(4) 女神降臨
「カーン!!!!!!!」
イルカの顔が眼前まで来たとき視界の左端から何者かがイルカに突っ込み弾き飛ばす。
そしてつぶっていた目を開けると視界の右端に白くて短い髪、
身長は見たところ165cmくらいだろうか。自分より全然高い。
そして彼女の右手にはその身長よりも長い大鎌がある。あれでイルカを突いたのだろう。
加勢するために立ち上がろうとすると「あなたはそこで待っていて。すぐやっつけるから!」
決して大きい声ではなかったが頭に直接入ってくる声。神秘的な声だった。
その声に気圧され元の位置から動かず戦闘を見守る。
態勢を整えたイルカが少女の方を向いて雄叫びを上げる。そして助走をつけて少女の方へ突っ込んでくる。
「あぶな...」そう叫ぼうとすると少女は真上に飛ぶ。そして見事に空中で身を翻すと
鎌を構えて「はぁあああ」と叫びながら硬直中のイルカに突っ込む。
その直後イルカの背中に横一線の傷がつく。そして自分の真上に現れてるHPバーが一気に左端まで進み最後にはパリン、という音とともにHPバーもろともイルカの姿が光りの欠片となって消滅していく。
少女は一呼吸おく間もなく一撃で倒して当たり前のようにこちらに駆け寄ってくる。
そこで俺の意識は途絶えた。
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目が覚めると見慣れない天井と温かい色の光が目に映る。
状況を確認するためにのそっと起き上がると全身に痛みがはしる。あまりの痛さに「うぐっ」と情けない声がでた。
部屋を見渡したがどれも見覚えがない。一体ここはどこだろう。と思っていると
「あら、起きたのね」小さいが頭に直接残る声が聞こえる。
声の方向を見ると寝間着らしき格好にもともと白い肌が赤く火照っている。風呂に入っていたのだろう。
「俺はどうして...?」と尋ねると
「あなたボス戦で気を失ったじゃない、それでほっとくのもなんだしなぁで私の家に連れてきちゃった☆」
うん。めっちゃ優しい。
見ず知らずの一人でボス戦に挑んで負けためっちゃダサいやつを家に上げるなんて優しすぎる。
しかも今は殺しが合法。危ないにもほどがある。
「だって君、めっちゃ弱いじゃん」俺の言いたいことを理解したのかそんな答えが聞こえた。
図星を突かれて唖然とするまもなく悔しさが込み上げてきて「あなたが強すぎるんですよ!!」
と声を張り上げてしまった。
そんな俺を見ておかしかったのか整った顔がふっと緩み「ふふ」と微笑まれた。
そんなやりとりを破るように「新機能、フレンド」、「新クエスト、フレンドを作ろう」
の2件の通知が来た。
それは相手も同じようでウインドウを見ているようだ。
お互い詳細を確認し終えたタイミングで偶然目が合ってしまう。
ふっと微笑みかけられ「よかったらフレンドにならない?」そんな問いかけが来た。
俺はイルカごときにぼっぼこにされて偶然めっちゃきれいでめっちゃ強い女の子に助けられておまけにその子の家で看病されている。相手になんのメリットもない。
なのにフレンドになろうって聞かれた。どこまで優しいんだ!?
またしても考えが筒抜けのようで「遠慮しなくていいのに〜」と残念そうな声が聞こえる。
超能力者かと思うぐらいだ。
「じゃ、じゃあフレンドになってくれませんか」
「やったー!」元気な声が聞こえた。そんなに俺とフレンドになってほしかったのだろうか。
ホーム画面の「フレンド」の欄を見ると「なりたい人と互いに手を合わせてください」とある。
16年生きてきたが自分より身長が高い人ましてやめちゃくちゃきれいな異性の人と手を合わせるなんかやったことない。初めての体験にどきどきしているが相手はお構いなく微笑みながら手を伸ばしてくる。
勢いに任せて手を伸ばし合わせると通知に「フレンドになりました」と来る。
フレンド欄を確認してみると新規フレンドというマークとともに相手の名前「rias」リアス、と読むのだろう。
相手も同じ動作をしたのだろう。「rekemu、いい名前ね」またしても笑いかけてくれる。
「rekemu、何歳か聞いてもいい?あっ私は16歳ね!」こんなにも大人なのに俺と同じ年なのが恥ずかしい。
「俺も16歳です...」遠慮気味にいうと「同い年なの!?すごい偶然だね!」と元気に返答してくれる。
笑顔が耐えない人だなと思って立ち上がろうと思ったがピリッっと痛みがはしる。
そういえば怪我が治っていなかった。
「ごめんね、私、治癒ポーションもってなくて...」って謝られるが
「俺、何本かもってるのでだいじょうぶですよ」と言ってウインドウからポーションを出す。
両腕と背中、そして胸に液体を流し込むとみるみる傷が治っていく。
どういう仕組なのだろうと2回目ながら疑問に思う。
そして傷が治ったので立ち上がろうとすると「そのままでいいわよ」と言われてしまった。
「あなたは片手剣使いなの?」と聞かれ
「はい」と返事をする。
「それじゃあ、この剣もらってくれる?私大鎌使いだから使い予定なくって」
彼女の手には白が基調となっていてところどころに青い波のような模様が描かれている剣が乗っている。
「さっきのボスのドロップでもらったからあげる!」と言われ
「ありがたくもらいます」と返事をしてもらう。
「持ち物」に登録して詳細を見てみると剣の名前に「海洋の守護神」、「とあるモンスターの背骨からできている2級ドロップ品」
数時間前まで使っていた「鉄の剣」はたしか5級ドロップ品だったので2級って言うと相当高いのだろう。
流石2級と言うべきか振るのには少し重い気がする。
重そうな仕草を見てリアスは「もしかしてレベルが足りてない?」と問いかけてきた。
「レベル...?」と疑問をぶつける。
この世界にレベルなんてあるのだろうか。ウインドウにもそれらしきものはなかったはずだ。
「えっとね、分かりづらいけどこの世界には一応レベルが存在しているのよ。ウインドウの戦績をタップしたあと左上を見てみて?数字があるよ」
そのとおりに自分も操作してみる。視界を左上に操作してみると小さく数字がある。
俺のは「3」
「3です」と伝えると「そっかー、その剣は10はないと厳しいかな」
「なにか条件がないとレベルって上がらないんですか?」と尋ねると
「殺した人、倒したモンスターから可視化はできないけど経験値なるものがあるらしいのよ
それが一定を超えるとレベルがあがっていくよ」
「まだと言っては変だけど俺は人を3人殺しただけですけどリアスさんはおいくつですか」
「さんは付けなくていいよ」と笑われ
「私のは26になった、あと君はモンスターの経験値と報酬が私と共同であるはずよ」
と答えられた。
26ともなれば相当のモンスター、人を倒しているだろう。と思ったが口には出さなかった。
「私が人をたくさん殺した、って言いたいみたいだね」またしても図星だ。
「まあしょうがなかったんだよ、もちろん君は殺さないから安心してね」
にこやかにそう言われたが逆に安心できない。しかし話してる感じいい人そうだから信用する。
「そうだ、あなたお風呂貸してあげるから入って!」
部屋、布団おまけに剣までくれたのに風呂まで...って思ったが断るのも申し訳ないのでありがたく入らせてもらった。
どうやら電気、ガス、水道のライフラインは動き続けているらしい。
2日ぶりの風呂だ。温かい。落ち着く。こんな故郷に帰ったような感覚を味わう。
やっぱり優しいよなぁでもめちゃくちゃ強い。
しかもあの美貌は神の領域だ。
いや女の子だから女神様か。




