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アービガルド奴隷館

街には以外とあっさり着いた。


ーおいおい10分も歩いてないぜ。この豚野郎。よくも恩着せがましくほざいてくれたもんだ。なーにが助けてやるだよ豚!この美しい圭介様がベストコンディションなら流れるようなコンビネーションで沈めてるぜ。まあケンカしたことないけど。


などと悪態を内心でつきながら周囲を見渡す。


ーなんじゃこりゃ?


街並みは中世ヨーロッパを思わせる石造りの建物が大通りの両脇にびっしり建っている。


なによりも人の賑わいだ!


ピッグのような豚野郎以外にも、猫みたいな顔のやつや狼めたいな顔のやつもチラホラいやがる。

広場には屋台のような物が多数あり、そこら中で酒盛りが開かれている。


「・・・すげー」


「かかか!アービガルドは西大陸一の街だ!これでも人はいないほうだぜ」


豚野郎が得意げにしゃべる。息が臭い。


まあ大多数は人間であることにとりあえずホッとする。

ーもう認めよう。こりゃ現実らしい。俺は変な世界に紛れ込んじまった。戻れるかはわからん。

しかし、ピッグのようなお人好しに会えたのは不幸中の幸いか。とりあえず、こいつがホモ野郎じゃないことを祈るしかないな。見返りに体を求められるかもしれん。俺はバージンを守り抜く覚悟を決めながらピッグの後を追う。


「おい、ピッグ・・さん。まだ着かないのか?宿には?いい加減つかれ・・」


「着いたぜ、アービガルド奴隷館にな」


目の前にはどでかい洋館が建っていた。

煌びやかな装飾が目に痛い。

奴隷館?奴隷館!

瞬間はめられたことに気付く。この豚野郎。俺を売り飛ばすつもりか?よくわからんが奴隷と言うくらいだロクな場所じゃないだろう。とりあえず鈍感ボーイを装って逃げる準備をするしかない。もしかするとここで働け的なパターンもある。ハロワ豚かもしれん。とりあえず、まだ慌てるような時間じゃない、よな?


「奴隷館?なにいってー」

ピッグは何も言わず洋館のドアを開ける。気付くと肩を掴まれていた。引っ張られるように中に入る。

「メリー!極上品仕入れたぜ!こいつは高いぞ〜」


「シンプルパターンかよ!この豚野郎!離せ!カスこら!てめえ、知らねえだろうが、俺は昔からエイズなんだ!俺なんか売ったら客に迷惑かかっちまう!」


ゴス!後頭部に衝撃が走る。途切れそうな意識の中で反射的に後ろを振り向くと、この世のものとは思えない美しい女が笑っていた。


「くそったれが」


その捨台詞を最後に俺は気を失った。


ーー・・・

その女は誰よりも美しかった。美形だの、スタイルがいいだの、そんな枠に収まらない美しさがその女にはあった。スラリと長い髪の毛をかきあげ不機嫌そうに話し始める。

「ピッグ、うるさいよ、あんた。客がびっくりするだろう」

「へっ!すまねえな。だけど見ろよこいつを。このツラだけで200万ガードをくだらないぜ」

「へえ、たしかにこいつは上物だ。ピッグ、正直に答えな。どこで仕入れた?」


「拾ったのさ、魔の森でな!」


「そいつを信じるほどバカじゃないが、まあいい。キース!」


「ここに」


壮麗なスーツに身を包んだ優男が現れる。


「50万わたしてやんな」


「ご、50だって!?ふざけんじゃないー」


ピッグは全てをしゃべれなかった。何故ならその首は胴体から離れていたから。


「あっ、息が臭くてやっちゃったよ。キース片付けておいて」


「御意」キースと呼ばれた男が片腕を振る。すると魔法のようにピッグの死体は消えた。


まるではじめから存在しないかのように。


「キース、その男、私の部屋に入れな。味見する。」


「御意」


地獄の蓋が空き否応なく叩き落とされる。

一度入れば逃げることはできない。


この地獄からは逃げられない







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