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畜生、甘いラブストーリーなんて書けるかよ!

作者: ナカタ博士

診断メーカーでランダムなお題が出る診断をもとに何かを書こうと思ったんだ。・・・思ったんだ。


ナカタさんには「目をそらさないで」で始まり、「月が綺麗ですね」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば5ツイート(700字程度)でお願いします。

#書き出しと終わり

https://shindanmaker.com/801664


ただし出てきたのはどう見てもガチなラブストーリー用のお題。

そんなもん書けるかよッ!やると言った以上書くけど。


「目をそらさないで。何があろうとしっかりと見る。」

二尺の太刀を私に向けて正眼に構えた蛍の闘気がふわりと広がる。

いつもの彼女とは全く違う抜け落ちた表情、何倍にも大きく見える小さいはずだった体躯はまるで別人のようだ。

「これから弧刀流奥義の伝授を始めます。お願い、死なないで。」

僕が握った柄糸にじわりと脂汗がしみこむ。

上段から来て切り返しだ、ただの上段から来て切り返しなんだ。

ただそれだけの奥義、ただし人の意識の隙間を突いてくるうえ恐ろしく速い。

僕がそれに合わせて防ぐなり見切るなりすれば免許は皆伝、失敗すれば斬られて死ぬただそれだけの試練。

戦国の世が終わって太平の世が訪れたというのに、なぜこんな泥臭い伝授をするのか。

木剣でも良いだろうにと余計な事を頭の片隅で考えつつも太刀からは目をそらさない。

いいや、駄目だ。太刀だけ見ていては起こりが見えない。

もっと目や筋肉の動き、呼吸やまばたきでさえも見落としたら死ぬ。

対峙していったいどれほどの時が経ったのか。

極度の緊張で喉が渇き、瞑ることのできない眼球が痛み始める。

額から流れ出た汗が頬を伝い、地面にぽつりと黒いしみを作る。

生理的に耐えきれなくなった瞼が落ちる瞬間、蛍の腕の筋肉がわずかに動いたのを感じた。

訪れた意識にも刻み込まれない刹那の暗闇と下から上に通り過ぎていく切先。

二の腕にわずかに感じる熱とバランスを崩して背後に倒れていく僕の体。

「お見事。よくあの状態で後ろに飛べましたね。ただし避けきれず僅かに腕の皮が切れています。精進するように。」

残心をとった蛍がほっとした表情でこちらを見ている。

地面に寝転がったまま大きく息をついて空を見上げれば、登り始めた月が生き残ったことを祝福するように柔らかな光を注いでいる。

「師匠、いえ、蛍さん、月が綺麗ですね。」




ククク、恋愛要素なんてほぼ削ってやったわ。

ゾンビ化した親友を葛藤しながら撃ち殺して月がキレイと迷ったけど、こっちで。

やったわ、やってやったわ。もっとバイオレンスで救いのない物語を書く作業に戻ろう。

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