表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/24

第4話、酷い目にあったのだが!!!?

 水面越しに見える、巨大な鈎爪の付いた巨大な足が迫ってくる。


(ひぃぃっ!!!)


 ソレがどっぼんどっぼんと俺の取り付いた魚目掛けて突き入れられる。もしかして俺の魚を横取りする気か!!!!

 ガチンとすぐ近くを鋭い牙が襲う。


(今度はなんだっ!? わああああーーーーッッッッッ!!!!??)


 視界一杯の牙、それが凄い速度で閉じてくるが、爪がその牙を殴り飛ばした。


 なんだよ!!なんなんだよアレ!!!

 って、きゃあーーーー!!!!


 あちこちから牙が襲い掛かり、爪が突き入れられて周りの魚が川から水上へと放り出される。

 まさに地獄絵図。

 荒々しく水がかき混ぜられて濁っているから、凶器の正体が分からない。

 分からないけど、ひとつだけ分かることがある。

 この二つの化け物は、俺のしがみついているこの魚が大好きってことだ。


(いやああああああ!!!!やめてええええええ!!!! 俺の(魚の)為に争わないでえええええ!!!!!)


 がおんと音を立てて目の前の牙が爪の餌食になり、そのすぐ横にいた牙が大口を開けて襲い掛かってきた。


(ひょあああっ!!!!)


 とっさに魚から跳んで離れ、目の前に現れた壁にへばり付いた。


[鰐??,]


 ゴツゴツの鱗が密集した壁だ。

 やばい。これ、“牙”の体だ。

 迫る爪を牙は回避し、ゆっくりと、しかし素早くその場から離れていく。


 背後を見ると、相変わらず牙と爪が互いを攻撃しながら魚を奪い合っていた。

 ぶるりと震える。


(自然界こわー……)


 どんどん遠ざかる地獄を眺めながら、しがみついている生き物へと意識を移した。

 お腹らしき場所が膨らんでいる。

 どうやら魚をたらふく食べたらしい。

 とするなら、満足して帰るんだろうか?

 いや、そもそも家とかあるのか?


 ……あるとしたら、巣か。


(逃げよ)


 そのまま飛び降りようとして、慌ててへばり付いた。

 なんと、この牙と同じ牙が同じ方向へと泳いでいた。

 それも一匹ではなく、数十匹でだ。


(……取り囲まれてる…)


 上と下も右も左も前後も全て牙だ。

 今、やみくもに逃げたとしても絶対に喰われる。

 これだけは確実だ。

 あああ……なんであの時チェンジしなかったのか……。

 せめて水色とかなら可能性があったのに……。


 とはいえ、嘆いたところでどうしようもない。


 俺は諦めてこの牙を観察することにした。

 幸い、周りを取り囲まれてるのだ。

 どの角度からでも観察できる。


(……なんていうか、ワニっぽいような感じだな。尻尾は魚……サメ?みたいだけど)


 パッと見た感想がワニだった。

 だけど、ワニにしては結構違うところもある。

 まずは尻尾がサメのような形をしていて、魚のように器用に動かしていた。

 ゴツいヒレもあって、これで上下の舵をとっているようだ。


(目がたくさんあるみたいだな)


 模様なのか、それだけで結構怖い。


 ある程度観察をしていたけど、結果勝てそうにない、との結論に達した。

 ならば諦めて汚れのつもりで気配を消して大人しくしておこう。

 そうすれば攻撃されはしないだろう。


(そういえばステータス変わったかな)


 暇になったので久しぶりにステータスを見てみることにした。


種族

 粘体生命体スライム

 幼体

食べたもの

 [草][苔][岩][ガラス石][砂][魚][エビ][小魚][貝][何かの種][木の破片]

基本スキル

 [補食][分解][吸収]

獲得スキル

 [光感知能力][振動感知能力][熱感知能力][水泳能力]

特殊スキル

 [変身](条件を満たしていません)



 結構食べてた。

 しかも知らないものまで食べてた。

 やっぱり味覚ほしいな。

 変なものを食べたくはないんだよね。

 スライムが何を言ってんだって話だけど。


(お?)


 視界が明るくなってきた。

 突然水流が変わり、視界が開ける。


(おお!!)


 辺り一面に広がる青い世界。

 まるで上空から見下ろしたような、広大な世界が広がっていた。

 真下に繁る水草の森、珊瑚のような物体が木のように聳え、その間を様々な生き物たちが行き交う。


(ほあー、すげぇー)


 壮大な景色に呆気にとられていると、牙が大きく旋回した。

 浅瀬に向かっているようだ。

 気が付けば辺りにうようよしていた牙もいない。

 これは、逃げるチャンスでは?


(よし、よしよし。いち、にの……さん!!)


 牙が底に接近した瞬間に俺は飛び下りた。

 着地すると同時に石と石の間に潜り込む。

 これで少しは安全だ。


(さて、これからどうするか)


 新たな世界を前に俺は考えた。







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