン引きで大家を見ている。
「あ…ありがとう」
複雑な気持ちで礼を言った。
「はい、俺から」
晴彦がかなり大きい袋を渡す。
「中身はジャケット、竜太朗さんにサイズ聞いてさ…ほら、朗ってセンスねぇだろ?デートとかに気を使わないタイプみたいだし…華ちゃんが恥をかく…これ着て華ちゃんとデートしろよ」
華は晴彦に目で余計な事言わないで!と言っている。
「華とデートね…」
朗はチラリと華を見る。
「まぁ、俺はいいんだけど、華が嫌がるだろ?」
嫌がらない!そう華は即答したかったが照れて俯いてしまう。
「あら、華は行くわよ、新しい服選んであげる」
マキコは華をつっつく。
「朗、色々ありがとうな」
崇が晴彦と変わらないくらいの大きさの袋を渡す。
朗は手招きして、崇の耳元で「凜泣かすなよ、泣かしたら今度は俺が殴る」と囁いた。
崇はもちろん、と頷く。
「いやん、美少年同士のヒソヒソ話って絵になるわね~あーデジカメ持ってくれば良かったわ」
大家は一人、ウットリと朗と崇を見ている。
「朗、これあげる」
ジェイが袋を渡した。
中には銃が入っており、ビックリして顔を上げると。
「ライターだよ」とニヤリと笑った。
「じゃぁ、次は私ね。朗、ありがとう」
凜は笑顔でプレゼントを渡す。
その笑顔は幸せそうで…朗は嬉しかった。
「凜、ありがとう」
笑顔で受け取る。
「ありがとうは私の台詞…朗がいつもそうやって笑ってくれるから私はいつも救われる」
凜は感謝の気持ちでいっぱいだった。
「はい、これは私とエディから。スーツよ」
とかなり大きい箱が手渡される。
「もう26なんだからスーツくらい持ってなきゃ」
「マキコちゃん達がスーツをプレゼントするって言うからさ、俺は靴だ」
と竜太朗はマキコ達のプレゼントの上に靴が入った箱を積み上げる。
「最後は私で…中身はコート、」
蓮もコートが入った袋を積み上げる。
「一式揃ったわね、これでシャツ買えば完璧でしょ?」
とマキコがウインクする。
「えっ?良かった私、シャツですよ」
と凜。
「偉いわ凜ちゃん」
とマキコは凜の頭を撫でる。
ロジックのドアが勢いよく開くと山本と要が息を切らして入って来た。
「すみません、遅れました」
二人同時に謝る。
山本がいち早く朗を見つけ、
「朗さ~ん、俺、就職決まったんですよぅ、春から大阪です」
嬉しそうに報告をした。
「そっか、もう卒業なんだよな…、じゃぁ要も?」
要の方へと視線を向ける。
「はい。俺は福岡です、朗さんに会えなくなるの凄く寂しいです」
「二人共いなくなるのかぁ…寂しいなぁ」
「だから、これ俺達からです、朗さんには本当、色々世話になったから」
と渡してくれる。
「え、俺があげなきゃいけないのに…いいの?」
「もちろんです!」
二人は笑顔で答た。
「あ…そしたら、ロジックはマキコさんと華だけ?」
少し心配そうにマキコに視線を向けた。
「大丈夫よ、春から一人増えるから」
とエディを指差す。
「えっ?オジサン?警察辞めるの?」
「そうだよ、仕事は辞めるんだ。マキコとやり直す為にね」
エディは幸せそうに微笑む。
「再婚するの?」
「そうよ、泣いて頼むから」
マキコはわざと意地悪っぽく言う。
「泣いてないだろ!」
エディは慌てている。
「泣いたんですか?」
崇がマキコの言う事に真に受けている。
「崇、泣いてないから」
必死に否定する。
「もう、お父さんをからかわないで、ほら、料理運ぶから手伝ってよ」
華が助け船をだしてくれた。
「華ちゃん、私手伝う」
凜がカウンターの中へ入って行く。
朗は嬉しかった。自分にも家族や友達が居る。どうして一人だと思っていたのだろう?
朗の誕生日パーティーは今までで1番最高の日になった。
◆◆◆
「史郎さん来なかったね」
とマキコはパーティーが終わった店内を片付けながら言う。
「用事あったんじゃないか?あれ、華は?」
エディは華をキョロキョロと探す。
「朗を送って行ったわ、二人っきりでプレゼント渡したかったみたい」
それを聞いてエディはまたガックリと肩を落とす。
「あ~ぁ」
「娘はつまらない?じゃぁ、また作る?」
とマキコは笑った。
◆◆◆
「華、ありがとう」
結局華は竜太朗の家まで来ていた。