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Olympus Quest  作者: 狩野理穂
Olympus Quest 2
26/34

やり直し

どうも、狩野理穂です。

この話は今日の正午に完成した、出来立てほやほやです。

GWももうすぐ終わってしまいますね……

それでは本の世界へ──

 タイムパラドックス──時間物の典型ともいえる代物だ。

 過去に移動したときに存在する未来との矛盾。主に、過去の自分と遭遇したときに発動する。


「貴方がいた未来は、科学が発展したものです。しかし貴方の要望通りに引退を取りやめると、科学が発展しなくなる。貴方の未来は存在しなくなるのです」


 盲点だった。確かにそれではつじつまが合わなくなる。


「私たちがいれば、カオスを消滅させることも不可能ではないでしょう。しかしその代償が大きすぎるうえにリスクも高い。したがって、貴方の願いには応えられません」


 どこにも突破口がない。しかし何とかして解決したい。まるで出口のない迷路だ。

 だが、ひとつだけ穴はある。入口から出ればいい。つまり、もう一度過去に戻れば。そのためには、この宝玉を使えばいい。

 だが、宝玉を取り出した俺の手を掴む者がいた。


「ルーシュ?」


 彼は、言葉が通じないながらも何かを伝えるように、首を横に振っている。

 もしかして、タイムリープするなと言いたいのか?


「私も彼に賛同します。貴方はもっと自分の身体を労わってください」


 女神が言う。どういう意味だ?


「貴方にとって、その工程は時間移動の一環かもしれません。しかし、それの真の姿は肉体の死のはず。仮に精神が生きていようと、貴方は時間を超える際に死んでいるのですよ?」

「あっ……」


 確かに、そうだった。この時間移動は冥界を通るからこそなせる業。冥界に行くには、まず死ななければならない。そんなのわかり切っていたはずなのに。

 でも、俺は──


「忠告ありがとうございます。それでも俺は、これを成さなければならないんです」


 宝玉を掲げる。

 生き返るときとは真逆に、魔法の球体から黒い光があふれる。上下左右、四方八方、どの方角も闇で満ちている──そう思ったとき、俺はヤツを感じた。

 あんな大きなものではなく、声も聞こえない。だが、この微弱に感じる圧は完全にカオスのものだ。それと同時に、あの記憶も蘇る。

 無力な自分、飛び出すルーシュ、伸ばしても決して届くことのない手──改めて現実を突きつけられ、思わず嗚咽を漏らし、頬を熱い塩水が伝う。いつの間にか、俺は荒野の中で赤ん坊のように泣いていた。




 ひとしきり泣きはらした俺は、冥界で頭を抱えていた。三途の川の渡賃を無くしたわけではない。歴史を変えるタイミングを考えているのだ。

 アテナとみられるあの女神の言うことが正しいとすれば、オリンポス神の助けは期待できない。だが、そうすると結局は戦うことができない。狂気の種に、科学への移行。こんなに面倒くさいとは思ってもみなかった。神様を説得して、現代に戻ってカオスをボコってハッピーエンド。そんな簡単なシナリオ通りにはいかないようだ。

 ここで、考えられる他の案は主に二つ。一つ目はそもそもカオスの暴走をなかったことにすること。この方法だとオリンポス神を戦わせる必要はない。二つ目はカオスを倒すこと。オリンポス神は厳しそうだが、他にも何かあるかもしれない。

 どちらの可能性が高いか──考えるまでもない。前者だ。




 まず、どうしてカオスが暴走しているのか。それを考えなければ意味がない。だがそれについてはわかっている。アテが撒いた狂気の種だ。ならばアテに種を撒かせなければいい。

 次に、アテが種を撒いた原因だ。ルーシュの話が正しければ、オリンポス神に不満を抱いたアテの反乱。……だとすれば、両者を和解させれば!




 たどり着いたのは、大きな建物の中だった。だが、場所も時間も時代も、何も情報がない。


「あの~……誰かいませんか……」


 とりあえず声を出してみる。こういうときは、何か行動を起こさない限り何も始まらないんだ。

 そのときだった。廊下の曲がり角の向こうから足音が聞こえた。一人ではない。少なくとも五人はいるだろう。


「Ποιος!」


 えっと……状況を把握しよう。目の前には、白い鎧を着た七人の男が槍を構えている。とても彫の深い顔で、某温泉マンガの主人公のようだ。そして、言葉は通じない。

 とりあえず、俺が敵ではないことを証明しなければならない。俺は友好の証に、にっこり笑って見せた。


「Παίξτε ένα παιχνίδι(ふざけてるのか)」


 さらに荒ぶる男たち。こころなしか槍の先端が近づいている気もする。……逆効果だったか?

 じりじりと追いつめられる。一対一なら勝てたかもしれないが、相手は七人だし武器も持っている。

 ──トンッ。背中にひやりとした冷たい感触。とうとう壁まで追い詰められてしまった。

 もういちど死ぬしかないか……そう思った時、男たちが来たのとは反対側から足音がした。その主は、大きな巻物を持ったあの女神だった。


「アテナ様!」


 藁にもすがる思いで声をかける。アテナで合っているかもわからないし、もしそうだとしても無礼者として殺されるかもしれない。


「貴方は何者ですか?」


 女神が足を止める。よかった。アテナで合っていたようだ。


「俺は未来から来た──」

「σκοτώνω(殺せ)」


 俺が言い終わる前にアテナが何かを言った。それに反応して男たちの槍が俺の喉に食い込む。マズい。このままでは死んでしまう。

 だが、これだけは言っておかないと。


「アテには気を付けてください!」


 アテナにとどいたかはわからないが、俺は宝玉を起動した。

 視界が闇で埋まる──

私は英語もろくにできないような頭なので、グーグル先生に頑張ってもらいました。なので間違いは必ずあります。

もしそこが気になり、直してほしいというのであれば、感想でもDMでもいいので一報ください。

次回更新は連休明けの5/7です!

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