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モーニングエレクトッ!

 ん……?

 眩しい……朝か?


 なんだろう、近くで声がする……。



「……これがモーニングエレクト。初めて見た」


「そうよぉ。勉強になったわね?」


「……触ってみたい」


「だめ! だめよ、これは触ってはいけないものなの」


「……どうして?」


「それはね、飛び出してくるのよ。……せい――」


「せぇぇええい!」



 それ以上言わせるかぁ!!



「……ダッツ、起きた」


「あら、おはようダッツくん」


「……なにしてるんですか?」


「ダッツくんの寝顔を見ていたの。可愛かったわぁ」


「せめて俺の顔を見ながら言ってくれます……?」



 嘘じゃん。目線が俺の一部に向かってるじゃん。

 朝いちばんから見ないでくれる?



「……ダッツ」


「な、なんだ……?」


「……ソレ、大丈夫?」



 そう言って俺の一部を指差すリノ。



「大丈夫! なんにも問題ないから!」


「……よかったらボクが――」


「ウーン! 他の三人はまだ寝てるのカナー?」



 それ以上はやめて!

 リノがなにするのかは俺、聞きたくないなぁー?



「メイリーはもう起きて、中庭で鍛錬しているわよぉ」


「そうなんですか! じゃあ、メイリーさんの様子でも見てこよっかなー?」


「……むぅ」



 話を遮られたのが気に障ったのか、頬っぺたを膨らませて不機嫌アピールをするリノ。

 容姿もだが、その言動も幼いところがある。



「ほ、ほら。リノも一緒に行こうぜ」


「……うん」


「わたくしは朝ごはんの準備をしておくわねぇ」


「あ、はい! お願いします」



 そうやってリノを連れて中庭の方へ向かう。


 それにしても広い屋敷だ。廊下に飾られているものは高級品で揃えられているし、飾り一つとってもおしゃれだ。


 固定パーティーに入れたことの嬉しさで忘れていたけど、Sランク冒険者がリーダーのパーティーなんだよなぁ。


 俺、大丈夫かな……。


 なんかドМだからとかいう理由でパーティーに誘われたけど、実際のところはなんで俺だったんだろう……?



「……ダッツ、あそこ」


「あぁ、メイリーさんが……メイリーさん!?」



 リノが指差した方向には走り込みをしているメイリーさんがいた。


 ただし、下着姿で。


 上下とも白の下着が、褐色の健康的な肌をより際立たせている。大きなその胸も、それはもうバインバインと……じゃなくて!



「メイリーさん! 下着姿でなにやってるんですか!」


「おお! おはよう、ダッツにリノ! なにってナニだ!」



 いや、ナニじゃないから!!

 走り込みでしょ!?



「なんで下着なんですか!」


「うん? あぁ、悪い! いつものクセでな!」


「……ダッツ、ウチは下着行動が基本」


「いやな基本だな!?」


「ダッツもどうだ? アタシとナニでひと汗かかないか?」



 だからナニじゃないから!

 走り込みってちゃんと言ってくれる!?



「それより服を着てください! 俺だっているんですから!」


「えー、だって蒸れるしよー」


「……たしかに蒸れる」



 ううん、気持ちは分かるけど……!

 たしかに運動する時は、服が邪魔に感じることあるけども!



「つーかよ、アリアと組み手の約束してたのに、起きてこないんだよ」


「……シェリーとアリアは朝に弱い」


「なら、俺とリノで起こしてきますよ」


「あぁ、頼むわ」



 そう言ってヒラヒラと上下に手をふって、走り込みに戻っていくメイリーさん。後ろ姿もかなりの破壊力があるなぁ……。


 そういえば、二人の部屋がどこか知らないな。リノに案内してもらえばいいか……。



「俺、二人の部屋知らないから案内してくれる?」


「……うん、まかせて」



 先を行くリノについていく。

 なんか後ろから見ると、本当に小柄だなぁ……。



「……ダッツ、あんまり見ないで」


「あ、ごめん……」



 ちょっとジロジロと見すぎちゃったか。女性ってそういう視線には敏感だってよく聞くしな。



「……ちょっと濡れてきちゃう」


「……ほんとごめん」



 少し歩いていくと階段にさしかかった。どうやら二人の部屋は二階にあるみたいだ。



「待ってリノ。俺が先に行くよ」


「……どうして?」


「ほら、リノ今は短めのスカートだろ?」


「……気にしない」


「俺が気にするからさ」


「……ちっ」



 え……?

