7分間
この時間の朝の公園は忙しない
中学生のショートカット通学路でもありカラスの居場所
公園の脇の生活ゴミたちを守るネットが怯えてる
幼稚園バスが行き先はおとぎの国よと喋りながらピンクの車体で飛び出してくる
小学校の中からは懐かしいチャイムが憂鬱に耳を刺す
押せば信号はすぐ青になるのに誰も押さない歩行者信号機ボタン
駅は都会でなく田舎でなく優柔不断な物腰でそこに居る
下り電車のホームはすぐ近くの大学生だらけで
なぜか引け目感じている何かに苛つき一番前の定位置へ進む
線路二本隔てて上り電車のホームは活気付いている
並んでいる人たちは ぼやけた風景に溶け込んでよく見えない
ホームはただ静かに人々の足を掴んでいる
電車がいつもと同じ声でいつもと同じ場所に滑りこんで止まる
今日も誰も居ない 下り電車最前列シート
この空間が朝のもやもやをほんの少しだけ削除する
心地よい車輪の息づかい
シートの固さ
窓から見える風景は通り過ぎてく欲望
私の中の私がぼんやり私を確かめている
7分間だけの私の居場所
8分目はない
きっと明日もここに来るから
だから改札を通り過ぎて今日も私は歩いている