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デスゲームのお時間ですっ!  作者: rekemu
第一章 壊れた日常
6/6

(7)決意

目が覚めると見慣れない天井。


ハッと起き上がると隣には自分を見つめている女の子。


「良く寝れた?」と微笑みかけてきたので一瞬どぎまぎしてしまったが昨夜のことを一瞬で思い出す。


そして顔の前で十字を描きウインドウの右上を見ると「11/5 9:30」となっている。


昨日布団に入ったのが深夜2時頃だったからがっつり7時間半も寝てしまっている。


我に返りリアスに「お、おはようございます」と挨拶する。


緊張して少々ぎこちなかったが優しく微笑んでくれた。


「そんなに焦んなくても大丈夫よ。ご飯を食べたらクエストを消化しましょう、ご飯って言っても報酬の缶詰しかないけど」


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味気ない缶詰とエナドリみたいな味がする栄養ドリンクを飲んでクエストを確認する。


今日のクエストは「2人以上のメンバーでボス討伐をする」である。


リアスのも同じクエストがあるようだ。恐らく昨日フレンド登録をしたからだろう。


そして早速思い浮かんだ質問をぶつけてみる。


「ボスってどこにリポップするんだ?」ついでに敬語をやめて喋ってみた。


答えは「私も知らない」という返事とともに微笑み。


「え、知らないってこれからどうするんだ!?」と問い詰める。


「マンションの屋上に行きましょう」


確かに高層マンションからは東京の景色が一望できる。実際自分も昨日同じようなことをやった。



さっそく屋上の景色がよさそうなマンションに行き階段を登る。


「はぁ、はぁ、つかれた...」情けない声を出すが目の前にいる少女(同い年)はペースを全く落とさない。


「あとどんくらいですかぁ...」と質問すると返ってきた答えは「あと半分くらいかしら」と絶望的なものだ。


しまいには「普段運動してないから...」と呆れられてしまう。


そうこうして最上階に着くと東京中の景色が一望できる、が、なにせ風が強い。


ちょっと油断したら振り落とされそうだ。


「れけむ!あそこ!」と呼びかけられ指先の方向を見ると昨日のモンスターの3倍ほどの大きさの怪物がいる。


恐らくあれがボスだろう。昨日のイルカが体長8mくらいだったのでその3倍って言ったら25mプールが暴れてるようなもんだ。


ひぇぇ...と腰が抜けるが「ほらいくよ!」という明るい声に促されアイテムから「翼」を選択し背中に重さを感じたところでリアスと空中に飛び込むイメージで滑空する。


リアスの翼は昨日少し見えたが改めてみると天使についてるみたいな真っ白である。


翼も個人でデザインが異なるらしいが、偶然、自分もリアスと同じ白色だ。


運命感じるなぁとか思うが今から死ぬかもしれないボス戦だ。


ラノベとかでは普通ボス戦は集団で行って全員毛散らかされて誰か一人の最強プレイヤーが倒すみたいな展開があるが今回は集団戦でもなく昨日フレンドになったばかりの2人だけだ。


少々不安を感じつつもクエストにあるのだからいけちゃうのでは?と考えてしまう。


そして地上に降り立つとリアスが装備の確認をしているので自分も真似て念の為確認しておく。


腰にある剣は相変わらず鉄の剣。そして服は動きやすいように綿の装備を着用している。


リアスによるとこの世界は動きにくい鉄の鎧よりも綿とか薄い生地のほうが攻撃を避けられるらしい。


事実リアスは真っ白な布の生地でできた装備をつけている。そして下は茶色いショートパンツだ。


彼女は背中に真っ黒な大鎌を装備。


そしていよいよ戦闘開始する。


リアスは半透明な敵に近づいてフッっと微笑むとパネルに手を合わせた。


「れけむ、いくよ!!」という掛け声に「おうっ!」と返事をした。


剣を抜き相手のモーションをよく見る。


今回の敵は前回のイルカとはだいぶ異なり怪物らしい怪物だ。具体的には赤くドロドロとした粘液をまとって右手には棍棒を持っている。


そう言うと弱そうにも聞こえるがなにせでかいので全く油断できない。吹き飛ばされて当たりどころが悪かったら即死もありえる。


モンスターが動き出し視界の上の方にHPバーがでる。


そしてHPバーの上に出た敵の名前は、、、「紅骸獣こうがいじゅう・ノーマル」


ノーマルって更に上がいるのか?とか考えたが敵の振り下ろした棍棒がリアスの鎌とぶつかりガキーンという高い音が響いたことで戦闘に集中する。


そしてリアスが棍棒を弾き「今!!」という声が聞こえたのでダッシュして剣先を紅骸獣の足に刺す。


紅骸獣はぐぅという言葉にならない鳴き声を発してこっちを見る。そしてその間にもリアスは高くジャンプをし紅骸獣の脇腹辺りに鎌を振るう。


その2撃だけでHPバーが7割ほどまで下ったので意外と行けるのではと思った。


「このままいくぞ!」と声をかける。


そして棍棒の攻撃をリアスが受け、rekemuが隙をついて剣で攻撃するというループを繰り返しついにHPバーが残り1割となった。


しかし今までのように敵がこちらを向いて攻撃して来なくなり(うずくま)る。


「多分ダウンが取れてる!やっちゃえ!」という声が聞こえたので棍棒攻撃を受けて後方に引きずられてしまった俺は走るべく踏み込むが


その時、敵が突然方向を上げ目に見える形で音波がリアスを捉える。


「ぐ、ああああ」を悲痛な叫び声を発しているが2秒くらいだろうか。音波攻撃は続きリアスの服がぼろぼろになる。


鎌を支えにして辛うじて立っているが恐らくもう動けない。


それを理解したのか敵はこちらを向く。


必死に避けようとするがどうしても足りない...届け...と願うも届かない。


そのコンマ1秒後パァンという音がして紅骸獣の悲鳴が聞こえた。


音の方向を見るとリアスがいる。そして彼女の手には「ハンドガン」


彼女はこちらを振り向き声にならない声で「に...げ...て...」と伝える。


その言葉を言われたときここ3日で凍っていた血が一気に溶ける思いをした。


命の恩人を見捨て、自分だけ生き残る。


普通に考えてクズだ。


「さいごの...おねがい...よ」


と泣き笑いされ動くしかない。


最終的には「ごめんなさい」とぼそっと呟きモンスター討伐エリアから逃げだした。


最後に見た彼女の顔は泣き笑い。それ以降は顔も見ることができなかった。


泣きながら六本木を駆け巡る。


おかしい。おかしい。なんで見ず知らずの人を助けるような立派な少女は理不尽なデスゲームのモンスターによって殺され、特段誇れることもなく人を殺すような自分が生き残るのだ。


安全そうなビルに駆け込み隅で泣く。


リアスの結末を考えるとますます恐怖を抱くとともに自分が殺した人の顔を思い出し自分の行動を振り返る。


自分はデスゲームだからしょうがない、とか相手が攻撃してきたからしょうがないっていう理由をこじつけて自分だけが生き残るために人を殺した。


だがリアスはどうだ。助けられる人を助けるために最低限の犠牲でこの世界を生きているはずだ。


更には自分が死ぬことまで惜しまずほとんど赤の他人を逃がした。


そしてこれを振り返りrekemuはこう願った。


「このデスゲームで最強プレイヤーになりたい」と。

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