第四話:親愛なる甥へ
親愛になるわが甥スーラへ
長い間連絡を取らなかった叔父からの突然の手紙に君は驚いているだろう。正直私も君に手紙を書こうとは思わなかった。
時間があまりなかったものだから、随分ぶしつけな内容になってしまったことをここに詫びよう。
この手紙を書いたのは君にある頼みがあったからだ。君が憲兵学校を優秀な成績で卒業したのは私の耳にも入ったよ。おめでとう。勉学ももちろんだが、君は特に武術に長けているらしい。
そこでどうだ、用心棒の仕事をしてみないかね?これは提案というより私からのお願いだ。ある少女の警護をしてもらいたい。
仕事の条件および内容は以下の通りだ。
依頼主::私ということにしておこう。
警護対象:シャーミ・コクトー(10歳)
内容:::24時間体制による身辺の警護
期間:::今のところ無期限としかいいようがない。決まりしだい君に報告する。
報酬:::銀貨1樽以上。一ヶ月に一度なんらかの形で生活費は支給する。
君がその家を出たがっているのは知っている。私も若い頃はそこが大嫌いだった。報酬は君一人だったら、一生遊んで暮らせる額だ。家を出るには十分すぎる位だ。
それともう一つ、警護は国から国への移動形式で行いあくまでも隠密に行動してほしい。どんなスタイルでもかまわないが、それだけは約束してもらいたい。
もしも、この仕事を請けてもらえるならば、12月23日の夜7時に旧タルト宮殿前に来てほしい。
ニコラ・ジャンセン
回想の前にお手紙から。『あらあら、かしこ』っていう表現を使うのが夢です。