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ロジック  作者: なかじまこはな
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真実までの距離8

「友達はウォンと一緒に拉致されてたの?」


「そうみたいだ、けど、彼等の目的はウォンだけだったから見張りが手薄だったみたいで…逃げ出せた…でも携帯を崇と君を間違えて渡して、ウォンを助けるつもりで戻って殺された」


「…友達思いだったんだね…ウォン、友達の事聞いたらショック受けるだろうね」


「そうだね…」


切なくなる…優しい人がいつも犠牲になるんだ…朗は深いため息をついた。…そして、ふと…思い出した。


「ね、俺を助ける時にパチンコ屋から銃で撃ったよね?」


「撃ったよ、あの時は小さい男の子が捕まりそうだったから悪いと思ったが足を狙った…銃じゃなくてライフルだけどね…でもパチンコ屋からじゃないよ、あそこからじゃ撃ちにくいんだ道路の木が邪魔をして、だからパチンコ屋の隣のビルからだよ…どうして?」


「パチンコ屋からじゃないの?だって…人が…」


朗は頭の中で記憶のパズルを組み立てた。


「思い出した、ウォンの写真…廃墟のパチンコ屋の天井だ」


あの残された写真は竜之介と近道としてつかった閉店したパチンコ屋だった。


「ウォンはきっとそこに居る!」


「じゃぁ、急ごう」


ジェイはキーを回しエンジンをかける。


「エディを待たないの?」


「彼は大丈夫だよ」


朗を安心させるように振り向き笑顔を見せた。



◆◆◆


エディのノックと共にドアが開くと。


『ようこそ』


ドノバンの部下が部屋へ招き入れた。


案内された場所にはドノバンがゆったりとイスに腰を下ろして座っている。


『エディ…やっと君に会えた』


エディの顔を見ると不気味な微笑を見せた。


『待ち望んでくれていたとは…ありがたいね、私も要約君に会えた…君が裏で手を引いているのは知ってたんだが…軍の中に紛れ込んでるお陰で手間取った』


『そんなに探してくれていたのか?光栄だね…、ではさっさと話を進めようか?君も崇が心配だろう?携帯を渡して貰おうかな?』


エディが、ポケットからウォンの携帯を取り出すと、部屋へ招き入れた男が後ろから携帯を取り上げた。


男が携帯をドノバンに渡すのを確認すると。


『崇を返して貰おうか?』


エディは強い口調で行った。


『彼は違う場所に大人しく待たせてる』


携帯を手にしたドノバンは、SDの中身が本物かどうかを確かめている。


『本物のようで安心したよ…君は裏組織に居ながらバカがつく程に素直だな…たった一人で乗り込んで来てくれたし』


『君がそうしろと言ったからね…私はその素直さで組織のトップに上がれた…』


『その素直さが仇になるのも面白いだろ?組織のトップの座より、日本人の少年の方が大事か?君は実に面白い…やたら側に置いていたから彼をなかなか手に入れれなかった…彼はベッドでもいい仕事してくれるのか?』


バカにしたような笑いを見せた。


『側に置いてたのは、君に近づく為だ…ただ、関係ない子供を巻き込みたくはないだけだ』


『子供を愛しましょう…国の宝だ…博愛主義者にはヘドが出る』


ドノバンは言葉を吐き捨てると合図を出す。


部屋に居たドノバンの仲間が一斉に銃を構える。


『これだけ数が揃うとさすが…迫力あるな…まぁ、君が私を生きて帰すとは思わなかったけど、君の中に良心のカケラでもあればと期待したんだけどな』


エディは降参の合図のように両手を上げ、そう言った。


『コピーは?』


ドノバンは携帯を指さしている。


『ないよ…する暇もなく君に呼び出された』


『素直な君の事だから、嘘はついてない事を祈るよ…まぁ、あっても君は使えないし』


その言葉の意味はここに一人で来る時から分かっていた。


『一つ聞きたい、ウォンの友人や兄を殺したのは君か?それとも指示をしただか?』


『ウォンの兄か?兄はバカな男だった…、折角、取り入れて情報を盗ませたのに…何を思ったかマトモになりたいとか言い出した…汚い世界に手を染めた人間がマトモなんかになれはしないのに…惚れた女が出来て、女の為に真っ当な道を歩きたいなんて、本物のバカだよ…』


『だから殺した?』


『殺したのは私じゃない…ただ、命令しただけだよ』


『兄の恋人はどうした?』


『私がいただいたよ、薬漬けにして、飽きたらどこかへ売り飛ばすよ』


「腐ってるな」


エディはわざと日本語で言った。


『私も質問いいかな?日本人の坊やがもう一人居ただろ?あの坊やは殺したのか?崇は助けるのに矛盾してるな…』


その質問にエディは微笑むと、


『役に立つか立たないかの差だよ』


そう言った。


『なるほど?では、君が日本に置いている娘と妻…そして崇の恋人…欲しいと言ったら?』






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