異変
どうも、お久しぶりの狩野理穂です。
前回の投稿から早くも二か月。内容を忘れてしまった方も多いことでしょう。しかし安心してください。第三部では、今までの話から大きく変化します。
何はともあれ、読んでいただけたらわかることですね。それでは、本の世界へようこそ──
やあ、俺の名前は立原響。友達からは「響」って呼ばれている。そのまんまだな。
まあ、そんなことはどうでもいい。いま読んでもらってるこれは、俺の手記だ。何のって? 俺が実際に体験した不思議な話の、さ。
始まりはいつだったか……確か、半年前の夏の日──
俺が愛するものはそこまで多くもない。猫、マンガ、きのこ型のチョコ(悪いな。たけのこ派じゃないんだ)。あとは、平穏な生活くらいか。
だが、よく考えてみて欲しい。平穏なんてものは長続きしない。
だって、そうだろう。世界は常に廻っているんだ。
さて、なんでこんなことを話しているのか疑問に思っていることだろう。
端的に言うと、俺は今、人生最大(という程でもない)葛藤と戦っている。
もう少し具体的に話そうか。現在時刻は20時を過ぎたくらい。ちょうど部活が終わって帰るところだ。そして、目の前には小さめのダンボール箱。蓋は閉じているが、「拾ってください」という文字と中から聞こえるニイニイという鳴き声が、中に入っているものを示唆している。
「子猫……だよな」
ご名答とばかりに箱の蓋が開き、綺麗な白い毛をもった子猫が姿を見せる。
俺は、猫が好きだ。ペットショップでも1時間は眺めてられる。だが、今までの16年間で猫に触れたことは1度もない。母が喘息持ちなのだ。
故に、家に持って帰るわけにも行かない。だったらこの猫はどうしよう。初雪はまだだけど夜は冷える。
さて、どうしたものか──
トゥルルル……ガチャ
『もしもし、響。今大丈夫か?』
電話だ。画面に表示される名前を見ると、『中野晴』の文字。
彼はクラスメイトで、入学式の日に電話番号を交換していた。自己紹介によると、両親は生きているが別居中だという。つまりは一人暮らしなわけだ。あと猫好きとも言っていたか……。
──そうだ。いいことを思いついた。
「俺も用があったんだ。これからお前の家に行ってもいいか?」
晴の家は、ボロアパートの一室だった。
「さあ、気にせず上がれよ」
「お……おう」
俺は子猫の入ったダンボール箱を傍に置き、辺りを見渡した。
うん。外見に似つかず、意外と部屋の中は綺麗だ。
ちゃんと自炊をしているようでカップ麺とかも無いし、洗い物も溜まっていない。
「あんまりジロジロ見ないでくれよ。──ところで、その箱はなんだい?」
「ああ、これはな……猫だ」
「は?」
うん。予想通りの反応。
そりゃそうだろう。何か箱を持っていると思ったら、それが猫なんだから。
「さっき拾ったんだけど、うちでは飼えないから。中野が飼ってくれないかと思ってな」
「それはいいけど……俺も暮らしが楽なわけじゃないんだぜ」
「それは申し訳ないと思うよ。でも、猫も見捨てられないだろ! 餌なら俺も少しは買ってきてやるから!」
「それなら……そうだな! 俺が引き取ってやろう!」
無料で、しかも保護という理由を付けて猫を買うことができる興奮のあまり、俺と中野はいつの間にか立ち上がっていた。
「よし……少し落ち着こう。ところで、まだお前に当の猫を見せてなかったな。あれは一目惚れするぞ」
「それは楽しみだな。早く見せてくれよ」
俺は、勢いよくダンボールを開ける。
中野も感動してくれるはず! ──そう思っていたのに、中野は首をかしげている。
「おい、猫はどこだ? どこにもいないぞ」
「そんなわけ──!!」
箱の中に白い子猫の姿はなく、底に何かの跡があるだけだった。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
さて、(数少ない)ファンの方は「ルーシュじゃないのかよ!」とお思いになったでしょうか。そう思っていただければ幸いです。
実に四か月ぶりの投稿は、非常に度胸が必要なものでした。まず、読者の方が来てくれるのか。いままでも多い方ではありませんでしたが、さらに少なくなったり、いなくなったりしてもおかしくはありません。そのために、一か月前にはアルファポリス様、今日の午前にtwitterで更新再開のお知らせをしました。
しかし、とてもうれしいことが起きたのです。ツイートをしたとたんにリツイートをしてくれた方が三人もいらっしゃったのです! もしや、と思いアクセス分析を見てみたところ、休載中にも読んでくれた方がちらほらと! 即刻コンビニに走り、一人で宴を開きました。
さて、雑談もこのあたりにしておきましょう。次回投稿は4/5(金)です。時折更新が止まることもあるでしょうが、読んでくれるあなたが大好きです。




