真実までの距離4
「オジサン…手、痛い…」
なんとか振りほどこうともがくがどうにも出来ない。
「あのサイトはね…私が作ったんだ…良い子は入れないはずなんだけどね…さて、真実を知った君をどうしようかな?」
エディはまたニコッと笑った。
◆◆◆◆
崇は薄暗い中、目を覚ました。
どこかに横になってる…それと同時に両手が後ろで縛られてる事に気付いた。
あれからどうしたんだっけ?
記憶が途切れている…確か…ドノバンに捕まって…それで…携帯の事を聞かれて…その後は?
あぁ…そうだ、後頭部に強い衝撃を受けて…意識を無くしたんだ。
段々と目が慣れてきたのか色々と見えてきた。
どこかの建物の中?
そう分かった時自分より少し離れた場所に誰か倒れているのが分かった。
「凛?!」
何故かそう思い、必死にその誰かの場所まで行く。
「凛?大丈夫か?」
倒れた誰かの顔を覗き込むが、それは凛ではなかった。
「ウォン…」
顔を見て崇はそう名前を呼んだ。
崇と同じように後ろで両手を縛られたウォンはかなり衰弱しているようだった…息は微かにある。
◆◆◆
空は夕べの集中豪雨が嘘のように青く晴れていて、気温も冬のくせに暖かい…母ちゃんが言った通り、公園の裏山は完全に崩れ、横瀬の人達早出で復旧作業が早朝より行われていた。
「なぁ、兄ちゃん休憩しようや、竜之介が一人で居るけん心配かし」
竜太朗は肩にスコップを担ぎ、近くで作業する兄に声をかける。
「お前、30分前も同んなじ事言うてさ、もうここは良かけん母ちゃんとこ手伝ってこい」
そう…竜太朗は30分置きの割合でクダグタとサボる理由を口にしていたのだ。
「竜太朗!大変ばい!」
血相を変えて母ちゃんが走ってきた。
「何ね母ちゃん」
「し、死体の出たとばい、早う駐在所さんば呼んで来て!」
母ちゃんの叫びで竜太朗はスコップを落とした。
◆◆◆
「オジサン、手を離してよ」
離して貰えないと分かっていても朗は何とか逃れようともがく。
「SDすり替えただろ?どこまでも用意周到だね、誉めてあげるよ、イイコだから渡しなさい」
すり替えたわけでは無かったが結果的にはそうなった。
朗は首を振る。
「知らない、SD入ってただろ?」
「入ってたよ君のが…」