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翡翠さんの家  作者: ばん
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私と秘密の部屋1

蔵はなんだか、じっとりしていた。日陰に建っているし、基本は閉め切った状態なので当たり前なのだが、2週間前に入った時よりも空気が湿っている気がした。


にんじんを見つけて早く戻ろうと蔵を入った手前にある籠の前にしゃがみ込み探す。目当てのにんじんを2つ抱えて立ち上がろうとした時、膝から蔵の鍵が落ちた。


カシャン…


落ちた蔵の鍵が、鈍い輝きを放っている。輪に通された鍵は2本。


1本は蔵を施錠している南京錠の鍵。

2本目は…正直よく、わからない。


普通に考えればスペアなのだが、スペアとは思えないのだ。形などは南京錠の鍵と一緒なのだが、一番違うのはその鍵には装飾が施されていた。南京錠の鍵がシンプルな無装飾に対して、その鍵は持ち手の所に小さな石が鍵のラインに沿って配置されていた。よく見ると彫り込まれている箇所もある。


今まで、こんなにまじまじと見なかった…。

拾おうとした鍵を見つめていると、落ちた鍵の横に亀裂が見えた。いや、亀裂というより床に何か扉のような線がある。


おかしい、床下収納なんて蔵にはないはず。しかも、そこだけ埃が払われている。私が蔵の掃除をしたのはかなり前だった。母と一緒に掃除をしたから1ヶ月まえのはず。

扉らしい線を沿って見ていくと、おかしな窪みがあった。ちょうど手をひっかけるような…。


何かに操られるように、そこに手をかけた。ゆっくりと上に持ち上げるとギシギシと音をたてて扉が持ち上がった。途中から重くなって、にんじんを床に置き、両手でようやく持ち上げきると、先には暗い空間に続く階段が見えた。




「て、え?…ええええぇぇぇっ!」


は?なにこれ?床下収納?お母さん言ってたっけ?いや、聞いたことない。保存のきくものを仕舞っておく床下収納は母屋にあるが、そんな広くはない。じゃあ、もっと広い床下収納か!

そうに違いない!


「もー、お母さんも教えてくれればいいのにー」


階段があるなら、普通に1畳以上ある空間に違いない。かなり収納できる。

考えいると楽しくなってきた私はそばに置いてあった、にんじんと鍵、蔵の探索用に持ってきた懐中電灯を持って階段に足を伸ばした。



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