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2話 修行開始


「ただいま」

 ゆかりの住むマンションである家のドアの鍵が開いた。

「オイ、ゆかり」

「なぁに? ベル」

「1人暮らしじゃないのか?」

「うん。癖なんだよね」

 ゆかりは靴を脱ぎ捨て、スリッパに履き替える。

「ハイ、ベルも履き替えて」

「ハイハイ、分かったよ」

「ゆかりの部屋って何か大人っぽい部屋なんだよな……」

 ゆかりの部屋の特徴はモノトーンで統一されていた

 机と椅子は普通にあり、白と黒の本棚が1個ずつ。その本棚は奥の本や雑誌が見えるように2段構成になっている。クローゼット脇にある全身鏡は白。部屋の真ん中には小さなテーブルがあり、ジュエリーボックスや化粧品が転がっていた。

 他にはリビング・ダイニングルームやお風呂などがあるがそれらの部屋は後々紹介するとしよう。

「ぬいぐるみとかの女の子っぽいものは嫌いだから」

「ふーん」

「これから着替えるから違う方を見てて」

「はいよ」

 ゆかりはクローゼットの中を覗き込む。


 カチャカチャ♪ゴソゴソ♪

 ゆかりは制服から私服に着替えていく。

「……。なぁ、ゆかり……」

 ベルは口ごみながらゆかりに話しかける。

「なぁに?」

「し……」

「し……? どうしたの?」

「俺がなぜ、ゆかりの所に来たか分かるか?」

「えっ……? 分からない……」

 ゆかりは首を傾げながら答えた。

「俺は懐中時計によって操られている……。ゆかりは俺によって操られる……」

「……。っていうことは私はベルの操り人形ってこと……?」

「そういうことだ」

 ベルは一旦言葉を切った。

 操る人なら他にもたくさんいるのに……。どうして、ベルは私を選んだの? だって、ベルは美形(?)だし、近くにいたらすぐに女の子に囲まれるはずなのに……。

「さて、今日から、修行して貰おうかな? 覚悟はいいかい?」

「今日から!?」

「嫌かい?」

「いや、全然」

「修行内容は簡単だ。魔術を覚えること、それだけだ」

「魔術って? 例えばどんなもの?」

「?(シグマ)やθ(シータ)α(アルファ)β(ベータ)μ(ミュー)などさ」

「なーんだっ。数学用語じゃん」

「それぞれに意味がある。?は人を敵に回す魔術で、θは時間を止める魔術で、αは過去を予知する魔術、βは未来を予知する魔術、μは恋愛関係の魔術だ。さっきの5つの魔術は全24の魔術のうちの一部だ。他にもたくさんある」

「ふーん。それを覚えてどうするの?」

「これを普段の生活に使って貰いたい。心の中で言えばいい」

「心の中で?」

「そうだ。それらを心の中で上手くコントロールするのさ」

「私にもできるかなぁ……?」

「できると思う。俺はゆかりの制服のポケットの中にいる」

「分かった」

 ゆかりが答えた途端、どちらかのお腹が鳴った。

「俺、お腹空いたなぁ……。ゆかりは何か食べたのか?」

「ううん。私もお腹空いた」

「今日の晩御飯は何かなぁ♪」

 ハイ、そんなこんなで1日目は終了。


 翌日……。

 ゆかりはいつも通りの朝の生活をしていた。

「ベル、制服のポケットのどこにいたいの? Yシャツのポケット以外で。」

「じゃあ、上着のポケットの中にいる」

といって、ベルは縮小した。

「うわー! フィギュアみたい!」

「こんぐらいにしないと制服のポケットに入らないだろう?」

「うん……。そうだけど」

といって、ゆかりは縮小したベルを制服の上着のポケットに入れて学校へ向かった。


 数分後……。

 ゆかりは自転車をこいでいると、何やら建物が見えてきた。

「ゆかりが通っている学校はここか」

「うん、そうだよ。私が通ってる学校は中高一貫校だから」

「東京では珍しくないな」

「もうすぐ着くよ」


 更に、数分後……。

 ゆかりとベルは学校に着いた。

「今日は何の授業があるのか?」

 ベルは他の人に聞こえないようにいった。

「今日は……。古文とリーディングと化学と物理と数学と現代文」

 ゆかりはロッカーの鍵を開けて、教科書やら英語辞書、国語辞書を取り出して貴重品をロッカーにしまい鍵をかけた。


 これからがゆかりにとって、辛い心理的な闘いが始まろうとしている……。



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