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Olympus Quest  作者: 狩野理穂
OLYMPOS QUEST
5/34

因縁

どうも、狩野理穂です。

次の話で第一部が終わるのですが、ここまでいかがでしたか?

オリンポスクエストは、多少のミステリー要素が入っています。次回は伏線回収と謎解き編になります。

それでは、オリンポスクエスト第一部・アクションシーンをどうぞ!

「おや、客人かな?──と思ったが、君か。あの場所に落ちて、よく帰ってこれたね」


 玉座に座った王がニヤニヤ嗤っている。


「随分と余裕そうだな。俺がケラウノスを持っていないからか」

「はて。なんの事だか」

「いい加減、とぼけるのもやめたらどうだ。エリュシオンの王──いや、ハデス!」


 初めて、ハデスの顔に動揺が見えた。


「最初から答えは見えていたんだ。エリュシオンは冥界の国。そこの王はハデスに決まっている。しかも、人間の王ごときがタルタロスを出せるわけないだろ」


 これを聞き終わったハデスは、余裕を取り戻した表情をしていた。


「君は、エリュシオンの王はハデスと言ったね。でも、このギリシャの地にそんな名前があってもおかしくはないだろう。そこの王が人間であってもね」


 クソ……。たしかにその通りだ。反論出来ない。

 でも、このまま帰るわけにはいかない。ユピテリアの人に顔向けできない……!

 ……ユピテリア?そうだ。そういう事か。

 これならコイツに勝てる!


「確かに『エリュシオン』という地名があってもおかしくない。一見はな。だが、ここの人は神に敬意を払っている。そんな人達が神話の土地を実際の地名にするだろうか。いや、しない!俺の村も、『ユピテル』ではなく『ユピテリア』になっている。そんなこともわからないお前は、人間ではなく、神だ!」

「……確かに、そこは盲点だったな。まさか、こんな小僧に正体がバレるなんてな……。君は真実にたどり着いた。私はハデスだよ」


 そう言って右手を掲げるハデス。その手に大きな鎌が現れる。


「でもねぇ……今の私はこの国の王であって冥府の神ではないのだよ。まあ、いつかここも冥府にするけどね」


 ニヤリと笑うハデス。


「真実の追求が良い事ばかりではないという世の不条理を教えてあげよう」


 鎌を振り下ろすハデス。俺は間一髪でかわす。

 ハデスは疲れる素振りも見せずに攻撃を連続で繰り出す。

 俺はなんとか避けるものの、確実に少しずつ体力が奪われていく。

 目の前にハデスが立った。逃げ場はない。

 ヤバい……。殺られる!

 今までの思い出が蘇る。

 村からの瞬間移動、ゼウスの怒り、タルタロスの暗闇……

 人は死ぬ直前に走馬灯を見るという。これがそうなのか。

 お前の能力が開花することを祈ろう。

 村長の言葉だ。まだ、俺の力は目覚めてないのかな……。

 そんなことを思いながら、振り下ろされるハデスの鎌を見ていた。


「さよならだよ。ユピテリアのルーシュ君」


 そんな時だった。ハデスの動きが止まったのだ。

 いや、ハデスだけでない。何も聞こえない。時間が止まっているようだ。


「はは……助かった……」


 俺は一息つく。この"時間停止"が俺の能力なんだろう。根拠はないが、確信はある。

 とりあえず、逃げるなら今のうちだ。鎌の刃に注意して、ハデスの背後にまわる。

 ハデスから鎌を奪い取り刃をハデスの首筋に当てる。

 世界に音が戻った。俺は素早く鎌をひく。ハデスの首が切り裂かれ、金の液体がこぼれる。


「なぜ……だ。神であるこの私が……こんな……人…間…に……」

「国民を騙し、第二の冥府を創ろうとした罰だ」


 ハデスが金の光になって消えた。

 だが、相手は神だ。今は消えてもいつかは復活する。もしかすると、冥府に帰っただけで死んでいないかもしれない。

 でも、とりあえずは一件落着だ。


「あらあら、ハデスまで消えるなんて残念ね」


 急に女性の声が聞こえた。


「ゼウスは自分の村を壊しちゃうし、ハデスはこんな坊やに殺られちゃった」

 背後をみると、黒装束の女性がハデスの玉座を撫でている。


「もっと遊びたかったのにみんなゲームオーバーね」


 ゼウス……ゲームオーバー……どういう事だ?


「次は、あの坊やで遊ぼうかしら」


 女が俺に近づいてくる。


「ねえ、坊や。お姉さんとイイことしない?」


 女が手を伸ばす。逃げたいのに体が動かない。

 女の手が俺に触れる直前、凄まじい轟音と光が落ちてきた。


「俺の息子に触るな!」


 聞いたことのある声が聞こえた。とても憎い声だ。


「……ゼウス?」


 そう、ゼウスが来たのだ。右手に大きな槍を持ち、その矛先はしっかりと女に向かっている。


「俺が正気で驚いたか。アテ」


 アテというのがこの女の名前なのか。確か、狂気の女神でそんな名前がいたはずだ。


「ルーシュ。この女に触らないように逃げろ。触れたらコイツに操られるぞ」


 ゼウスが言う。そうか。神界にいたゼウスは操られていたのか。


「ゼウス!何故お前は正気なのだ!私が精神を完全に崩壊させたはず!」


 アテが叫ぶが、ゼウスは平然としている。


「女神アテ、我が娘よ。お前の能力は俺から分け与えられたもの。一時は惑わされても直ぐに呪縛は解ける。」

「くっ……忌まわしきゼウス!今、この時より貴方に永久の呪いがかかった!せいぜい苦しみ藻掻くが良い!」

「狂気と破滅の神よ。お前を楽にしてやろう」


 ゼウスが呪文を唱える。アテの身体が光の粒子になって天に昇って行った──

……ココマデヨンデクレテアリガトウゴザイマシタ。

そうなんです。アクションシーン苦手なんですよ。どうしても臨場感が出ないというか。

とっ、とりあえず次回は下手なアクションはないので安心してください!

第一部グランドフィナーレは11/20(火)です!

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