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デスゲームのお時間ですっ!  作者: rekemu
第一章 壊れた日常
1/6

(1)はじめての「クエスト」

ーいきなりデスゲームが始まり「クエスト」をクリアすることだけによって生き延びられる世界が始まるー


日曜日の正午、すべてのテレビ番組が赤い背景に染まる。


そこに突然黒いコートを身にまとい、フードを深く被った人物が移る。


「デスゲームのお時間です」男性とも女性とも言えない中性的な声がテレビから響いた。


突然のことだったので家族でこいつは何を言ってるのだろう?


とか母は映画の予告かしらなんか言って家族4人で笑ったものだ。


しかしテレビは続く。「3〜2〜い〜ち?」パチンと指がなる音がした。


すると一斉に外が赤く染まる。そして視界には’’GAME START’’の文字が浮かぶ。


先ほどまで冗談だと思ってたものが現実になった?そんなばかな。夢だよな?


焦りと冷や汗が止まらない。


父が「GAME START、、、?」と呟く。母親も頷いた。両親にもこの文字が見えているらしい。


まだ幼稚園生の妹は赤くなった空を見て泣き叫ぶ。


そんなことはお構いなくテレビは続ける。「ゲームスタート」


そして画面は黒いコートの人物から「ルール説明」に移る。


中性的な声がそれを読み上げ始める。


「ゲームウインドウの出し方は顔の目の前で十字を描くように

 ウインドウには’’ゲームクエスト’’がありまぁす

 基本的にはそれをこなしてくださぁい」


それだけだった。赤の背景の画面には他になんも書いていない。


震える指先で十字を描く。するとゲームウインドウがでてきた。


最初の画面に並んだ項目は「戦績、持ち物、クエスト」の3つだけだ。そして左上には自分のHPがある。


試しに「持ち物」をタップすると「鉄の剣」というものがあった。それをタップする。


自分の腰に鞘に入った剣が現れる。いきなりの重量感に思わずよろける。


すべての項目を確認する間もなくテレビからは音が流れ続ける。


「プレイヤーネームを決めてください」


ウインドウには「プレイヤー設定」という項目が現れる。


タップするとプレイヤーネームを設定してください、という文字が現れた。


名前、か。と考えていると


「あなた、あなたは何をしているの...?」泣き叫ぶ妹をあやしている母親に涙声で問われる。


父にも「この状況をなんとかする気はないのか!」厳しい口調で説得される。


あのときの自分は半ばパニックになっていたのだろう。


「なんとかするもなにもデスゲームだぞ!子どもに構っている暇なんかない!」


なんて反抗的なことを言って自分の部屋に戻ってしまった。


そんなことを言いながらヤケクソでプレイヤーネームを決定する。


打った名前は「rekemu」


これまでの話の中で本名が出ていなかったが本名は暁月あかつき こうだ。


rekemuという名前は実際にゲームをやるときの名前にしたりSNSの名前に使っている。


登録が完了しました、という文字とともにHPバーの横に名前が浮かぶ。


そしてクエストを開く。一番上に書いてあったのは


「家族を一人残らず殺せ」腰の剣はそういうことだった。


クエスト詳細を読み終わったときに身体中の力が抜けその場にうずくまる。


反抗してしまったとは言えさっきまでテレビを見て笑っていた家族だ。


詳細の一番下には12時間以内に実行しないと任務失敗。ペナルティで死亡。と書かれている。


「どうしたんだ、煌」ドア越しに父の声が聞こえる。12時間後にはいない人。


それを考えてますます恐怖を抱く。そして「外の様子を見に行かないか」と提案があった。


もしかしたら夢かもしれない、自分の家だけこうなってるのかもしれない、という希望を抱きながら

父と共に外へ出る。


もちろん夢なんてことはなく空が赤く染まっている。夕焼けではなくまるで太陽がなくなってしまった

みたいに赤黒くどろどろとした感じの雲だ。


そして外は大混乱だ。どうやら日本の警察や法律は全く機能せずすでに人を殺そうとナイフで切りかかる

