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歌姫は40歳  作者: 甘味園
3/9

その一 ハードロックは辛くない?(3)

なんとなく、暗く重い雰囲気に包まれたあけみたち。

リハできないのはキツイけど、リーダーはアキラだし、

はっきり言ってもう時間もほとんどない。


アキラは下を向いてたあけみを振り返ると

「アケさん、すみません。」と

頭を下げた。


なんと言ってもアキラがリーダーなんだし

あけみは今回、頼まれて歌ってる立場だから。


そんなちゃんとした対応のできる男だと思ってなかったあけみは

ドキドキしてどぎまぎしてしまった。

「あ、ど、どうも....」

あけみは、ふだんのテンションとステージ上とがまるで違うので有名なボーカル。

ステージに上がれば客を乗せるしはじけるけど、

ふだんはおとなしくて黙ってる。っていうよりぼーっとしてるっていうか...。


アツキヨは、アキラが思いのほか厳しい感じだったので

めずらしく神妙にしている。


もうすぐ開場とは言え

あけみたちローリングスミスの出番まではまだあと二時間近くある。

出番前のミュージシャンの時間の使い方はさまざま。

客席で談笑したり、タイバンのライブ聴いてリラックスするタイプ、

ひとり孤独にタバコ吸って考え事するタイプ、

メンバー同士でいろいろ確認したがるタイプ、

演奏曲をヘッドホーンで聞きまくることで安心するタイプ、

楽屋のすみでなんとなく練習するタイプ。


あけみは、出番まえにジタバタするのはあんまり好きじゃない。

今回はサポートだから自分であんまり集客もしなかったし。

ま、ひとりでぼーっとするか〜。と思って

一旦ライブハウスを出た。

外にはそろそろお客さんたちがたむろしはじめている。

知ってる顔はないから駅前のドトールにでもいくかと

足早に歩き始めたところを呼び止められた。


「オフクロ!」

一瞬身体が凍りつく。

あけみ、あわてて走って戻る。

「ライブ会場でオフクロって言わないでって言ったでしょう!」

と、声の主18歳男子の袖をつかみあわてて走る。

「そんな走ってももう無駄じゃん?!」

と余裕の18歳男子。

この男子が何を隠そうあけみのひとり息子。

22歳の時、二回目の結婚でできた子供だ。

ちなみに一回目の結婚は16歳のとき。4ヶ月しかもたなかったけど。

二回目は結構いい線いってたのだ。

できちゃった婚だったけど夫はイケメンだったし

生まれた息子もイケメンだし。


だけど夫はものすごく嫉妬深くて

あけみが他の男と喋るだけでも嫌だからって

バンド活動を強制的にやめさせられた。


いいや。もうバンドは。

私は愛に生きるのよ。

と一時は思ったあけみだったけど

無理だった。

そのうち喧嘩になって夫が暴れだして

気が付いたら夫にはほかの女がいた。


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