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ロジック  作者: なかじまこはな
109/135

真実までの距離5

「何で…何でそんなにSDにこだわるんだよ、あんな文字化けみたいな」


「文字化け?違うよ…暗号だ…」


「暗号?」


「ウォンの兄がしていた事を知ってるだろ?彼はね…組織を裏切ったんだ…大量のドラッグと裏帳簿を持って日本に来たんだ…誰に売ったか、どこで引き渡すか…その暗号だよ…結構ね有名政治家や有名人も買ってるから名前やらを暗号化してるんだよ」


「それをどうするの?」


「決まってるだろ?君もバカじゃないんだから…早くSDを渡しなさい」


「ヤダ!」


朗はエディを睨みつける。


「何で崇に近づいたの?」


「崇はウォンと友達だから…ウォンに近づくと兄に気付かれる…崇なら通訳してるから側に置いても怪しまれない…側に置いてればいつか手に入るだろうと思ってた裏帳簿は案の定手に入った」


エディは柔らかく微笑んだ。


「崇を利用してたのかよ、崇はオジサンを信頼してた…親友だって言ってた!それなのに騙してたのかよ!崇の気持ちを踏みにじるの?何で?…何も知らないでオジサンを信じてる…好きな人に裏切られた気持ち、オジサンには分からないのかよ!崇が可哀相だろ!バカ!」


朗は力いっぱい怒鳴った。


「バカは酷いな…バカは君だよ、自分の心配をした方がいい」


「華やマキコさんがオジサンのやってる事を知ったら悲しむよ」


「そうだね…君が居なくなったら華は悲しむだろうね…けど、時間が経てば忘れられる…」


エディの言葉の意味が分からず、朗はキョトンとなるが。次の瞬間、意味を理解する事になる。


エディは握っていた朗の片手を離すとポケットから銃を出した。


黒光りする銃を見た途端に朗は息をのむ。…まさか、俺を撃つ気?


「ここで撃つと人が来るよ」


撃たせない理由を口にするが…エディは微笑み。


「大丈夫、サイレント銃という便利な物があるんだ」


とそう言った。


「オジサン…冗談止めてよ」


だって、だって…小さい時から知ってる…遊んでも貰った。家へ遊びに行ってウッカリ寝てしまったらおんぶして祖父の家まで送ってくれた。


色んな遊びを教えてくれたのもエディだ、英語も少し華と習った。幼い頃の彼との記憶が甦る。


よく知ってる人に殺されるのかな?


ううん…よく考えたらあまり知らないのかもしれない。


「試してみるかい?」


エディは引きがねを引く


「嫌だ!」


朗はそう叫び恐怖で目を閉じた。


カチッ…という小さな音が耳に聞こえた。


周りがシンッ…となる。


しばらく間が開いた。


朗は恐る恐る…目を開けた。


目の前に突き付けられた銃に火がついている。


ライター?


エディと目が合うといつもの優しい顔で微笑まれた。


えっ?何?冗談?


朗は思わず声を出そうとするがエディに口を塞がれ静かにするようにとジェスチャーされる。


耳元でエディが、「いいと言うまで黙ってて」と言う。


朗は何だか分からないが頷く。


エディは朗から離れると近くに置いてあるテーブルの下から何かを取出し足で踏み付けて壊した。


「朗、もう喋っていいよ」


と振り返り朗を見たが、朗はまだ何が起こったか理解出来ていないのか呆然としている。


「盗聴が仕掛けてあってね…全部取り外すそうと思ったんだけど、最後の一つを見つけた時に君が来て…ちょっと利用しちゃったんだ、ごめんビックリしただろ?」


と朗の目の前にまたしゃがみ込む。


「オジサン…これって何?」


朗はポツリと呟くように言う。


「本当にごめん…、ちょっと芝居したんだ。君も危なかったから、ここで殺された事にでもすれば狙われないかな?ってさ、盗聴してたのはね、君…いや、崇を誘拐しようとした奴らでね、ウォンから携帯を預かった事がどこからかバレみたいで…」


「芝居…だったの?」


「そうだよ」


その言葉で朗は安心したのか涙をこぼした。


「えっ、ちょっと…ごめん、泣くほど驚くなんてさ…ヤバイ…君を泣かせた事を知られたら華とマキコに殺される」


涙をポロポロこぼす朗にエディは慌てふためく。


「芝居なら芝居って初めから言ってよね!」


安心しきったのか今度は怒りだす。


「ごめん、ごめん、君は嘘をつけない子だからさ相手にバレちゃうだろ?」


エディは子供を慰めるように頭を撫でる。


「相手、外人じゃんか、日本語の会話で俺が死んだなんて分かんないよ」


「それは大丈夫、日本で売るんだから会話出来る奴を雇うさ」


「オジサン…崇を裏切ってたんじゃないんだよね?」


「うん…裏切ってないよ」


「本当?」


「本当だよ、これは芝居じゃないよ」


エディはまたいつもの優しい笑顔を見せてくれた。





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