ロジック
長崎県佐世保市、アメリカ海軍基地がある街で海と山に囲まれた片田舎。
名物と言ったらハンバーガー。観光地といえばハウステンボス。
そんな街に朗は住んでいる。
国際通りと書かれた国道沿いに真っ直ぐなポプラ並木とレンガ作りの道があり、数分歩けば米軍基地へと行ける。
その道の途中にLOGICと大きく書かれた看板が立てられたログハウスがある。
ここでは何軒もあるハンバーガー屋の一つで、まだオープン前の店からは肉を焼くいい匂いが漂う。
その匂いに釣られたのか、それとも最近ハンバーガー特集を組まれた本のおかげなのか…結構な行列出来ている。
小さい店内にはカウンターに椅子が4つ、テーブルが2つに、それぞれ椅子が3つづつあり、テイクアウト専門に近いこの店にはちょうどよい広さで、1番奥くの席を朗は勝手に指定席にしていた。
「う~ん」
朗はため息と交互に頭を抱え、唸る。
「絶対にヤバイ…」
朗の手には通帳があり、ため息の原因だと思われる。
何度目かのため息で、
「朗さん、さっきからどうしたんですか?通帳と睨めっこして唸ってますけど」
バイトの山本が声をかけてくれた。
「山本君、朗はほっといて良いわよ、どうせお金が無くて唸ってるだけだから」
カウンターから可愛い顔をした女の子が山本に声をかける。
「えっ、でも…」
「いいから、カウンターに入って」
朗を気にするが女の子にそう言われ、山本はカウンターに入った。
「要くんを手伝ってあげて、それから朗!アンタ暇なら手伝いなさいよ!」
女の子は朗を睨んだ。
「アンタ呼ばわりすんな華!」
ムッとした顔で女の子を睨み返す。
女の子の名前は華。