表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/24

第6話、おいふざけんな騙したな!!!!

 さて、ようやく待ちに待った変身スキルを発動するのだが、まずは大切なのは場所選び。

 

 どんなものに変身するのか分からない。

 

 海洋生物とかなら海の中がいいだろうし、陸上生物ならここでの方がいい。

 でももし違っていたら大変なことになるだろう。

 いろいろ考えた末、波打ち際に来た。

 

(よし、決めた。ここで変身しよう)

 

 ここならばいい感じに海に近く、かつ、陸上である。

 

(行くぞー! 変ッッ身!!!!!)

 

 ボン!!と盛大な音を立てて体が爆発した。

 うそだろ。

 もしかして俺バクダンとかに変身した???

 

 そんなわけ無いのだが、そう錯覚するほどに凄まじい衝撃で目が回った。

 思わずよろけて尻餅を付く。

 

「あったたたた。もー、なんだよぉ。もっとカッコよく決めたかった……の、に?   ??」

 

 おや?

 

「……、あー。 あ??」

 

 声が出ている!!

 まさか喋れる生物なのか??

 

「ん?」

 

 なんだか妙な感じがして、俺は手に当たる部分を上げて見た。

 そこにあったのは、ギラギラゴテゴテに飾り付けられた爪だった。

 手は人ものなのに、爪が恐ろしい長さだ。

 なにこれ。

 

 次は視線を下ろして、足に当たる部分を見た。

 

 申し訳程度の布から覗く下肢に、下半分が白いだダブダブの布で覆われている。

 

「……」

 

 俺はよろりと立ち上がると、波が少ないところを見付けて覗き込んだ。

 

 そこには、ドピンクの長い髪のギャルがいた。

 しかも、いにしえのギャルの方だった。

 



「ギャルじゃねえええええかァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!」

 



 豊かな自然の中に、俺の叫びが虚しく響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 俺は座り込んで考えていた。

 何故俺はギャルになっているのだろう。

 代理人のいうことでは、サイキョーの生物になるという話だったのに。

 

「……なにかのミス??」

 

 こんなミスがあっていいのだろうか。

 結構致命的なミスな気がするが。

 でもそれ以外考えられない。

 でなければギャルになるとか訳が分からない上に、使い道が分からない。

 どうしろというのか???ギャルで!!!!

 

 もう一度水を覗き込む。

 

 幸いなのは、案外このギャル姿は好みの可愛さなのと、胸が大きいところか。

 ……自分のいまのすがただよ、ばか。

 

「とりあえず色々チェックしてみっか」

 

 なってしまったものは仕方がない。

 とりあえず前向きに出来ることをしていこう。

 

 まずは自分の姿の確認だ。

 髪はスライム時と同じ、ショッピングピンク色。

 瞳も同じく。

 肌は小麦色で、爪はゴテゴテ。

 コーデは基本に忠実だが、鞄の所有はなし。

 ひとつ気になったことがある。

 服、どうなってるの?

 

「よいしょ」

 

 脱いでみようとしたが、何と脱げない。

 服は体の一部らしい。

 服を着ているのにすっぽんぽんとはこれ如何に?

 まぁ、いいかそれは、些細なことだ。

 

 それよりも先に、やらなければならない事がある。

 

 胸一杯に空気を吸い込んだ。

 

 

「ふざっけんなよおおおおおおおおおおお!!!!! ギャルでどうしよってんだよおおおおおおおおお!!!!あげぽよってか????お前いつかぶん殴ってやるからなぁあああああああああ!!!!!」

 

 ああああああ、ああああ、ぁぁぁぁ、……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ドボンと海に飛び込んで沈んだ。

 

(やっぱり声は出せるし、出すための空気は吸えるけど、呼吸は要らないみたいだな。 姿が変わってもスライムはスライムのままってか)

 

 底まで来ると、目的の物を探した。

 

(あった。……うわっ、人目線だとキモいな…)

 

 朽ちた剣を拾い上げた。

 柄は藻だらけ、刃は錆だらけ。

 どう見たって使えない剣だ。

 

(でも、持っていないよりはマシだろう。…………いや、待てよ?)

 

 しばらく剣を見つめ。

 

(えい)

 

 剣を掌に突っ込んだ。

 何の抵抗もなくズプンと刃が埋まる。

 痛みはない、むしろいつも食べているような感覚……ん? !!??

 

(オエッッ!!!)

 

 あまりの不味さに剣を吐き出した。

 

(ぺっ!ぺっぺっ、オエエエエ!!!……は?え、なに?? あ!)

 

 ステータスの一覧に[味感覚]ってのがあった。

 あれか。

 あいつが原因か。

 オフに出来ないかな。

 

(むむむむむ)

 

 

 

[味感覚][ON] ←

    [OFF]

 

[味感覚][ON]

    [OFF]←カチン

 

 

 

(……できたっぽい?)

 

 できたような、できてないような。

 恐る恐るもう一度剣を呑んでみる。

 

(よし、不味くない)

 

 モゴモゴ咀嚼していると錆が取れていく。

 

(おっと、食べすぎないようにしないと)

 

 刃を取り出した。

 その刃はピカピカで、錆がなくつるりとした滑らかになっていた。

 これならば、多少は使い道があるだろう。

 

 ついでに柄も綺麗に食べた。

 よしよし、キモくない。

 

(!)

 

 なんだか嫌な予感がする。

 振り替えると、牙がいた。

 

(!!!??)

 

 こんなに接近されてたのに気付かなかったなんて……っ!!

 

 ふんふんと、牙が俺を嗅ぐ動作をしている。

 ヤバい、ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい、喰われる。

 

 ぺろん、と、牙が俺を舐めた。

 しかし牙は一舐めしただけで何処かへと泳いでいってしまった。

 

 不味かったんだろうか。

 何故か、すごく落ち込んだ。

 

 

 

 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