 もしかしてだけど、舌打ちした?



「じゃ、じゃあ、先に行くからな……?」


「……せっかく履いてなかったのに」



 せっかくスルーしてあげたのに……。


 とにかく先に階段を上がっていく。

 なぜだろう……お尻にすごく視線を感じる。その視線に気づかないフリをして、階段を上がりきる。



「昨日は一階を軽く見ただけだったから、二階は初めてだなぁ」



 作りは一階とそう変わらない。

 強いて言うなら、一階よりも飾られている絵画の数が多いぐらいか。



「……ダッツの初めて」


「さーて! 二人の部屋はどこかなー?」


「……ここから見える右の一番奥にシェリー、その手前にアリアの部屋がある」



 あの二人、部屋を隣り合わせているのか。仲良しだなぁ。


 廊下を進んでアリアさんの部屋の前まできた。



「ここから声をかけて、アリアさん起きるかな?」


「……絶対に起きない」


「そっか……」



 入るしかないか……。



「いや、リノが起こしに入ればいいのか」


「……ううん、ダッツが入るべき」


「なんで?」


「……面白いから」


「……どうしても?」


「……ボクはここから動かない」



 仕方ない……。


 一応、ドアをノックしてみる。

 ……返事はない。



「アリアさーん、入りますよー……?」



 そっとドアを開けて、中を覗いてみる。きちんと整理された中にも、ちょこっとおしゃれな飾りなどが見える、いかにも女の子らしい部屋だ。


 その部屋の奥でシンプルなベッドの上に丸まって寝ているアリアさん。



「アリアさーん? 起きてくださーい」



 反応なし、ダメだ……。まったく起きる気配がない。



「……ダッツ、アリアは揺さぶらないと起きない」



 そう言うならリノがやってくれよ……。


 いや、グッジョブじゃなくてさ……。


 仕方ないので部屋に入ってみる。なんだろう、甘い匂いがする。別に意識していないのに、自然と匂いが感じられる。


 そして、眠るアリアさんの前まできた。



「……すぅ」


「ぐっ……!」



 小さく寝息をたてるアリアさんの色気に、男としてグッとくるものがある。思わずその頬に触れてしまいそうだ……。


 なんとか理性を総動員させて、アリアさんの肩に触れる。



「あ、アリアさん? 朝ですよ……」


「う……うん……?」



 その細い肩を揺らすと、小さく反応した。



「アリアさん、起きてください」


「あぅん……ダッツ……?」


「あ、はい。ダッツです」


「ダッツ……わたしの部屋……ベッド……夜這い……?」



 うん、なんで?

 どうしてそこに行きついた?

 なにより今はもう朝だから。夜這いじゃないから。



「ダッツ……わたし、初めて……優しくして……?」


「起きてくださいアリアさん、朝です、朝なんです」


「朝……あさ? あさ!」



 おぉ、飛びあがった……。



「鍛錬! メイリー! 朝!」



 まだちゃんと目が覚めていないのか、単語を羅列するアリアさん。



「呼んでましたよ、メイリーさん」


「しまったぁ!」



 そう叫んでそのまま走っていってしまったアリアさん。

 パジャマだけど、大丈夫?


 とりあえずアリアさんを起こすという仕事を終えたので、部屋から出る。すると部屋の前で待っていたリノは不満顔だった。



「……期待してた展開と違う」


「なにが?」


「……アリアの寝起きに襲いかかると思ってた」


「そんな展開は絶対にないから」


「……むぅ」


「じゃあ、一階に戻ろうか」


「……シェリーは?」


「どうせまた俺に起こさせる気でしょ……?」


「……黙秘」



 なにが黙秘だ。絶対にその手には乗らないぞ。



「さぁ、一階に戻るよリノ」


「……仕方ない」


「そういえばニーナさんが朝ごはんの準備をしてくれているけど、なんだか聞いてる?」


「……ダッツのために精力がつくものって言ってた」



 なんで……?


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