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(3)ミアキの回想 PART2
(承前)
ミフユはミアキの話を黙って頷きながら聞き終えた。
「ごめんね。迎えに来るのが遅くなって。……偉いね。ミアキ。偉いよ」
ミフユはそう言うしかなかった。何故なら加治先生がああなったのは自分のせいだと確信していたからだ。廊下で聞いてしまった先生の悲鳴のような叫びがミフユの頭の中を響いた。
「でしょ?私は間違った事はしてないよ。その事だけは自信を持ってるけど。……なんか疲れた」
そんなやりとりが終わった頃に家に着いた。玄関の戸を開けてミアキを先に中に入れるとミフユは笑顔で言った。
「ミアキ。正しい事をしたご褒美にお寿司でも取ろうか。お母さんもお父さんもそうしていいって言ってくれると思うし。お父さん、お母さんが帰ってくるまで寝てな」
ミアキはうれしそうにはしゃいで見せた。
「お寿司!お寿司!うれしい!サーモンの握りとか食べたい!」
「お姉ちゃんに任せておきな。奮発するしさ」
「ありがとう!じゃ、ちょっと寝てるね」
そういうとミアキは二階へと軽やかそうな足取りで上がって行った。実際そういう訳じゃないだろうけど。