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ロジック  作者: なかじまこはな
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届かぬ思い

『君には私の妻は扱えないよ…私でさえ、無理なのに…』


『さぁ?それはどうかな?試してみないと』


ドンッ―ッ


鈍い音と共にエディの体に衝撃が当たり。


その場に崩れ落ちる。少し硝煙の臭いがその場にただよう…余りにもいきなりで身を交わす事さえエディは出来なかったのだ。


ドノバンは火薬臭い銃を下ろす。


言葉の最後と共に引き金を引いたのだ。


エディを招き入れた男が息を確かめるように首筋を触っている。


『死んでますよ、即死です』


とドノバンに告げた。


『祈りの時間さえ与えずに悪い事したかな?死体は片付けておけよ、私は今から色々やることがある』


チラリとエディを見てほくそ笑むと部屋を出ていった。


◆◆◆◆



崇はウォンの側に座りため息をつく。


『本当に最悪…凜無事かな?』


頭には凜の事しかなかった…


朗に言われた言葉。


崇は凜を妹と思ってないだろ?


笑って暮らせば凜を手放したくなくなる…。


そうだ…朗の言う通り、凜が好きだ。


手放したくはない。誰の物にもしたくない。今更悔やんでしまう。


『ウォン、俺さ…ちゃんと凜に話そうと思ってる、今まで凜をほって置いた事も謝る…妹だと思った事が一度もないと伝える…ちゃんと愛してると伝える…ウォンや朗の言う通りだよ、俺はずっと心に嘘をついてきた』


崇は気を失っているウォンにずっと話しかけていた。


凜とは最悪…もう会えないかも知れない。


伝える事も出来ないかも知れない。


自分がいなくなったら凜はどうするかな?


泣き虫だから、ずっと泣いているかもしれない…

その凜を抱きしめる事さえ出来ないかもしれない。


喉の奥が熱くなり、景色がぼやけてくる。


ポタッ…


ポタッ…と涙が零れてくる。


涙の雫がウォンの顔にも落ちる。


それで要約自分が泣いているんだと理解した。


父親を迷いもせずに刺したのは誰よりも凜が大事だったから。本当は凜を抱きしめ、共に支えあい…生きていかなきゃいけなかった。


凜を一人で泣かせた罪は父親を殺した罪より重いかもしれない。


永遠に内に秘めておこうと思った気持ちはもう…限界にきていた。


今すぐに凜に会いたい。


凜を抱きしめたい。


今…願いが叶うなら何でもする。


凜…名前を呟く。


何度も何度も彼女の名前を呼んでみる。


…返事はない。


『崇…泣かないで…』


消えそうな声が聞こえてきた。


『ウォン?ウォン…大丈夫か?』


視線をウォンに落とすと、彼は目を開けて崇を見ていた。


『諦めないで崇…』


諦めないで…たった、それだけの言葉に、どうして…こんなに救われるだろう?


崇に会ってホッとしたのかウォンは微笑んだ。


微笑んで、『崇が泣いた顔初めて見た…』と言った。


崇は少し照れたように笑い返す。




◆◆◆



ガシャン…ッと派手な音をさせて蓮の手から落ちた皿が床の上で粉々に砕けた。ふぃにつけたテレビで横瀬の死体発見のニュースが流れ。


蓮は茫然となった。


手から皿が落ちて砕けた事にさえ気付かないくらいにニュースにくぎづけになっている。


「ジイサン!」


竜太朗が勢いよく部屋へ入って来た。


「竜…太朗」


真っ青な顔で振り向く。


「ニュース見たのか?なっ?朗は?朗は戻ってないか?」


ロジックから全速力で走って来た竜太朗は息を切らし、額から汗を流している。


蓮は首を振る。


「朗は知らないのか?」


マキコと同じ台詞を言う。


「知らないと思う、今…マキコちゃんと華ちゃんも探してる、だからジイサンも」


竜太朗の申し出に連はふたつ返事で上着を手に部屋を出た。




◆◆◆



「朗、もしもの事を考えて、コレを渡しておくから」


ジェイが渡してくれた袋の中には小型の銃が入ってた。


「これ…銃だよ」


ライフルやら戦闘機やら原子力空母は見慣れている。でも手にしたのは初めてだ。朗は大きい目をさらに大きくして銃を見ている。


「危険だけど…ないよりマシだろ?けど、素人に銃を貸したのバレたら首になるから内緒にね、子供の頃に銃の玩具で遊んだ事は?」


「あるけど…」


「じゃぁ、簡単だ…安全装置はここ!これを外して、その後にここを親指で下へ落とす、シリンダーが回り鉛が発射される準備が出来るから、その後は引き金を引くだけだ…簡単だろ?」


ジェイは淡々と銃の説明をした。


「ダメダメ!絶対に銃なんてダメ!」


朗は銃が入った袋をジェイに突き返そうとしている。


「上に向けて撃つだけでも効果はある…、朗、怖いだろうけど」


「違う、怖くなんてないよ」





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