4話 2人の思い~伝わる思い~
(私(俺)の思い彼(彼女)に届け!)
「η(イータ)!」
静止された時間が遅れを取り戻すかのように動き出した。
「ん?」
「さっきのは何だったんだろう?」
「ゆかり?」
先生がゆかりに声をかける。
「先生、さっきはお騒がせてすみませんでした」
「無事でよかった……。さて、授業を再開しようか。ここはテストに出るからね!」
数分後……。
何とか、数学の授業が終了した。次の授業の現代文の授業も何も問題なく終了した。
放課後……。
ゆかりは部室に行った。部室には彼女の友達のまさりとイラストを必死になって描いている後輩の姿があった。
「ゆかり先輩、こんにちは」
「こんにちは!」
「ヤッホー! ゆかり♪」
みんな、作業の手を休めるかのように、ゆかりに話しかける。
「ふーっ、今日は散々だったなぁ……」
「どうしたの? 何かあった?」
「ちょっとね……」
ガラッ。
ドアが勢いよく開いた。女子部員、黄色い声をあげる。
「キャーッ! カッコいい!」
「ゆかりの彼氏?」
ベルは等身大で涼しい顔で登場。
「ゆかり」
「ベル! って、等身大になってるし……」
「すまない。今日の最後の授業が終わってから、ゆかりの姿が見当たらなくなったから、怪しまれないようにここ来た」
「そう……」
イラストの担当の後輩に
「あの……、あなたのイラストを描いてもいいですか?」
「どうぞ」
ベルは快くOKする。彼女はベルをモデルにペンを走らせ、綺麗に色付けをしていく……。
「できた!」
「君、イラストを描くの、上手いね」
「それほどでも……」
彼女は照れていた。ゆかりは自分のパソコンを相手に執筆作業をしていた。
数時間後……。
3年生は帰宅の時間を迎えた。ゆかりはパソコンを鞄に詰め込み、まさりはイラストのデータをファイルに入れて鞄に入れた。この部活、いいんだろうか? 3年生を先に帰らせて……。
「大丈夫ですよ。3年生は受験があるじゃないですか? そのため時間を決めているんですよ」
へぇー、よく考えているなぁ……。
「先輩達、今日もお疲れ様でした!」
「お疲れ〜」
「また明日ね♪」
ハイ、先輩達とベルは家路は着くのであった。
帰り道
「ねぇ、ゆかり。あのベルだか知らないけど、あの人とどんな関係?」
「あー……、彼は私の付き人的な存在かなぁ……」
「ふーん……」
そこに1台の車が飛び出して来た。ゆかりはブレーキをかけたが……。まさりは……。
「キャッ!」
「危ない!」
「ベルー!」
3人が同時に声をあげたので、こんなふうにしか聞き取れなかった。
まさりは事故に遭っ……。遭っていなかったのであった。彼女は無事だった。一方、ベルはまさりと引き換えに……。
「まさり、大丈夫?」
「うん、大丈夫みたい。だけど……」
「だけど?」
「ベルさんが……」
「ベル……。ベル!」
ベルは反応しなかった。まさりはベルの心臓マッサージをしたが……。
「ゆかり、心臓が動かない……」
「う、嘘……」
「ベルさんは私を守ってくれたんだね……」
「うん……」
2人はベルの死を悼むように、静かに涙を溢した。
数分後……。
ゆかりはあることを思い出していた。
〜回想〜
部活中……。
「なぁ、ゆかり。『人格崩壊』を止める方法はないのか? っていったよな」
「うん。複雑なものっていってた」
「そうだ。それを止める方法は『テレパシー』だ。実は数学の授業の時に使っていたんだ。それは成功した」
「そうなんだ」
「もう、ゆかりにはノイズはいない。安心して普段の生活をしてくれ」
「うん」
〜回想、終わり。〜
(ゆかり……。一緒にいてくれてありがとう……。俺はゆかりのことが好きだ。今はだったかな?)
(私もベルのことが好きだったよ。私と一緒にいてくれてホントにありがとね。)
(もう、時間だ……。)
(いや、私はずっとベルの近くにいたい……。)
(またいつか会える……。どこかでな………。)
(……。)