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Olympus Quest  作者: 狩野理穂
Olympus Quest 2
13/34

神器ケラウノス

どうも、狩野理穂です。

誤字脱字報告、感想、ブクマお願いします。

 目の前に巨大な神殿が聳えている。オリンポスだ。

 イザナミ、イザナギの協力により、俺はまたこの場所に来ることができた。


「待っていたぞ、我が息子よ」


 一筋の稲妻と共にゼウスが現れた。その手には本物のケラウノスが握られている。


「ニュクスと戦うのか」

「ああ。奴を倒したあと、胸を張って村に帰るんだ」

「そうか……」


 あれ?一瞬だけ、ゼウスの顔が曇った気がする。


「たしか、お前にはケラウノスの模造品を与えていたな」


 俺は頷く。


「本物を渡さなかった理由は二つある。一つ目は、業務に差し支えるからだ。そして、二つ目として、お前の身体のことだ」


 神器ケラウノスは、オリンポス十二神の頂点であるゼウスの力を利用し、その真価を発揮する。それを人間が使ったらどうなるだろう。塵になるとも、影すら残らないとも言われている。

 いくら神の血を受け継いでいても、所詮は人間だ。ゼウスが危惧するのも無理はない。


「だが、お前は成長した。いや、成長しすぎた。まさか不死の領域に立ち入るとはな……」


 ゼウスは何を言いたいんだろう。


「今ここで、ケラウノスを預けよう」

「!!」

「一度は共に旅をした仲だ。ケラウノスもお前を認めるだろう。さらに、残酷なことではあるがお前は死なない。どれだけ散り散りになろうとも、命ある限り蘇生は可能だ」


 ゼウスがケラウノスを差し出す。


「選択はお前次第だ」


 神殿を静寂が包む。

 俺をアテから護ってくれたゼウスのことだ。嘘はついていないだろう。しかも、俺の今の力ではニュクスやガイアに勝つことは難しい。そんな時にこの誘い。もし断れば、俺は一生後悔するだろう。


「ありがとう、ゼウス」


 俺の延ばした手がケラウノスに触れた途端、全身に電気が走った。──いや、そんな生易しいものじゃない。まるで雷が落ちたかのようだ。全身が痺れる。

 ケラウノスの雷による"死"とイザナギの能力"不滅"の矛盾。こんな苦しみは一度も感じたことがない。

 一体、どれくらいの時間が経ったのだろう。槍だったケラウノスは、一本の杖になっていた。


「これは──!」


 ゼウスが目を丸くしている。


「ケラウノスは、杖なのだ。いや、違うな……杖の姿が真なのだ」


 どういうことだろう。


「通常、ケラウノスは槍だ。だがケラウノスが認めた人物には杖に戻って真なる力を差し出す。槍でも充分な力だが、杖では格が違う」


 俺が槍のケラウノスを最初に持ったとき──その時も身体が痺れたが、今ほどではなかった。


「さあ、ルーシュよ。ケラウノスに認められたお前は正真正銘、俺の息子だ。せっかくだ。ユピテルの名を授けよう」


 ユピテル──ゼウスのローマ名だ。


「今こそ旅立つのだ、ルーシュ=ユピテル!」


 足下の床が開く。上昇気流が服をはためかせるが、俺が落ちることはない。


「今は夕刻。夜の神は本来の力も出せず逃げることもできない。ニュクスとの戦闘にはうってつけの時間だ」


 暴風のなか、微かにゼウスの声が聞こえる。


「ユピテリアの皆に協力してもらえば、ニュクスを倒すのはそう難しいことではない。健闘を祈る」


 俺は一本の雷霆を手に、大空へ飛び出した。

次回更新は12/18(火)21時です!

恐らくバトルシーンだと思います。ご存知の通り戦闘描写が苦手なので、どなたかにご教授いただけると幸いなのですが……

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