人も見受けられた。おそらくは人を殺す系のクエスト関係だろう。


父親の額から汗がこぼれ落ち自分も道中鳥肌が止まらなかった。


自分もいずれああしなければいけないのだろう、ということだけが頭に一杯になった。


通り魔に殺される前にそそくさと家に帰る。


するとなぜか玄関の鍵が壊れていた。


嫌な予感しかしない。父と共に急いで家の中に入りリビングへ向かうと


「ごめんなさい、、ごめんなさいいい」聞き覚えのない男の声が聞こえた。


すると視界の右下に通知らしきものが現れ「近くにいる男性を殺せ」というクエストが始まる。


リビングを見ると知らない男の人が泣きながら、ナイフを母親と妹に突きつけている。


自分がいずれ殺すにせよ知らない人にろくな会話もせず家族が殺されるのはごめんだ。


覚悟が決まったので腰の剣を抜く。


父に「なにをしているんだっ」と言われたが「ごめんなさい、ごめんなさい」と涙を流しながら

男を切る。「うわああああああああああ」男の悲鳴が聞こえたが構わずざしゅっと刃で肉を断つ。


そこからは倒れた男に息の根を止めるべく何度も何度も刃を突き立てる。


すると突然フィナーレとともに「クエストクリア」の文字が浮かんだ。


どうやら死んだらしい。本当に殺したのだ。この手で。


当たり前だが16年生きてて人を殺すというのは始めてだったが返り血で真っ赤になった手を見ても

恐れは感じなかった。その代わりやってしまった、、という罪悪感と疲労に見舞われた。


父は「お前は、なにをやったんだ...」と言われたが

「母さんを助けるためにやったんだ!本当はこんなことやりたくないよ!!」

母も妹も呆然として涙が止まっていた。


自分を見る3人の目が本当に痛かった。いっそ殺してしまいたいと思うくらいに。


覚悟は決まった。


ふぅ...と息をつき


「父さん、母さん、本当にごめんなさい、貴方がたの子どもとして育って、幸せ、でした」


途中涙としゃっくりで途切れ途切れになってしまった。だって16年間共に生きてきた人達を殺すのだ。


剣を父に向ける。「お前、なにをするっ!?」と声が聞こえたが

「本当に、本当にごめんなさい。でもクエストクリアのために...」


父の声をもう聞きたくない、早く殺したい、記憶から消えていなくなってしまえ!


剣を真上に構えぎゅっっと目をつぶって一息に父を切る。「があああ」叫び声が聞こえる。


母の「あなた!!!お願いだから、やめて!!!」その声も聞こえる。


聞きたくない。それ一心に先ほど殺した男性と同じく父親の胸を何度も何度も突く。


そして「クエストクリア1/3」と文字が浮かぶ。殺してしまった。


おそらくここで止まると身体が震えて動かなくなってしまう。


そう思うと既に手の剣の方向は母に向いていた。


母は「いやっ...いやっ...」返り血に染まった俺の姿を見て恐怖と涙で顔が歪んでいる。


今度は「ごめんなさい」もなにも言えなかった。


ただ恐怖と焦りだけが込み上げ、それを抑えるように剣で母をぐっちゃぐちゃにする。


何も見たくない。目をつぶりながら母を斬り裂く。


どれぐらい剣を振ったのだろうか、なんの音も聞こえなくなり

「クエストクリア4/4」とまたしてもフィナーレとともに顔の前に現れる。


母だけを斬っていたつもりが目をつぶっていたせいで妹も巻き添えにしてしまったらしい。


どうして、どうして俺はこんなことを。剣は真っ赤に染まり手も足も身体中が赤い。


家の床も血まみれで木目なんか見えないくらい血が溜まっていた。


「ああ...どうして...俺は...ごめんなさい...ごめんなさい...」勝手に口が動いていた。


クエストのために今まで養ってくれた家族を平気で殺す、自分が大嫌いだ。


そんな絶望を味わっているのにも構わず通知が来た。


「睡眠を取る」


え?家族を殺す、のクエストの後に睡眠をとる??わけがわからない。


拍子抜けしてしまい、思わず「は、はは...」と笑ってしまった。


笑っていないと涙が止まらない。


そして疲労感と共に視界が暗くなっていった。

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