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ストレアの季節での待ち合わせ
「こんにちは、フェデリコさん」
久しぶりにきく『彼女』の声に、私の頬はゆるんだ。リリアの鐘から目をそらし振り向くと、ライム色の瞳をキラキラ瞬かせて、彼女は笑っていた。手には紙袋が3つ下げられている。
「大荷物だな、どうしたんだい」
「買い物していたんです。フェデリコさん待たせちゃいました?」
白い息を吐きながら嬉しそうに彼女は話す。私は首を振りコートの中に押し込んだ手を取り出し、彼女の荷物をとった。彼女の荷物はカバンひとつになる。
「いや、それより寒くないか」
「少しだけ、肌寒いです」
「行こうか。あたたかいカッフェをごちそうするよ」
決まり文句となってきた言葉を言うと、同じように彼女も返す。
「やったぁ、カッフェ大好きです」
ふふふと笑うと、彼女は私のあとをついてくる。足取りは軽い。