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(5)7年前の回想、私の起こした波紋 ミフユ PART3

(承前)


 校長先生が近江先生を質した。


「写真で南武線の現況を紹介されてましたが、児童は半分ぐらいしか写ってませんでしたね」


近江先生は更に思わぬ話に慌てた。


「いや、それは古城さんや丹波山たばやまさんのグループはああいう独自の調査なんかやっていて、それなら学校で残った方がいいんじゃないかと配慮」

「そういうの、配慮というと思えないですね」


校長先生は顔を紅潮させていた近江先生に言った。


「郷土研究会はもっと子どもたちの自主性に任せて、先生はそれをガイドしてあげて下さい。竹田くん達もよくやってると思いますが多数派が正しい訳じゃないし、意見を戦わせる事はいい勉強になると思いますから」

「……はい」


 校長先生はその後、私達が調べた事を褒めた上で主流派の発表内容についても良いところを取り上げて褒めた。その上で「意見の衝突は悪い事ではないし、少数派の意見もよく聞いて認めるべき所は認めないと単なる数の競争になってしまう。それじゃまとまらないのでその点は課題として頑張って」というと発表会を切り上げられたのだった。

こうして郷土史研究会の発表は主流派の思わぬ結果に終わった。


 この後の郷土史研究会は放任状態になった。竹田くんをはじめとして主流派を構成していた6年生の一部はミフユ達5年生に対して文句はあったみたいだけど恥の上塗りみたいな真似はしなかった。その後の郷土史研究会は穏やかな中で近江先生はろくに面倒を見てくれないままその年の活動を終えたのだった。

 そして翌年には近江先生は他の学校へ転任され研究会の顧問は別の先生に変わった。


ミフユ:あの先生とはこんな事がありました。小学校で先生が私の事を言っているのが聞こえたのでこの事件の事があってミアキに対して意趣返ししたんだと思う。


 そんな事を思い出しながらミフユは説明を書き終えた。


 まさか先生が戻ってきていてミアキの担任になっているとは思いもしなかった。名前が変わっているので気付けなかったのだ。


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