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(4)7年前の回想 ミフユ PART8

(承前)


 8月末。2学期が始まった。


 竹田会長グループと南田さんのグループ9名(ミフユグループを抜けた秋田さんも含む)という過半数派の主導の下、南武線での砂利採取について説明する模造紙が書かれて行く。丹波山たばやまグループやミフユのグループはその手伝いをさせられた。


 竹田グループと南田グループが「現地は今」的な取材で写真撮影に行っている時もミフユたちは「学校の教室に残れ」と言われた。


「どうしてです?」

「秋田さんから聞いたけどそっちでは相変わらず自分たちの独自研究もしてるって?」


ミフユは語気を強めて反論した。


「私達だって知りたい事はあるだけです。それが悪いんですか?」

「いや、そういう事をやりたいなら今日なんか学校でやっていたらいいじゃんって思ったんだよ」


そううそぶく竹田くんに対してミフユはそれ以上の反論はしなかった。


「秋田さんってそういう話までしてるの?」

「裏切り者って嫌だよね」


そういうメンバーの反感に対してミフユは

「無理やり聞き出されただけかもしれないし。同学年の子を悪くいうのはやめようよ」

と言って止めた。


 ミフユはそういう追い込みの中で丹波山たばやまさんと話し合いの機会を持った。


丹波山たばやまさん、このまま発表会でいいと思いますか?」


丹波山たばやまさんは6年生。ちょっと大人っぽく見えた。この状況下で6年生2人と5年生2人をまとめていて小田急線の謎なんか突き止めている。不満を持ってない訳がないと予想していた。


「どうしようもないんじゃない?」

「でもないと思うので話を聞いて欲しいんです」


そういうとミフユは何を仕掛けようとしているのか簡単に説明した。

丹波山たばやまさんは呆れた。


「あんた、よくそんな事思いつくよねえ」

「別に悪くはないんじゃないですか。せっかく丹波山たばやまさんのグループや私のグループで調べた事取り上げない先生の方がおかしいんですから」

「……6年生は静観してればいいって私達6年生にとって虫が良すぎる気がするなあ。うちの佐東さとう樋田ひだはいいの?」


佐東さとうくん、樋田ひだくんは丹波山さんのグループに属する5年生2人だった。


「私が話をします。あくまでも5年生会員の意思という建前にしないと何かあった時、良くないと思いますから」

「わかった。この話に加わるしこっそり手伝いもするけどこの話なら私とか6年生が当日勝手に加わってもいいよね?」

「はい。但し」

「わかってるって。秘密は厳守。当日になってみてのお楽しみってね。むしろ古城さん次第だからね」


丹波山たばやまさんの言葉にミフユはうなずいた。


 発表会の説明資料最後の追い込み。教室の一角では竹田くんのグループでは先日の南武線の今を調べる校外調査の写真について参加者と先生の集合写真も発表会の最後に貼ってどんな調査をやっていたのか示したらいいという秋田さんの声と「いいアイデアだぞ、秋田」と持ち上げる近江先生が応じた声が聞こえてきた。

 ミフユや丹波山たばやまさんのグループメンバーはそんな浮かれだった多数派を呆れてみていた。


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